日記も気ままに

JULIEというフィクション、澤田研二というノンフィクション。
フィクションには裏打ちされたノンフィクションがある。

藤沢 周 「世阿弥最後の花」

2022-01-31 | 【は】行
2017年11月8日 第一刷発行
ブックデザイン:鈴木成一デザイン室
装幀:しらこ
株式会社河出書房新社

J友さんのお薦め本。



          



物語の始まりは、世阿弥72歳が佐渡へ流されていく場面から。
元雅(世阿弥の子)、世阿弥、朔之進(後に了隠)の語りで話が進んで行く。
電子辞書が手放せないほど知らない言葉がいっぱい出てきて、そのたびごとに止まるのに、物語にどんどん引き込まれる。
わかることもわからないこともあるけれど、歌もたくさん出てきます。


凄いのが、能を舞う場面。

観阿弥の形見の鬼神面をかけ、日照りの続く佐渡の地での『雨乞』の舞。
了隠の打った面をかけ、鎌倉幕府打倒に加わったとして北条義時の鎌倉軍に負け佐渡へ流された順徳上皇の霊を鎮める『黒木』の舞。
子に厳しかった自分(世阿弥)と重なる西行。西行の住まいにある桜の老いた精霊となって西行を楽しませる『西行桜』の舞では、何もかけず。

実際に能を観ているような緊張感。うー--ん観たくなる。


元雅の導き
世阿弥と元雅の情の通い合い
佐渡に居る必然
舞うのではなくて、宇宙に存在するすべてのものが躍らせてくれているということ……
一刹那の中の壮大さ
省くことの難しさ
都での名声や昔の賞賛にしがみつかない
老いをきわめたそのままの姿で


足利義教が亡くなって後、罪は許されて都に帰れることにはなったそうですが、その後のことは不明のようです。
が、物語の最後では、元雅と抱き合うことができました。
ということは……

          

読み応えのある本
風姿花伝にもこの本にも、ジュリーがいるね
って、J友さんと話しました




余談ですが、30年くらい前に、佐渡で、安寿と厨子王・たぶん「さんしょう大夫」・前進座だったと思う、、を観ました。
細くて長い麦のような何かを持って静かにふりながら、「安寿恋しや ほーやれほい 厨子王恋しやほーやれほい」と歌っていたお母さん。
悪人の処刑の場面は鬼気迫るものがあり、なかなかの迫力。
わが子は、「お母さん、これってお芝居だよねぇ、、」って。
現か幻か状態でした。

そうそう。「鼓童」もありましたね。
それから、一夜干しの烏賊がめっちゃ美味しい~
お友達のご実家もあり。泊めてもらった。
佐渡、懐かしい~

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