ひところFXセミナー講師として大活躍されていた鈴木隆一氏であるが、最近では表舞台に登場されるのを見なくなった。FX草創期に、それまで日本ではあまりなじみのなかった様々なテクニカル分析指標を、書籍や講演・セミナーを通じて一般に紹介された功績は大きい。理工系出身講師としてその説明には説得力もあり、今もFXトレーダーの中には、講師を通じて基礎知識を習得した人も多かろう。
講師が代表を務めるガンパウダーという会社のウエッブページでは、会員登録をするとGP-CHARTと称するMT4用のインディケータが無料でダウンロードできた。大変色鮮やかなチャートでローソク足に似た足の色が上昇局面、下降局面ではっきり判別でき、レンジ相場と思しき局面ではそれらとは別の色で表示されるため大変重宝していた。残念ながら、機械語のみのインジであったため、それがどのようなプログラムであるかは、筆者の能力不足もあり、皆目見当がつかなかった。
機械語のプログラムを人間が読めるソースコードに戻す作業をデコンパイルというが、これを特殊なアプリで行うことは不可能ではないが、現実的にはかなり困難を伴うらしい。鈴木講師もデコンパイルはしないで下さいと注意書きをされていたから、道義的にもこれはできない。
少しはFXとか相場分析に対する知識も蓄えた昨今、改めてこのインジを眺めてみると、これが明らかに平均足の修正版であることが分かる。二つのチャートを並べてみるとその相似性がはっきりする。左がGP-CHART、右がMT4標準搭載の平均足(Heiken Ashi)である。
二つのチャートが祖を同じくすることは明らかだ。平均足と異なるところを補正すればGP-CHARTに変換することが可能となるはず。この過程をたどるのであれば、鈴木講師が禁止されているDecompileには当たらない。
1)まず、GPのローソク足の緑の部分の論理式
平均足では陽線と陰線の2区分であるが、GPでは緑の部分が加わる。この部分の論理式は簡単に想像できる。平均足が陽線の場合でも、下ヒゲが上ヒゲより長い場合は緑、平均足が陰線の場合でも、上ヒゲが下ヒゲより長い場合は緑色と論理付けされていることが推察できる。
2)ローソク足の計算式
次に、ローソク足の胴体部分の長さが微妙に異なる。これは平均足の期間の取り方が異なる、即ち各足の計算式が異なるものと推論される。
平均足(Heiken Ashi.mq4)のソースコードは公開されているのであるから、後はこれを一部改変するだけである。1)の部分はすぐにも修正可能だが、2)の部分は試行錯誤が伴うことになる。
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