金剛山(1,125m)・大和葛城山(959m) ((2)のつづき)
金剛山の頂上には葛木神社が建ち、山頂広場の上には転法輪寺が建っています。同じ山に神社とお寺があるのは、丹沢の大山(阿夫利神社と大山寺)に似ています。
転法輪寺は明治時代の廃仏毀釈の波にのまれました。戦後になって再興し、本堂は昭和36年に再建されました。
金剛山の最高点は葛木神社の裏にありますが、神域のため入ることはできません。金剛山の一等三角点は、最高点ではない場所(1,112m)にあります。
明治20年に観測されたという三角点の点の記には、「金剛山上二寺アリ然レモ當時大破ナリ故二測角ノ際ハ天幕ヲ用ヒタリ」と書いてあります(国土地理院・基準点成果等閲覧サービス)。「大破」していたというお寺は転法輪寺のことだと思います。
金剛山の三角点は昭和になってからも何回か観測されていますが、昭和24年の点の記では食料品の入手方法欄が「村役場に依頼すれば可。但し鮮魚なし」というのが具体的で面白いです。
山頂広場の食堂で昼食にしました。賑わっている食堂の中でそんなことをする人はいないと思いますが、「店内での着替はご遠慮下さい」と掲示されています。小さな戸棚にはコップが見えますが、「ビール専用」でした。まだまだ歩くので、ここでは飲めません。
ここからダイヤモンドトレールを北に向かって縦走し、大和葛城山まで行きます。賑わっていた山頂から少し進んだだけで、一気に静かになりました。ゆるやかな下りが多く、快調な道でした。下り切った場所にあずまやが建ち、橋を渡ると林道に出ます。林道は府県境をまたいで、いったん奈良県から大阪府に戻ります。ゴールデンウィークでも、まだ桜が咲いています。
林道の終点が水越峠で、国道309号線と交差しています。国道にしては簡素な道です。下にはバイパスとなる水越トンネルが開通しているため、峠の交通量は少なくなっています。フェンスには手書きのバス時刻表がくくりつけられています。バス停は峠から大阪側に少し下った場所です。
このバスに乗って帰る手もありましたが、予定通りもう一つの山にも登ることにしました。雰囲気が打って変わって、急な階段の連続になりました。最後に大変な道が待ち構えていました。
パラグライダーの離陸場に出て、しばらくすると大和葛城山の頂上でした。
完全に頂上が奈良県の金剛山と違って、大和葛城山の頂上にはちょうど県境線が走っています。「篠峰山」という名前の二等三角点もあります。点の記を調べてみると、同じ三角点なのに所在地欄が「大阪府南河内郡千早赤阪村」のものと「奈良県御所市」のものと、両方あるのが面白いです。
ツツジで有名な山ですが、まだ花の季節には早いようでした。背後には最初に登った金剛山がそびえています。あの大きな山からここまで歩いて来たんだなと思いました。一日で2回の登山をしたようなコースでしたが、3回分以上の充実感がありました。
なだらかなカーブを描いた山頂の標識には見覚えがあります。この場所には、10年以上も前に一度来ているはずです。往復ともロープウェイを使ったので、ほとんど歩きませんでした。国民宿舎でお昼を食べたことと、とても寒かったことしか覚えていません。
今日は、葛城山ロープウェイを下りにだけ使い、バスに乗り継いで近鉄電車の御所駅まで出て帰りました。
(登頂:2013年4月下旬)