日記も気ままに

JULIEというフィクション、澤田研二というノンフィクション。
フィクションには裏打ちされたノンフィクションがある。

小野正嗣 「獅子渡り鼻」

2020-01-26 | 【あ】行
2013年1月21日 第一刷
講談社



NHKの「日曜美術館」に出ている小野さんの人柄がいいなあ、、、一度読んでみなくては。
と思っていたら、伊集院光さんの「100分で名著・大江健三郎の燃え上がる緑の木」の回での伊集院さんと小野さんの飾らない会話がなんとも良かった。
で、やはり読まなくては、と言うので借りてきた。

詩を読んでるみたいだったな、、、

母はどうしたとか父はどうしたとか、兄は実際どうなったのかだとか、、具体的なことは書いてないのだけど。
尊は、母も兄も、そして父もいない、母が大嫌いだと言っていた、母のふるさとに、今はいる。
回想の形で東京での暮らしが描かれている。

飛行場へミツコと尊を迎えに来てくれたひいちゃんとミツコの会話がとても良い。

P6・いつもミツコはそこから抜け出せる扉をそっと開けてくれるような話し方をした。
これは、ミツコだけじゃなくて、この土地もそうだと尊は思っていると思う。
では、何故、母はここが嫌だったのか、、

自然豊かで人のつながりが深い田舎に、母が大嫌いだといった母のふるさとに、尊は素直に気持ちを預けているように思える。
預けつつ、、そーとー昔に亡くなった文治と兄を重ねている。

尊のものの捉え方は、小野さんなのだろうか、、、
小野さんのふるさとも海が近い田舎で、きっと小野さんは、そこが大好きなんだろうね。



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