日記も気ままに

JULIEというフィクション、澤田研二というノンフィクション。
フィクションには裏打ちされたノンフィクションがある。

有川 浩 「キャロリング」

2017-11-10 | 【あ】行
2014年10月25日
カバー写真 kazutomo kawai
幻冬舎



12月25日をもって倒産する子供服メーカーに勤めている大和は、
こどもの頃に父からの虐待にあう。

初めは母が、そして、大和にもその暴力が及び、
耐えながら成長して、やがて父に負けないほど力が強くなり父に逆らうこともできるようになる。

そして、母を助けるべく父に歯向かうが、その行為を母からののしられ、戸惑う。
その上、別れたはずの父と母は、いつの間にかよりを戻し再婚。

戸惑いと怒りとともに家を出て、「両親とは割愛」と決める。

そんな大和の心の支えになったのが母の友であり、倒産寸前の、この会社の社長である英代である。

英代の「不幸の比べっこをしても仕方がない」という言葉は、本当だねぇ、、と思う。

大和の他に、不幸を背負って生まれてきてしまった登場人物たちの事情が交差していく。

いよいよクリスマスを迎え、ほのぼのと終わるストーリーなのだけど、
ちゃんと現実の厳しさや寂しさは残してあって、
そのことが、かえって、一人一人がこれから生きてゆくための力強さに繋がっていく感じがした。

現実とは、そう簡単じゃないものね。

それぞれの心に聖歌隊の歌声がひびきますように。
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