心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

知床半島・羅臼岳(2) 雲海の広がる劇的な頂上へ

2020年02月19日 | 北海道の山


羅臼岳(1,661m) (つづき)


 およそ5時間登って羅臼平に着きました。標高およそ1,350mの場所です。
 大きく広がるハイマツの向こうに羅臼岳のピークが見える、という構図を期待していましたが、何も見えません。
 チングルマの果穂の群落があります。風のせいか、みな同じ方向を向いて、小さな稲穂のようになっています。
 羅臼平には、金属製のフードロッカーがあります。これは、熊に食べ物の匂いを気付かれないようにするためのものです。

 地形図に「岩清水」と書かれた場所を過ぎ、最後の岩場を登ります。
 急に眩しくなったと思うと、空がみるみる晴れていきます。たった10分で青空になりました。振り返ると小さな虹まで見えています。
 木下小屋の管理人さんに教えてもらった天気は本当でした。
 まるで、眼の前に奇跡が形になって現われたようです。
 しかも、昨日の斜里岳も同じだったので、二日連続です。羅臼の方は斜里以上に鮮やかな展開でした。
 山頂からはどこまでも雲海が広がっています。北の方角に、羅臼岳より100mくらい低いサシルイ岳(1,564m)が、なんとかギリギリ顔を出しています。
 雲海の景色は、青空と雲と山の3つが組み合わさったものですが、ここでは山がほとんどなく、青空と雲の2つしかありません。こんな雲海は本当にどこからも見たことがありません。
 標高1,661mの山の景色とは思えない光景です。空の色はジェット機から見る空に似ていました。羅臼岳から眺める空は、高度一万メートルから眺めるのにも匹敵する青空でした。
 麓はとても晴れそうにない曇りでしたが、幾重にも重なった分厚い雲が、この景色を創り出しているのでしょう。
 木製の小さな標識が立っています。ゴツゴツした岩の重なったピークは、とても風が強くて8月なのに寒く、じっと立っているのが難しいほどです。
 羅臼岳の頂上は、劇的な凄まじさの中に歓喜のあふれる頂上でした。




 (登頂:2017年8月上旬) (つづく)



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