日記も気ままに

JULIEというフィクション、澤田研二というノンフィクション。
フィクションには裏打ちされたノンフィクションがある。

三木笙子「金木犀二十四区」

2016-11-25 | 【ま】行
2012年8月31日初版
装画…唯部りえ
装丁…鈴木久美
角川書店

         

初めての作家さん。
ツイでジュリーのファンの方らしいとわかって、ならばどんなお話を書かれるのか読んでみようかと
「人形遣いの影盗み」と「金木犀二十四区」を借りてきました。
ご本人のツイでコマーシャルされている本はまだ図書館にはなくて。
買わなくてごめんなさい。

金木犀の香りは、私にとっては秋祭りの香り。
とても懐かしいものです。
それがお話の中心にあるようなので、まずこちらから読むことに。
和花が出てくるのも嬉しい。

ファンタジーを残したリアル物語。

それにしても、、なんだか、、私、集中力が欠いてたのか、、、
ちょっと理解しにくいところがあって、文章を行きつ戻りつしちゃった。

最初に秋の性別、年齢がすぐにわからなかったり、、
何ページかは覚えていないけど、これは誰のセリフ?などと、、。 

最後の・・・「ここはいいところですね」と言ったのは僧侶で。
男が木の下で休んでいた僧侶に話かけたのは・・・みたいなところ。

舞台設定は首都とあるけど、、頭のどこかで東京と変換してしまって、
そのたびに物語が止まってしまって、、。

秋の育ての父は隕石が落ちたあたりでお仕事してて、
そのお父さんは仕事も変わったのかなぁ、、?とか、、


さて、二十四区を守ろうとする3人の男たちはとても素敵でしたね。

朝の光を疲れ知らずの清澄と感じ、動き始めた空気が好きだと思える秋って、しゃんとしてる人で、
淡々とぶれない言葉や姿勢が、この子は星の子なんかじゃなくて、人間の子だ。と確信できて、
怪奇現象も嫌な不安感がなく読めた。

ファンタジーで進んでるけど事件の原因がちょっと俗っぽくて。
事件は解決したように見えて、まだまだもっと深いお話が有って。
ほっほーな展開が面白かった。
事情を抱えた秋と岳史のお互いを思う関係もとてもいい。
秋と岳史、追い込まれたあとの強い決心。
二人がこれから生きていくための物語。

天狗が住むために山を作り、人間が住むために山を平地に変える。
なんだか、、弱味を握られてる感じがするねぇ、、。

あっ、そうそう、とても好きな文章があったのだけど、何ページだったか思い出せなくて
メモしたはずなのに、なんど読み返しても見つからない。

もっと何カ月とか経って読み直してみたら見つかるかな、、?
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宮部みゆき「桜ほうさら」

2016-02-29 | 【ま】行
2013年3月11日 第1版第1刷発行 PHP研究所
装幀:川上成夫  装画挿絵:三木謙次 題字:塚本祐子 本文デザイン:CGS 


上総搗根藩の小納戸役勤めの古橋宗左右衛門の次男古橋笙之介が、
濡れ衣をきせらて自害した父の汚名を晴らそうと
江戸で仇を見つけ出すまでの物語。

ことがおきて、笙之介は、学んでいた藩校・月祥館の佐伯嘉門之助老師の書生となり、
そこで、下働きのことを教えてくれた下女のそえに、「ささらほうさら」という言葉も教えてもらう。


第1話「富勘長屋」・・・写本作りを仕事にして笙之介がこの長屋に住むことになった経緯と
住人たちとのほのぼのとした生活ぶりと和香との出会い。

第2話「三八野愛業録」・・・奥州三八野藩で御用掛を務めていた長堀金吾郎は
笙之介と同姓同名の人物を探している。
その長堀から奥州でおきた未曾有の飢饉の様子とその手だてを記した本をもらうことになるが、
これがのちのち笙之介の生きがいとなる。
266~268あたりの長堀さんの言葉
「商売を替えても、商人の志に曇りがなければ・・・」が、とても良かったな、、。

第3話「拐かし」・・・三河屋の娘お吉は、母親のしつけの厳しさに耐えかねていたところへ
本当の母親が現れたことや悪い義兄の企みなどもあって家出をした。
刃物沙汰もあり義兄の本性が解ったことや母親に対して同じような思いを持っている和香の言葉を聞き、
お吉は、ちゃんともとにもどるのだけれど、、
そのことがきっかけで、笙之介は、貸本屋の治兵衛の過去を知ってしまうことになる。

第4話「桜ほうさら」・・・いよいよ佳境に入る。
古橋宗左右衛門の手跡を真似て、またそれを利用して、私腹を肥やしていた者の正体が暴かれていくのと同時に、
笙之介が、、えっ!?っと驚くどんでん返しの連続。
結局、どうにも古橋家は断絶しちゃうんですが、、、。


手跡というのが物語のアイテムで、お吉を探し出すてがかりにもなった。
印刷機がなかった時代なので写本という仕事があったんやねぇ。
コピペとは違います。
ココロを込めて書いた文字は、下手でも綺麗に見える。らしい、、、
そういえば、某同人にいたときに出会った男性は、達筆とはいえないのに
とても読みやすい字を書く方だったわ。

気の良い長屋の人達にも、武士の家に生まれた古橋家の兄弟にも
東谷様にもそして、大きなお店のお嬢様にもそれぞれなことがあって、、

ささらほうさら (いろいろ大変な思いをしたねぇ、、)

なんやねぇ、、。
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諸田玲子「相も変わらずきりきり舞い」

2016-02-07 | 【ま】行
2014年2月20日 初版第1刷発行 光文社
装幀;川上成夫  装画;村上豊



2012年~2013年・小説宝石に掲載された7話を一冊にしたもの。

十返舎一九の娘、舞ちゃんが、
父の一九と、
居候として一緒に住んでいる葛飾北斎の娘のお栄と
これまた居候で仇討のために駿河から出てきた今井尚武たちに、
きりきり舞いさせられる物語。

7話は、どの物語からでも読めるように毎回登場人物の説明があって、
私の気持ちが、出だしのところで少々あしぶみ状態
って言うのが気にはなったけれど、

継母えつのおおらかさもほのぼのと安心感があるし、
舞ちゃんがいうところの奇人三人の、
物事の本質を見極める力がさりげなく書いてあって、
どの物語も面白かった。

最後の物語は予想できたけれど、
ほっこりと終わっていて、
舞ちゃんのこれからのシアワセを祈ってしまいました。
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万城目学「とっぴんぱらりの風太郎」

2016-02-02 | 【ま】行
2013年9月30日 第Ⅰ刷発行 文藝春秋


しばらくぶりの、746ページ長編でしたが、
読み始めるとほぼ一気読みでした。


時代は、豊臣から徳川にとって代わろうとする頃
主人公は 忍びのもの 風太郎

それが、とっぴんぱらり
だと書いてあれば、ちょっと軽い感じの物語かと思いきや
戦乱の場面が 私にはなかなかハードで、、

やっぱり、、理不尽な死があるからねぇ、、

まあ、、風太郎一人称で物語が進んでいくので、
彼はどうにか生き残るんだろうな、、
と、気持をなぐさめつつ
ハードなところは、ちょっと休憩を入れながら、、


主人公の風太郎は、切れ者の忍者ではなくて、
どちらかと言えば劣等生。

伊賀の柘植屋敷を追い出されるが、、
また戻れるのではないかとココロのどこかで期待しながら京で暮らしている。

そんなとき、
ひょんなことから、
ひょうたんを育てることになり
ひょうたんなおじいちゃん因心居士に出会い
ひさご様やねね様とも出会い
ひょうたんの片割れ果心居士を
まさになんの因果か
末期の大阪城で探すはめになり
あげくのはてに
ひさご様の子を
火の粉が舞い強敵のいる大阪城から助け出す。

という重責を担ってしまう。


おおっ、これが「プリンセス トヨトミ」に繋がるのかぁ~
とつぶやく私。


同じ柘植屋敷にいた、蝉、黒弓、百市、常世、
それから、ひょうたん屋の芥下、
加えて強敵なる残菊達。

風太郎がそれぞれの中の悲しみを捉えながら
ココロを通わせていくようすがうまく織り込まれて、
結末はせつないけれど、、暖かさもじんわり残る物語でした。
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宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」

2015-02-05 | 【ま】行
2005年10月14日第一刷発行  講談社
画家;千野えなが

ワードからも頭からも、一度すっかり消えていた本。
yasueさんからの励ましもあり、やっと書く気になりましたわ
ありがとう

本屋で、はやみねかおる本を探しに行って同じ青い鳥文庫の棚にあったのがこれ。
「へぇ~、青い鳥文庫に宮部さんかぁ、、」と、意外な取り合わせに、
買うつもりなどなかったのに、はやみね本と一緒に持ってレジへ行ってしまった。



短編6話。

父母がそれぞれに駆け落ちをしてしまったという中学1年の双子の男の子と
その子たちの住んでいる家の屋根から落っこちてしまった泥棒の物語。
この泥棒が、この子たちの継父・ステップファザー・になって、
身の回りにおきるいろんな事件を解決していく。
って物語。

二人と一人の心の交流がなかなか良い雰囲気で進んでいくので、
読んでいても気持ちが良いし、登場人物のキャラもわかりやすくて良い感じ。
中学1年の男の子にしては、ちょっと純粋すぎるかな、、
とも、けっこう強かなんじゃないの?
とも思う。

最後の、自動販売機から札束が出てくるシーンが、私には、うまく思い描けなかったのが残念。

これって、テレビドラマになってたんだ。
見てなくてよかった。
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