湯森山(1,472m)・笊森山(1,541m)・乳頭山(1,478m) (つづき)
千沼ヶ原から乳頭山へ歩く途中、雪渓が出てきました。今日雪の上を歩くのは2回目ですが、1回目とは全然違う量が残っていました。雪解け水が迫力のある音をたてて流れ、雪のないところではミズバショウが咲いています。ミズバショウの花にまで、迫力が乗り移っているようです。
ここで水を得られたのは助かりました。ペットボトルを3本持ってきたと思っていたら、本当は2本しかザックに入っておらず、水を飲む量をセーブしていたからです。暑い中、キンキンに冷えた雪解け水を思い切り飲んで、生き返った気分です。
雪渓は分厚く、踏み抜く心配はなさそうでした。アイゼンは不要でした。
目指す最後の山が近づいてきました。笊森山から見下ろした山を、今度は見上げます。どこがピークなのかはっきりと分かります。最後の登りは見た目より大変ではなく、よくある「終わりだと思ってからが長い」山とは逆でした。
乳頭山のピークは岩場で、遮るものは何もありません。風が吹くと、足もとが不安になる場所もあります。岩場なのは頂上だけで、目の前には大きな笊森山の大きな裾野が広がります。少しだけ残雪があり、あとは全部びっしり緑色で埋め尽くされています。
今日歩いた、湯森山から笊森山への稜線が手に取るように分かります。後には、2年前チングルマの大群落に感動した秋田駒ヶ岳が控えています。背後には岩手山が大きく、去年ユニークな紅葉に感動した三ツ石山も見えます。八幡平は名前の通りに平らです。
上空に飛行機雲が流れていきますが、山の方が素晴らしく、そんなものに気をとられている時間がもったいないほどです。
孫六温泉への道を下っていきます。途中には田代平の湿原があり、もう一度湿原を楽しむことができました。2階建ての避難小屋「田代平小屋」が建ち、千沼ヶ原のような無数の池塘ではなく、1つの大きな池塘がありました。乳頭山と湿原のセットも美しかったです。
最後はアオモリトドマツ、次いで標高が低くなるとブナの森を楽しむことができました。
孫六温泉は明治39年に開かれた湯治場です。これでも乳頭温泉郷の中では新しい方とのことです。こんこんと源泉が注ぐ「石の湯」は、透明ではないものの、白濁したお湯ではありませんでした。乳頭温泉は白く濁っているとつい思ってしまいますが、それ以外の泉質もたくさんあるそうです。1回来ただけでは味わいきれない温泉場です。
いい風景は眺めるのが大切なのではなく、その場所に自分の足で立っているというのが大切だと思いました。
1日で3日分くらいの見どころがある素晴らしいコースでした。
(登頂:2017年7月上旬)