タローは戦いごっこが大好きだ。
暇さえあればヒーローや戦士や王子になりきって、
仮想の悪と戦っている。
そして仮想では物足りなくなると、
実態のある怪獣ママゴンに
攻撃をしかけてくるのだが。
叩く、蹴る、斬る、撃つ、体当たり…。
言葉も通じない小さなころから、
「やられる役の人が痛いので
本気でやってはいけない」と
毎日毎日何度も何度も言い聞かせてきたので、
最近では痛い思いをすることはかなり減ってきたものの、
日々体力勝負なことに変わりはない。
加えて最近、彼にはマイブームの技ができた。
秘儀「飛び移り」である。
高いところへ登って、
そこから立っている私に飛び移る。
椅子の上、机の上、押入れの上の段、
塀の上、柵の上、体育館のステージの上。
これらの場所から
私が立っている方向へジャンプして、しがみつく。
たまに失敗してお尻や背中を
床に打ちつけているのだが、
一向に懲りる様子がない。
やられる方もたまったものではない。
ある程度「来るな」と覚悟できているときはまだいいが、
何の身構えも、心構えもできていないときに
17キロの物体が自分に飛びついてくるというのは
かなりの衝撃である。
タローの方は私がママ友達としゃべっていようが、
掃除機をかけていようがおかまいなしだから、
最近の私はかなりの頻度で
本気でよろめき、呻いているというわけだ。
いやしかし、
今までの私であれば、
いかに新技で攻撃されようとも、
母ライオンにじゃれつく子ライオンの姿を思い浮かべ、
(それが大事な狩の練習になってるんだよね…)
などと思いつつ、
適当に相手をしてやっていたはずである。
タローがわけのわからない赤ちゃんのころ、
あごに強烈な頭突きをくらって舌や唇を噛み、
口から血を流していた時代に比べれば
何ということはない。
だが今の私は違う。
何が違うって…
耳に開きたての穴が開いていて、
そこに決してはずしてはならないピアスがついているではないか!
4日目あたりに痛みが引いたとは言え、
穴はデリケートだし、扱いには慣れていないしで、
私は今、自分の耳に細心の注意を払って生活しているのだ。
髪をかきあげるのも、汗を拭くのも遠慮がち。
Tシャツの着脱や洗髪後のタオルドライなどは
「耳が怖くてできん!!」
と思うくらいである。
そこへタローのパンチとか体当たりとか、
ましてやしがみつきなんて、
絶対に、絶対にあり得ないのだ!
ママはね、マジで泣くよ。超泣く。
「タロータロータローッ!
お願いお願い。マジやめて。
頼む。頼むから。
ママ耳が痛いんだって。耳が!
…!う……!!」
こうして、新技を繰り出したくてたまらないタローと
耳を守ることに必死な私の戦いは
きょうもまた続くのであった…
暇さえあればヒーローや戦士や王子になりきって、
仮想の悪と戦っている。
そして仮想では物足りなくなると、
実態のある怪獣ママゴンに
攻撃をしかけてくるのだが。
叩く、蹴る、斬る、撃つ、体当たり…。
言葉も通じない小さなころから、
「やられる役の人が痛いので
本気でやってはいけない」と
毎日毎日何度も何度も言い聞かせてきたので、
最近では痛い思いをすることはかなり減ってきたものの、
日々体力勝負なことに変わりはない。
加えて最近、彼にはマイブームの技ができた。
秘儀「飛び移り」である。
高いところへ登って、
そこから立っている私に飛び移る。
椅子の上、机の上、押入れの上の段、
塀の上、柵の上、体育館のステージの上。
これらの場所から
私が立っている方向へジャンプして、しがみつく。
たまに失敗してお尻や背中を
床に打ちつけているのだが、
一向に懲りる様子がない。
やられる方もたまったものではない。
ある程度「来るな」と覚悟できているときはまだいいが、
何の身構えも、心構えもできていないときに
17キロの物体が自分に飛びついてくるというのは
かなりの衝撃である。
タローの方は私がママ友達としゃべっていようが、
掃除機をかけていようがおかまいなしだから、
最近の私はかなりの頻度で
本気でよろめき、呻いているというわけだ。
いやしかし、
今までの私であれば、
いかに新技で攻撃されようとも、
母ライオンにじゃれつく子ライオンの姿を思い浮かべ、
(それが大事な狩の練習になってるんだよね…)
などと思いつつ、
適当に相手をしてやっていたはずである。
タローがわけのわからない赤ちゃんのころ、
あごに強烈な頭突きをくらって舌や唇を噛み、
口から血を流していた時代に比べれば
何ということはない。
だが今の私は違う。
何が違うって…
耳に開きたての穴が開いていて、
そこに決してはずしてはならないピアスがついているではないか!
4日目あたりに痛みが引いたとは言え、
穴はデリケートだし、扱いには慣れていないしで、
私は今、自分の耳に細心の注意を払って生活しているのだ。
髪をかきあげるのも、汗を拭くのも遠慮がち。
Tシャツの着脱や洗髪後のタオルドライなどは
「耳が怖くてできん!!」
と思うくらいである。
そこへタローのパンチとか体当たりとか、
ましてやしがみつきなんて、
絶対に、絶対にあり得ないのだ!
ママはね、マジで泣くよ。超泣く。
「タロータロータローッ!
お願いお願い。マジやめて。
頼む。頼むから。
ママ耳が痛いんだって。耳が!
…!う……!!」
こうして、新技を繰り出したくてたまらないタローと
耳を守ることに必死な私の戦いは
きょうもまた続くのであった…
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