斜里岳(1,547m) (つづき)
山頂の真上で、太陽のまわりに大きな円ができています。線は真っ白ではなく、微妙に虹色の部分もあります。
太陽が傘をかぶると天気は悪くなると聞いたことがありますが、明日はどうなるのでしょうか?
斜里岳は単独峰だと思っていましたが、そうではありませんでした。最も高い頂上のほかにもいくつか小さなピークがあり、すべてが濃い緑色に覆われ、ピークとピークの間は稜線ではなく「面」でつながっていました。
名残惜しいですが、明るいうちに下山しなければいけません。
登って来た沢沿いのルート(旧道)は、地図には登りだけでなく下りの所要時間も記載されていますが、あの道は登ることは出来ても、下ることは絶対できないと思いました。
熊見峠経由の「新道」で下山します。旧道からは想像がつかないくらい、穏やかな道に入りますが、ただならぬ空気がします。
峠の名前のせいではありません。ここには少し前まで熊がいたに違いないと思います。即座に分かるくらいにおいがします。
北海道の山でも、こんな雰囲気を感じたことはこの時しかありませんでした。
山頂でゆっくりして時間がおしているのもあって、急ぎ足になります。
熊見峠を過ぎてしばらくすると急な下りになりました。地面は泥だらけです。木の枝をつかんで何とか下山します。
下り切ったところで旧道と合流し、最後の沢歩きになりました。
「この山の岩石は鉄分を多くふくみ、濡れても滑らないから、容易に川の中の石を渉って歩けるのがおもしろいようだ。」(『花の百名山』田中澄江・著(文春文庫))
というのは、「容易」ではなかったものの、それ以外の部分は本当でした。
登山道を歩かないと分からないことがとても多かったし、頂上に立たないと分からないこともまた多い山でした。昨日まで、斜里岳という名前以外ほとんど何も知らなかった山です。1日で入ってくる情報量がものすごく多い山でした。
(登頂:2017年8月上旬)