らくがき帖

ノンジャンル心象風景

ジャッキー・チェン

2005年09月13日 | 感想
私たち人間は立体、三次元の世界に住んでいるけど、
平面をX軸とY軸とすると、
高さのZ軸ではそれほど可動域がない。
私の場合、自分の力で自由に動けると
認識している高さはせいぜい160cmで、
大抵の人は何かに乗らない限り
地表から2mの範囲内で蠢いていると言っていいだろう。

だが彼は。
ジャンプ力、滞空力に優れているとかいう枠を越えて、
数十メートルの高さまでを
自分の可動域として捉えているのではないかと思う。
5メートルを越すと思われる高木や塀を軽々と上り、
ビルの高層階でアクションをこなし、
さらにそこから飛び降りたり、滑り降りたり、
中空であんなこともこんなことも。

ここまで3次元の空間把握に優れた人というのは、
すでに私たち一般人とは
別の能力を獲得していると言っていいのではないか。
まあつまり、軽く進化していると言っても?
その能力が遺伝するのかと言われれば
わからないけれど、
彼はアクション映画スターとして生きる
環境の中で能力を磨き、獲得した。
進化の第一歩でなくて何であろう。

同じことは鈴木大地元選手にも言える。
この人は水の中という環境で、
特に背泳で泳ぐためにとことん適応した体を持っている。
上唇で鼻の穴をふさぐことができるし、
手には立派な水かきがあるし、
足首の柔軟性と言ったら、
長座の姿勢でひざを伸ばしたまま
足の裏を地面につけることができるそうだ。

柔軟性は水泳以前に個人が持っていた資質かもしれないが、
一流の水泳選手の手に水かきがあるという話はよく聞くし、
水泳をやっている人は肺が発達するので
一目でそれとわかるほど上半身がたくましい。

私が思うに、
もしも人類の一部が
1日の大半を水中で暮らさなければならないような
状況に陥ったとしたら、
水かきとか、呼吸器とか、
わりと簡単に進化するのではないだろうか。
進化と言うと何百年もかけて
特有の形質を獲得していくことと思いがちだが、
殺虫剤と競うように進化していく
ゴキブリのことを考えても、
そんなに時間がかかるものではないという気がする。

現に私の5歳年下の従弟などは、
犬歯が退化して生えていない。
固いものを食べなくなった人類の
あごの骨が小さくなっていることは知られているが、
戦後日本ではこの傾向に拍車がかかり、
今では犬歯が退化している子の割合が
かなり増えていると聞く。

このことから考えると、
現代の地球の資源量から考えて、
人類をはじめとする生物の体が
小型化する、という話も
あり得なくはないと思えるし、
数十年も前にそういう着想から作品を作った
手塚治虫という人の先見の明、
洞察の深さにはまったく頭が下がる。


……アレ?
この間見た映画「ラッシュアワー」の
感想を書いていたはずなのに、
いつのまにか昨日の「ブラックジャック」の
感想になっちゃってる……!!