常念岳(2,857m)・蝶ヶ岳(2,677m)
「~ 盍くんぞ自然の大堂に詣でて、造花の威厳を讃せざる、天人間に横はれる契点を山なりとすれば、山の天職たるけだし重く、人またこれを閑却するを許さざるなり。 ~」
(『山を讃する文』(『山岳紀行文集 日本アルプス』より) 小島烏水著・近藤信行編(岩波文庫))
松本城から眺める常念岳はとても美しい風景の一つです。日本アルプスの山々で、街から眺めた時に最も美しいのは常念岳だと思います。常念岳の左側には槍ヶ岳も見えるそうですが、松本城からは遠すぎます。
『山を讃する文』は、気軽ではない堅い文体ですが、山が「天人間に横はれる契点」だというのはすごい表現です。常念岳には「天職」があり、天と人を結ぶ点が山頂だとすれば常念岳が理想に一番近い場所だという気がします。
常念岳の一の沢登山口へは、大糸線の穂高駅からタクシーで向かいます。地図を見ると、一の沢はまったく蛇行しておらず、直線的な水の流れだと思います。
登山道は沢沿いに忠実につけられ、横切るところには丸太橋が架かっています。
次第に岩が大きくなり、雪と共に流されてきたであろう巨木があちこちにあります。どの岩よりも大きい雪の塊が、沢をふさぐように残っています。
(登頂:2013年7月中旬) (つづく)