薔薇物語挿絵には様々なパターンがあります。
イタリアのアリギエーリ・ダンテ、フランチェスコ・ペトラルカ、イギリスのジェフリー・チョーサーなどがそれぞれの国の言葉に翻訳しヨーロッパ文学に多大な影響を与えました。現存する写本だけでも300を超えます。全ての写本に挿絵があるわけではありませんが、その数は想像にあまりあります。
薔薇物語冒頭の挿絵にもそのことが言えます。幾つか取り上げておきます。
主人公の左肩に描かれた薔薇の花の色にご注目下さい。
http://expositions.bnf.fr/aimer/expo/salle1/01.htm
Guillaume de Lorris and jean Meun, Paris, around 1420 -14.
BNF, Manuscrits, French 804, f. 1 © National Library of France
デュプレシスダッセ家の紋章が中央に付いています。
Roman of the rose Guillaume de Lorris and jean Meun, 1301-1400. Parchment. - 184 sheets with 2 columns. - 305 × 210 mm. - Gray calf binding BNF, Manuscrits, French 12593, f.1 © National Library of France
La quête de l’Amant Roman de la rose Guillaume de Lorris et jean Meun, Paris, 3e quart du XIVe s..
Montpellier, Bibliothèque interuniversitaire, BU médecine, ms H 245, f. 2 モンペリエ、大学図書館蔵
バラの花は白、赤、白と赤。挿絵には何らかの寓意が込められていると考えられるのですが。
薔薇の花の色は白でも赤でも、そして両方が混在していてもいいのでしょうか。
ここで仮説を2つ立てておきましょう。
1. 白でも赤でもよかった。
2. このバラは酔芙蓉のように色が変化する。
これ以外に考えられるでしょうか。