火打山(2,462m)
「~ 三月下旬ではまだすべての山が雪を置いていたが、とりわけ火打が白かった。どんなに雪が降り積っても山のすべてを覆うわけにはいかない。どこかに雪をつけない崖や岩壁がある。ところが火打だけは完璧に白かった。こんなに一点の黒もなく真白になる山は、私の知る限り加賀の白山と火打以外にはない。 ~」 (『日本百名山』深田久弥(新潮社))
飯縄山の頂上から見た火打山は、確かに完璧な白色でした。その2カ月後、真っ白ではなくなった火打山に登ることにしました。真っ白だった火打山がどんな山なのかとても興味があります。花も楽しみで、噴煙たなびく新潟焼山も間近で見ることができるのも楽しみです。
新宿発の夜行バスで長野へ入り、豊野で乗り継いで朝6時にしなの鉄道の妙高高原駅に着きました。降りた乗客は10人もおらず、静かでした。スキー以外では初めて降りた駅でした。
ここでは、帰りのシュプール号を待つ間、駅前の食堂によく行ったものです。その食堂は、真っ暗でも分かりやすいようにということか、パチンコ屋のネオンサインのような看板を掲げていましたが、内装は普通でした。おでんをオーダーしたことが多かったです。お品書きのコーヒーが、「クーリムコーヒー」だったのも覚えています。
寂しいことに食堂のあった場所は更地になっていました。
タクシーで登山口の笹ヶ峰へ向かいました。山菜採りに来ている人を多く見かけました。車は、地元の長岡ナンバーばかりです。今の時期はネマガリタケ(チシマザサ)が多く採れるそうです。ネマガリタケはコクも旨みもとても濃いと思います。
あとは、山うどもまだ採れるのではないか、ワラビはもう終わっているだろうとのことでした。
登山口には立派な門がありました。駐車場は盛況で、今度は半分以上が他県ナンバーでした。時計はほぼ朝の7時を指しています。最初は木道に沿って緩やかな登りで、とても歩きやすいです。ブナの樹はここでも美しく、高妻山より背の高いものが多かったような気がします。
水量の多い黒沢を立派な橋で渡ります。
(登頂:2016年6月中旬) (つづく)