伊坂幸太郎の新刊、★★★★☆
伊坂作品は、全部読んでしまったので、新作が出るのは、とても嬉しいのだけど~文芸書は高いので、買うのをためらってしまいます。
で、ためらっているうちに、初版が売れてしまい~やっぱり買っとけば良かった、と後悔しながら3版を購入する優柔不断な私
奇しくも、この作品の主人公渡辺拓海も、優柔不断な29歳、会社員でした。
岡本猛はいきなり現れ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できないんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」
(本の帯からの引用)
この物語の主な登場人物たちの台詞が並んでいます。
岡本猛の仕事は、暴力を振るうこと。拷問のプロとして、渡辺拓海の前に現れる。
五反田正臣の仕事は、システムエンジニア。渡辺拓海の職場の先輩だが、失踪する。
渡辺拓海の仕事も、システムエンジニア。妻に浮気を疑われ、拷問を受けたり、仕事絡みのトラブルに見舞われたり、公私共に充実してくる。
大石倉之助の仕事も、システムエンジニア。渡辺とともに、五反田の仕事を引き継いだときから、過酷な日々が始まる。
井坂好太郎の仕事は、作家。偉そうな仕事に就きながら、好き放題に生きている渡辺の友人。
渡辺佳代子の仕事は、不明。得体が知れない女性と、夫の拓海は心から恐れている。
永嶋丈の仕事は、政治家。中学校の用務員をしていた過去を持つ。
岡本が、妻の佳代子からの依頼で、渡辺拓海の前に現れ「勇気はあるか?」と尋ねたところから、物語は始まり、次々と事件が起こり出す。
逮捕あり、自殺あり、殺人あり。読んでて、ちょっと、きつかった。
でも、中盤、安藤詩織が登場するころから、終盤までは、収束に向かっていくので、心地よかった。
漫画週刊誌『モーニング』掲載に加筆修正した、536Pの長編小説。
伊坂らしい作品、といえると思います。
ネットで検索するのがちょっと怖くなったり、『魔王』を読み返したくなったり、そんな作品です。
でも、前作『ゴールデンスランバー』のほうが、私は好きです。
(言っちゃった
)