リトルイタリア・・・・其の一
写真と記事の一部はGourmet The magazine of good living 1/1984から引用しました。
ニューヨークマンハッタン島がアッパー湾に向かってアヒルの嘴のように突き出した嘴の根本にチャイナタウンがあります。その北側、南北に通るヘスターストリートとブルームストリート、東西のバックスターストリートとモット―ストリートに囲まれた辺りがリトルイタリアです。へスターストリートの南側には漢字の看板が躍る街が見え、北側には黄色と、赤と、ミドリ色が乱舞する街が見渡せます。そこから少し北に歩けばモットストリートとマルベリーストリート、プリンスストリートに囲まれたレンガ塀がとりかこむ、1815年に完成したセイントパトリック大聖堂が見えてきます。リトルイタリアにあるこの聖堂はジャン・カルロ・メノッティ( Gian Carlo Menotti 7/7/1911-2/1/2007,イタリア出身のアメリカ合衆国のオペラ作曲家、台本作家。)が1954年にブリーカー街の聖女 ( The Saint of Bleecker Street ) を発表すると一気にその名が知られました。
写真のシェフはTeresa & Mimmo のDominick Ianniello氏です。彼が両手に持っているのはミックスト・シーフード・サラダ ( Insalata di Frutti di Mare ) です。最近でこそアメリカの料理誌にタコが載ることは珍しくありませんが、今から32年前のGourmet誌、1984年の1月号で目にした時は驚きでした。
1984年の夏だったと思うのです。サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフで友達のジョンとアニタにシーフードをご馳走になった時の出来事を思い出しました。注文した料理のフライの魚の中に、ちょうどシラス干しの中に入っているタコの様な格好で小さなタコが紛れ込んでいたのです。彼は驚きの声を上げました。それがあまりに「それは食べ物じゃあないぞ」といった調子の言い方だったので私の頭の隅に残っていたのです。1/1984年のGourme誌は、1986年に「メニュ作りの参考したら。」と友人から贈られた本の中に入っていた内の一冊で、そのとき ( 1984年の夏 ) にはまだ本に書かれたメニュを目にしていなかったのです。
Gourmeの中に書かれている一文ですが、「リトルイタリアと旨いものとは同義語である。」とは旨いことを言ったもので、お腹が空いたなら周りの賑やかな、南側のレストランは避けてリトルイタリア界隈のレストランに入るのが無難です。彼の差し出す料理からリトルイタリアの料理の冒険を始めようと思います。( なぜなら、失礼な物言いですが、30数年前のアメリカの食文化が、今の日本の文化水準とほぼ同じか、或いはほんの少し先を行っていると思うからです。)
ミックスト・シーフード・サラダ ( Insalata di Frutti di Mare )
材料:
タコ(魚屋で内臓を取ってきれいにしたもの) 3ポンド
塩 3 ts
ツブ貝※(魚屋で内臓を取ってきれいにしたもの) 1ポンド
イカ 1 1/4ポンド
ムール貝 24個
エビ 1/2ポンド
セロリ(刻んだもの) 1 C
ガーリック 3カケ
レモンジュース 1/3 C
オリーブオイル 1 C
レッドベルペッパー(ローストして細切りしたもの) 2個
イタリアンオリーヴ 1 C
レモンスライスとウエッジ、レタス
方法:
タコをタオルにくるんで木槌又は肉叩きで5分間叩いて洗う。鍋に水と塩を入れてタコを2 1/2 –3時間柔らかくなるまでコトコトと煮る。冷水に引き上げてきれいに洗う。一口大に切ってボールに入れる。
ツブ貝を6mmの厚さになるまで叩く。イカは皮を剥いて3mmの厚さに切る。ツブ貝とイカの皮と足をボイルしている湯の中に入れて45分から1時間、柔らかくなるまで煮る。ツブ貝をスライスし、イカを一口大に切って、ボールに入れる。
鍋でムール貝を蒸し、エビを1/2インチに切って3-4分間ボイルする。又はムール貝の口が開くまでボイルする。エビの殻を取り、はらわたを取り除いてセロリと一緒にボールに入れる。
小さいボールの中にガーリック、レモンジュース、塩、ペッパー、オイルを入れて混ぜる。シーフードにかける。サラダに振りかけて平皿の上に並べる。ローストしたレッドペッパー、オリーヴ、レモン、レタスを飾る。6人分のファーストコースに、4人分のランチの前菜としてサーブする。
最近日本でもベルペッパーをローストするようになったようですから上のレシピは役立ちそうでしょう?
※ Scungilli ツブ貝、http://almostitalian.com/scungilli/ から
軟体動物門腹足綱(巻貝)のうち、食用にされる一部の通称で、日本ではツブ貝、つぶ貝といいますが、この名が指す範囲は曖昧で、特定の種や分類群を指していません。ヨーロッパのつぶ貝 ( Scungilli 又はConch ) はどちらかというとほら貝に近い種類です。