心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

秩父・正丸駅から峠を越えて隣の芦ヶ久保駅まで(2) 旧正丸峠から虚空蔵峠へ

2021年07月14日 | 奥秩父・秩父


旧正丸峠(665m)・刈場坂峠(818m)・大野峠(819m)・丸山(960m) ((1)のつづき)


 登山道が車道と交差するところに、「芦ヶ久保名物 いのししなべ 長者めし」の大きな看板が出ています。長者めしの方は、完全に色褪せてどんなご飯なのか分かりませんが、いのししはなかなか躍動感のある絵でした。かろうじて「ドライブイン」の青字も読み取れます。

 「~ 旧正丸峠は新しい峠の北方約1kmのかんぜ山北側の鞍部にあった。秩父と江戸を結ぶ道が通っており、古くから秩父絹の江戸への搬出ルートとして栄えた。 ~」(『角川日本地名大辞典 11 埼玉県』(角川書店)) 

 歩いてきたのは、「古くから秩父絹の江戸への搬出ルートとして栄えた」道の一部です。旧正丸峠は、今は十字の標識以外何もありませんが、昔から人の行き交ってきた雰囲気はありました。秩父方向の眺望は開けていますが、秩父の街は樹に隠れて見えません。
 ここから正丸尾根を北上していきます。地形図を開くと、トンネルが3本も尾根と交差しています。
 鉄道のトンネルは、昭和44年に開通した4,811mの正丸トンネルです。開通当時は、私鉄で最も長いトンネルでした。昭和50年に近鉄の新青山トンネル(三重県:5,652m)が開通した後も、国鉄以外で単線のトンネルなら日本一という時代が続いていました。途中に、すれ違いのできる場所(正丸トンネル信号場)があります。
 道路のトンネルは、昭和57年に開通した国道299号線の正丸トンネルです。鉄道より短い1,918mですが、埼玉県の大動脈の一つです。
 そして最も長いのが、尾根のすぐ近くで鉄道と交差する「武甲鉱業ベルトコンベヤー」です。武甲山で産出された石灰石を、23.4km先の日高市にある太平洋セメントの工場まで運んでいます。ほとんどの区間が地下で、南東へ向かって伸びる直線は地形図上でも存在感があります。1時間に1,200トンもの石灰石を運び、1日のうち稼働しているのは半分の12時間ほどとのことでした。
 標高665mに過ぎない旧正丸峠も、とても重要なポイントだという感じがしてきます。
 尾根をたどる登山道にはアップダウンが何回もありました。丸太の階段もありますが、傾斜が急すぎるせいか、ところどころ崩れています。
 虚空蔵峠にはあずまやが建っていました。ここで昼食休憩にしました。峠から先、少しだけ舗装された車道を歩きます。







 (登頂:2017年11月上旬) (つづく) 



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。