ステビア
10/30に『「ニオイゼラニウム」と「ステビア」を取り上げようと思っています。』と書きました。「ニオイゼラニウム」は終わりましたので、今日は「ステビア」をアップしました。
ニオイゼラニウムの花は咲き終わって今は種ができました。ステビアはこれからの季節で上の写真よりもたくさんの花を付けています。花の終わる前に調べ終わろうと思っています。
上はニオイゼラニウムの種。これから飛び立とうと羽を広げているところです。
ステビアの花は、小さな白い花で匂いはなく、静かにひっそりと花を付けているといった風情です。ステビア(Stevia rebaudiana)は、南アメリカ原産のキク科ステビア属の多年草で、草丈は50cm-1m、茎は白い細毛に覆われています。別名アマハステビア)といいます。
Wiki.から;
『ブラジル、パラグアイの先住民グアラニー族が甘味料、心臓病、高血圧、胸焼け、尿酸値を下げる目的で使用してきました。彼らにとってステビアは神聖な植物であり、崇拝の対象でした。
ステビアに含まれるステビオシドはショ糖の300倍の甘味度を持ち、ダイエット用食品、糖尿病患者用メニューなどに砂糖の代わりとして用いられています。
原産国のひとつであるパラグアイでは古くからマテ茶などに甘味を付与したり、薬草として用いられてきました。整腸剤として、また全身に塗って美容や防虫剤としても利用したのです。
ハーブとして、糖尿病や高血圧の治療や健胃剤、二日酔い、精神的疲労に対する強壮剤として利用されているステビアは2型糖尿病の原因の一つである「インスリン抵抗性」を細胞レベルで改善する可能性があるといいます。ステビアの抽出物が食品添加物として認可されている国は、2008年12月までは、日本、ロシア、台湾、マレーシア、ブラジル、韓国などである。』
Wiki.にはこのように書かれていますが、医用としての効果を疑問視する意見も多く、別の方向からの意見を取り上げました。
国立健康・栄養研究所(National Institute of Health and Nutrition)「国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ること(法第3条)。」を目的として設立された機関からの引用です。引用文献の最後に“まとめ”を書いておきました。
ステビア - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)https://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?525 から
名称 ステビア [英]Stevia、Paraguayan sweet herb [学名]Stevia rebaudiana (Bertoni) Hemsl
概要
ステビアは高さ80 cmの多年草。16世紀からパラグアイでマテ茶の甘味料として使用され、20世紀になってからその他の南米諸国やアジアで広範囲に使用されるようになった。パラグアイ、ブラジル、日本、韓国、タイ、中国で商業生産されている。俗に、「血糖値が低下する」「血圧が降下する」「利尿作用がある」「強壮作用がある」と言われ、健康食品素材としても用いられているが、ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。日本では既存添加物(甘味料)としての使用が認められており、一般的な飲食物の甘味料として少量を経口摂取する場合には安全性が示唆されている。妊産中・授乳中に大量に摂取した場合の安全性については十分な情報が見当たらないため、通常の食品に甘味料として添加される量を超える大量摂取は避ける。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。
法規・制度
・葉は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・ステビア抽出物、ステビア末等は既存添加物 (甘味料) としての使用が認められている。
・レバウディオサイド (Rebaudioside A 、ステビア抽出物) は、米国ではGRAS (一般的に安全とみなされた物質) 認定。
主な成分・性質
・ステビアの主成分はステビオサイド (stevioside) で、これは熱や酸に安定で、ノンカロリーで10%ショ糖液の100倍甘い。他の成分としてはβ-シトステロール、スチグマステロール、タンニン、精油がある。
分析法
・品質の指標として、ステビオサイドとレバウディオサイド (rebaudioside) AはNH2-カラムを用いたUV-HPLCにより分析されている (PMID:11599985) 。
有効性
循環器・呼吸器 一般情報
・ステビオサイドを高血圧症患者に摂取させると、収縮期血圧および拡張期血圧が低下した (PMID:14693305)(PMID:14561506) との予備的な報告がある。しかし、相反する報告もあるため、この現象についてはさらなる検証が必要である (PMID:16775813) (94) 。
・ステビオサイド1,500 mg/日を2年間摂取したところ、左心室肥大のリスクが低下したという報告がある (PMID:14693305) が、この現象についてはさらなる検証が必要である。
メタ分析
・2014年5月までを対象に5つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験9報について検討したメタ分析において、成人によるステビア、ステビオサイド、レバウディオサイドAの摂取は、拡張期血圧 (7報) 、空腹時血糖 (76報) 、の低下と関連が認められたが、収縮期血圧 (7報) 、総コレステロール (6報) 、LDLコレステロール (4報) 、HDLコレステロール (6報) に影響は与えず、トリグリセリド (5報) の増加と関連が認められたが、いずれも試験によるバラツキが大きかった (PMID:25412840) 。
RCT
・健康成人100名 (試験群50名、平均42.1±1.9歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、レバウディオサイド (rebaudioside) Aを1,000 mg/日、4週間摂取させたところ、血圧、心拍に影響は認められなかった (PMID:18555574) 。
安全性
・一般的な飲食物の甘味料としてステビアを少量経口摂取する場合には安全性が示唆されている (94) 。また、ステビアの主成分であるステビオサイドは経口摂取において安全性が示唆されている (94) 。
・ステビオサイドの経口摂取の副作用として、腹部膨満や悪心などの胃腸症状がある。また、頭痛、めまい、筋痛、しびれも報告されている (PMID:14693305) (PMID:10971305) 。
・FDAやヨーロッパ、WHOはステビアの長期摂取と毒性に対する結論が出ていないことを理由に承認していなかったが、2004年、第63回JECFAにおいて一日摂取許容量 (ADI) が設定され、2008年にアメリカのGRAS認定を受けた。また、2010年4月14日、EFSAのANSパネル (食品添加物及び食品に添加される栄養源に関する科学パネル) は、ステビア葉から抽出したステビオール配糖体の安全性を評価し、ADIをJECFAの設定と同量の 4 mg/kg体重/日とした (EFSAの情報の詳細は食品安全情報 (化学物質) No. 9/ 2010 (日本語) またはEFSA (英語) を参照) 。
・日本では指定添加物ではなく、既存添加物としての使用が認められている。
・ステビオールの多量摂取は急性の腎機能低下を招くおそれがあるという予備的な報告がある (PMID:9183561) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないため、通常の食品に甘味料として添加される量を超える大量摂取は避けた方がよい (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・理論的には、キク科の植物に過敏な人は、ステビアでアレルギー症状が起こる可能性がある (PMID:14561506) 。
<被害事例>
・26歳女性 (日本) がステビアを含む清涼飲料水を摂取した直後に全身掻痒感、粘膜浮腫、呼吸困難を呈した。スクラッチテストにより、ステビアが陽性であったため、ステビアによるアナフィラキシーと診断された (2000143079) 。
医薬品等との相互作用
<理論的に考えられる相互作用>
・血糖降下作用のあるハーブやサプリメント、糖尿病治療薬と併用すると、血糖コントロールに影響を与える可能性があるため、II型糖尿病患者は注意が必要である (94) 。
・ベラパミルなどのカルシウム拮抗剤 (PMID:14693305) (PMID:14561506) (PMID:1921423)、血圧降下剤 (PMID:14693305) (PMID:10971305) 、血圧低下作用のあるハーブやサプリメントと併用すると相加作用を示す可能性がある。
・血圧または血糖値の臨床検査値に影響する可能性がある (PMID:3651629) (PMID:10690946) (PMID:7616317) (PMID:14681845) (94) 。
動物他での毒性試験
1.LD50 (半数致死量)
・ステビア抽出物を投与:マウス29.5 g/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・ラット経口45 g/kg (91) 。
3.TD (中毒量)
・ラット経口 (継続的) 99.5 g/kg/79週 (91) 。
4.その他
・ステビオサイドには変異原性、遺伝毒性、避妊活性、催奇形性などはみられなかった (PMID:14561506) が、ステビオールとステビオールの代謝物は試験管内実験で変異原性がみられた (PMID:8962427) (PMID:3887402) 。
・ステビアは、生殖に関して副作用をもつ可能性がある。ステビアの水性抽出物は雄ラットの精子数を減少させ、精巣重量を減少させた (PMID:10619379) 。また、ステビオールを摂取させたハムスターのメスでは子孫の数とその体重が減少した (PMID:9598301) 。
・ステビア抽出物 (総ステビオサイド88.28%含有) ならびにステビオールは、試験管内実験では500μg/mL以下、マウス単回投与実験では2 g/kg以下において、DNA損傷は認められなかった (2003197267) 。
・ステビア抽出物 (ステビオシド16.3%、レバウディオサイドA16.3%含有) を用いた雌雄F344/Du Crjラットにおける慢性毒性試験から、最大無作用量は550 mg/kgと推定された (1985158450) 。
AHPAクラス分類及び勧告
・葉:クラス1 (22) 。
総合評価
・食べ物や飲み物の甘味料として少量を経口摂取する場合には安全性が示唆されている。
・ステビアは2004年、第63回JECFAにおいて一日摂取許容量 (ADI) が設定され、2008年にアメリカのGRAS認定を受けた。また、2010年4月14日、EFSAのANSパネル (食品添加物及び食品に添加される栄養源に関する科学パネル) は、ステビア葉から抽出したステビオール配糖体の安全性を評価し、ADIをJECFAの設定と同量の4 mg/kg体重/日とした。
・妊娠中・授乳中の安全性については十分な情報がないので、通常の食品に甘味料として添加される量を超える大量摂取は避ける。
安全性
・ステビアによるアナフィラキシー反応の報告がある。また、キク科植物に過敏な人ではアレルギーを起こす可能性がある。
有効性
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
ヒトでの有効性については、調べた文献に十分な情報が見当たらない。
参考文献
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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食品安全情報 (化学物質) No. 9/ 2010
EFSA evaluates the safety of steviol glycosides
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(94) Natural Medicines
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“まとめ”
ステビアの薬効は「無い」と思った方がよいでしょう。大量摂取(ステビオール配糖体を4mg/kg体重/日以上)しない限りは安全ですが、キク科植物に過敏な方はアレルギー症状(アナフィラキシー)を起こします。砂糖を取ることができない、あるいは砂糖の摂取を制限しなければならない方が甘味を補うために「ステビア」を取ることはそれなりに意味のあることだと思われますが、それ以外の目的でステビアを取ることはやめた方がいいと思います。
完