丹沢山(1,567m)・蛭ヶ岳(1,673m) (つづき)
「 私が丹沢で一番好きなのは、主脈縦走の途上、蛭ヶ岳の前後である。不動ノ峰東斜面の明るい尾根筋、鬼ヶ岩を前景とする富士山の眺め、蛭ヶ岳を上下する間のブナを主とした落葉広葉樹の森林帯、そして姫次付近の闊達さに、私はいつも、ああ、いいところだなと感嘆しつつ歩いて行く。とりわけ丹沢山塊の最高峰にふさわしい、だが、たかだか一六〇〇メートル台の山とは思えない蛭ヶ岳の深山味がなんともいえないのだ。 」
(浅野孝一・打田鍈一・楠目高明・横山厚夫著『関東百山』(実業之日本社))
丹沢山から蛭ヶ岳までの間は、昨日の丹沢三峰ほどではないものの、アップダウンがあります。途中、「不動ノ峰」・「棚沢ノ頭」・「鬼ヶ岩ノ頭」という3つの小ピークの名前が、地図に書かれています。
遠くの山は見えないものの、ササの中をスーッと通る登山道が見えるのも、昨日と違うところです。
稜線の一帯が「ブナを主とした落葉広葉樹の森林帯」になっていることが、この幻想的な光景を生み出したのに違いありません。
気温が上がらないせいか、丹沢山から蛭ヶ岳までの間、ずっと霧氷の景色が続いていました。雲の途切れる時間はほとんどありませんでしたが、それでも時間が経つにつれて、氷の白色は少しずつ明るくなっていくように見えました。
氷で白くなった鬼ヶ岩の向こうに、丹沢で最も高い蛭ヶ岳の大きな姿が見えてきました。
(登頂:2013年12月上旬) (つづく)