(ドームかあ…どうしようかな…)
(でもそろそろ、諒の書いた曲の方がライブでも多くなりそうだな。もうその方がいいのかも…)
そして、少し恐ろしいことに思い至る。
…俺にはまだ曲を書くチカラは残ってるのかな…
…また疲れが戻ってくる。やっぱりまだ静養中なんだな、俺…
麻也はまたリビングに戻った。
そこに、シャワーを終えた黒のバスローブの諒が、やってきた。
「麻也さん何飲んでるの?」
「ミネラルな水だよ。でも諒、俺のこと気にしないでビールとか飲んでね」
「うん。麻也さんこそ気にしないで。飲みたくなったら飲んじゃうから」
と、横に腰を下ろした諒は、ウーロン茶をひとロ飲むと、ちょっと困ったように、ロをきゅんと結んで、下を向いた。
「…麻也さん、こんな時間だからさあ、テレビはベッドで見ない?」
(ああ…こんなに二人で恥じらっちゃうなんて…でも…諒ったら…)
…諒のドキドキが移った麻也は、
「あ、ああ、それいいね…」
とは言ったものの…寝室にテレビなんてあったっけ?
久しぶりに入ったベッドルームには、入れたばかりらしい、真新しい大きなテレビがベッドの正面に鎮座していた。テレビボードの中にはビデオデッキも…