
タローは全然親の言うことを聞かない。
反抗期とかそういった問題ではなく、
物心ついたときから、
とりあえず親が言ったのと反対の行動を取る、
典型的なあまのじゃくである。
「タロー、こっちにきてご飯食べなさいよ!」
「やっだぴょーん」
「じゃ、食べなくていい。
ずっと遊んでなさいね」
「やっだぴょん、遊ばないぴょん!」
「タロー、上着を着なさい、こっちに来てごらん」
「上着なんて着ねぇ。あっかんべ~」
四六時中こんな調子だ。
買い物に行くと私に見つからないように
スーパーの中を隠れて歩くし、
(自分から迷子センターに行って
おやつをもらうこともあったし、)
トイレのあとパンツをはかずに
小踊りするなどしょっちゅうだ。
だから私も、オットも、
沼津にいる私の母までも心配していた。
(こいつは幼稚園で
問題児にならずにやっていけるのか)と…。
だがしかし!
家庭訪問で先生が言ってくれた内容は、
耳を疑いたくなるようなものばかりだった。
「タローくんはたんぽぽ組の中で
一番しっかりもののお兄ちゃんです」
「荷物を片付けたり、エプロンを着たり、
うがい手洗いをしたり、
言わなくても独りでどんどんできます」
「私を困らせたことなど1度もありません。
何か手伝おうとすると
『先生、独りでやるからいいよ』って言うんです」
「10月生まれでこうもしっかりしているのかと
毎日驚かされます。」
何なんだ、お前は!
日ごろの我々の苦労は一体…
猫っかぶりもいい加減にしなさいっ!
ママは経験者だから言うけど、
その生活はものすごおおく疲れて、
中学生ぐらいになって破綻するよ、きっと…