日記も気ままに

JULIEというフィクション、澤田研二というノンフィクション。
フィクションには裏打ちされたノンフィクションがある。

中山七里「秋山善吉工務店」

2017-11-09 | 【な】行
2017年3月20日 初版
装画:藤原徹司
㈱光文社



夫が原因不明の火事で焼死。
残された妻の景子・中学生の雅彦・小学生の太一が、夫の実家・善吉と春江のところに身を寄せる。
頑固者の善吉への印象が悪い景子と雅彦の気持ちは重いが、
善吉についての記憶がほとんどない太一は、素直に善吉と春江に馴染んでいる。

引っ越しがあったので、当然、兄弟は転校を余儀なくされ、
景子は、夫の実家を少しでも早く出て3人で生活するためにと新しく仕事を始める。

そこで3人はそれぞれに様々な人間関係とトラブルに巻き込まれるが、
さらに火事の原因が家人の付け火ではないかと疑っている刑事が現れ3人を追い詰める。

頑固者の善吉と春江に対する感情や誤解を持ちながら緊張の毎日を過ごしているが、
トラブルが一つ一つ解決されていく内に、
善吉や春江のピシッと一本筋の通った頑固さの中には、
とても柔らかい気遣いのあることも少しずつ分かり始めて、
景子と雅彦の気持ちが徐々にほどけていく。

読んでいくうちになんとなく出火原因が誰にあるのか、、
というのがわかってしまうのだけど、
さて、さてそのことを、どんなふうに解決させるのかと、読んでいて楽しみでもあった。

ちゃんと自分と向き合うことは、とても難しい、、。

それにしても善吉さん、ヤクザも舌をまくほどの力があり、エピソードがいちいち痛快!
悲しいのだけれど、後へ残るものに力を与えた結末に好感が持てた。

この物語で、善吉と春江を昭和の生まれの昔気質と出てくるのだけど、
きっと、昭和の初期の人のことだよね、って思う。
だって、昭和生まれの私なんぞへなちょこやもん。
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