Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 98

2020年08月12日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

      

          ケラート メグナの街の中心に飾られたR. x damascena

ケラートメグナのバラの谷はティンヒル県( the province of Tinghir )にあり、2014年の人口は16,956人でした( World Gazetteer 2014 )。 R. x damascenaのモニュメントがある小さなオアシスの町は、アシフ ムギーン( Asif M'Goun )川で灌漑されたダデス峡谷の薔薇の谷のふもとにあります。

  

        アシフ ムギーン(Asif M'Goun)川で灌漑されたダデス峡谷 

バラの栽培は、2つの異なる地域で行われています。一つ目は、ケラートメグナ村から約10 kmから北西に10 km続き、ブマルヌ ダデス ( Boumalne Dadès ) の町の近くまで続いています。 2つ目の地域は、ケラート メグナから始まり、真北にあるボウ サラル( Bou Tharar )の村まで続く道路に沿った地域で最も重要な場所です。

約30 kmの長さで途切れることのないバラが涸れ谷沿いに見られます。黄土色の峡谷の下にあるこの青々とした谷は、信じられないほど美しい風景です。

バラは非常に重要な作物であり、4月10日頃から5月20日頃までの間の主要な収入源となります。Dades渓谷全体でR. x damascenaが植えられていますが、畑の中に列を作って植える北ヨーロッパで行われているような方法で植えられていません。 むしろ、バラはそれぞれ約0.5エーカー(0.2ヘクタール)の小さな土地を囲むように植えられています。

小さな段々畑は川の側面に沿った低い堤防状の上にあり、薔薇は吸枝又は盛り土を利用した取り木の伏せ技法で植えられています。(「吸枝、取り木」の手法が今まで何回か登場しましたがこれでやっと腑に落ちました。堤防の盛り土を利用しているのです。下絵を参照。)  

 

一年目に根本を切り、来シーズンの新芽を待ちます。成長したところで、おがくずを根元に盛り、発根を待って次の作業に移ります。これが吸枝、取り木の手法です。これなら、吸枝を布でくるんで運べば、ローマへの輸送も可能かも知れません。

 https://irrecenvhort.ifas.ufl.edu/plant-prop-glossary/08-layering/07-layering-mound.html から 

          

First year cherry plants in a stooling bed. https://irrecenvhort.ifas.ufl.edu/plant-prop-glossary/08-layering/07-layering-mound.html これはチェリーの一年目の作付け図です。ダデスの薔薇は、畑の縁の盛り土の上に植えます。木が大きくなると土を更に盛り、根本を切って新しいシュートを出させて花を咲かせます。チェリーもバラ科なのでよく似た栽培方法がとれるのでしょう。プリニウスの『博物誌』の中にもチェリーの吸枝に言及した記述がありました。

吸枝はR. x damascenaの成熟した植物から切り取り、小さな半ヘクタールほどの小麦と大麦が栽培されている畑を囲むように、生垣を作るように植えられています。

ボウ サラルの薔薇の谷 Bou Tharar, Roses Valley, Morocco https:// www.alamy.com/stock-photo-moroccan-girl-farming-bou-tharar-roses-valley-morocco-171910404.html どこからどこまでが麦畑で、どこから薔薇が植わっているのかはっきりとはわかりませんが、確かに薔薇の花も見えます。