北の窓から(芦田っち)

PC関連と私的雑感のブログ。
2015年7月10日、カッコ内に名前を加えました。昔の友だちに気付いてほしくて・・・

CIA 失敗の研究・・・どこか似ている [part-2]

2009-08-26 07:04:17 | 雑感
[この記事は Doblog に 2005-10-09 16:28:15 付で載せていたものです]

直前に同タイトルの記事を書きました.
「CIA 失敗の研究」(落合浩太郎,文春新書 445)を読み終えました.
今回は同書からの引用とそこからの教訓のペアで感想を書いてみたいと思います.

  下線部が引用部です.
  カッコ()内は引用文のページです.
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インド与党の国民会議は核実験を選挙公約に掲げて政権を取った.しかしCIAは,選挙公約はリップ・サービスに過ぎず,国際的な批判も考えると実験は行わないと判断した.つまり,自分たちと同様の「合理的思考」を相手もすると信じる
「ミラー・イメージ」に陥り,インドのナショナリズムやパキスタンへの対抗意識の強さを理解しなかった.
(50-51)

自分の基準で相手を見る,
相手も自分と同じようにふるまうだろうと思うことはよくあります.
同じ情報を得ているなら,相手はこのように判断し行動するはずだと思い,
それが外れることを何度も経験しています(自分のこと).

それでも懲りず何度も類似の判断ミスというか予測ミスを犯してしまいます.
相手の基準を想像することが必要なのでしょう.
基準とは,必ずしも明文化されるようなものではなく,
性格であったり交友関係であったり,おかれた状況であったりします.
そのような中でどのように相手が判断するか・行動するかを予想する心的態度が必要だと思いました.

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ドイッチェは国防総省の勤務経験はあるものの,前職はMITの化学の教授で,諜報には疎かった.「エリート科学者」であるドイッチェは,自ら「技術屋」「衛星マニア」「SIGINTマニア」と公言し,人的諜報を軽視した.人事面でも,子飼いの女性を幹部ポストに就けて「ボーイズ・クラブの権化」である作戦本部を指揮させて衝撃を与えた.
彼女は諜報の素人のため当然のように作戦本部に相手にされなかっただけではなく,ドイッチェ自身も反感を買い,二人は男女の関係を疑われる始末だった」
(58)

二つの失敗要因がありそうですね.
素人判断,そしていわば情実人事(男女関係ではなく)でしょう.
ここら辺になると(規模は小さいながら)身近な例に枚挙のいとまなしって感じです.

素人判断・・・
つい最近,一種の制度変更に伴うシステム改修が予告されました.
関係部門との打ち合わせには上司が出て,私にお呼びはかかりません.
2,3回の打ち合わせがあったようです.
その結果は教えられます.
だって改修者が私以外にはいないのですから.
しかし,呼んでほしかった.
お鉢を回すのなら,関係者の一人とし発言の場がほしかった.
出ているメンバを聞くと,とてもシステムが分かる人たちではなく,
システム側の上司の判断でコトが進んだようです.
で,上司はシステム部門でそれなりの年数を勤めていますが,
残念ながら素人さんです.

お次は情実人事・・・
上で酷評(?)した人は当方の(歪んだ)判断では情実人事の産物.
まさに子飼いの部下を昇格させた.
その結果,その人としのぎを削る人は別の所属になってしまいました.
私個人としては,どちらも好きなタイプではありませんが,
別所属に異動させられた人のほうが(おおげさにいうと)将来の展望,
ロードマップを描ける人でした.
関係会社から来た人なので疎んじられたというより,
言うことを聞く子飼いの人が選択されたのだと思っています.
ひとこと付言すると,素人判断の話題についてはほぼ当たりで,
情実人事についてはまぁ一応,
ミラー・イメージに陥るのを避けて判断したつもりではありますが,
異見もあろうかと思います・・・
つまり,私の知らない判断があったかも.

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現場で体を張るオフィサーよりも法律家が力を持つようになってしまったというのでは,他の省庁と変わりない.CISならではの,リスクを冒しても国のために戦うという美風は急速に失われ,本部の顔色を窺いながら失敗を避けて任期を全うするという風潮が生まれた.(中略)存在意義が疑われ,士気が低下すると官僚主義が蔓延する.(中略)派手な衛星には予算が付くが,収集された情報の分析に必要な地味な仕事,たとえばアナリストや翻訳者には予算が付かなかったため,処理されない情報(インフォメーション)が多くなり,有用な情報(インテリジェンス)は増えなかった.(76)

これにも2つの教訓がありそうです.
現場軽視,そして派手好み(日本でも多い箱物好み)です.

現場軽視の風潮は珍しくありません.
昨今のようにストックホルダー重視の経営環境になると,
現場の声を聞くよりも生き馬の目を抜く投資家の動向に注意が向くようになります.
より卑近な例では,現場の声よりも会議出席者の声だけが通りがち.
現場はミクロな視点しか持たないかといえばそんなことはないのですが,
自分たちだけがマクロ(大局的)な判断をできると考える風潮があるように思えます.

派手好み,箱物好みも珍しくないですよね.
中央政府が地方に補助金を交付した結果,
地方には建物ばかり(目に見える箱物ばかり)が作られて,
数年も経つと白い象(white elephant :始末に困るもの、持て余しもの、金のかかる厄介物)になっている.
そして,その責任を誰も取らない.
箱物好みに共通するのは,結果を評価しない体質だと私は思っています.

あとで結果を評価する姿勢・体制があれば反省もできるはずですが,
それがないので花火が上がったときだけ打ち上げた人を評価し(褒め称え),
その結果,無残な投資となっていることに気が付かない(分かっていても知らないふりをする)体質ができあがる.
そうなると,(結果的に無駄になる)予算を取り,執行する人たちが出てきます.
後世の批評がない環境では,その当人も,それを許可した人たちもその場限りの成果を出してオシマイ・・・
ちょっと論旨がずれてきたのでこれでオシマイ.

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アメリカの諜報機関について調べていると,最も頻繁に目にする言葉が「ターフ」と「ストーブパイプ」だ.「ターフ」は縄張り争い,「ストーブパイプ」は情報を上司には上げるが,他の機関や部署(例えばCIAの作戦本部から情報本部)に伝えないことを意味する.これは,CIAとFBIの確執を物語る重要な言葉だ.(104)

「ターフ」と「ストーブパイプ」を英辞郎(+ PDicWin)で引いてみました.
 turf :
  【名-6】〈俗〉(ある範囲の)土地、シマ(チンピラなどが自称する支配地区)領分、テリトリー(政治・企業の部署などの縄張り争いで).

  

 stove-pipe => stovepipe:
   【名-1】ストーブの煙突

# ターフは当たりだったようですが,
  ストーブパイプは外れ,あるいはまだ辞書に採用されていないようです.
  念のため COD で stove pipe を見ましたが,
  結果は同じ(比ゆ的な意味は見当.たらず)でした.

さて,辞書の話ではなく,本題は部署間の確執.
これまた日本の社会でも大いにありそうな話です.
思うに,「部署」間だけではなく,「個人」間にも大いにありそう.
縄張りは「xx組」にもあるし,xx組の「幹部や下っ端」にもありそうですよね.
一段高い目的のためなら部署や個人を超えてもよさそうなのですが,
それがなかなかできません.
器量が狭いとひと言では片付けられない問題です.

人(他人)のことばかり非難していますが,私も同じ穴のムジナかも.
人をのろえば穴ふたつ・・・で,明日は我が身でもあります.
大いに教訓的だった「CIA 失敗の教訓」は
自己反省をもってお開きといたします.
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2 コメント

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Unknown (セフレ 大阪)
2009-08-26 17:26:34
あっつい辞書ですね。大学時代に使っていたのが懐かしいです
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?? (芦田っち)
2009-09-18 18:39:09
■ セフレ 大阪さん,

やはりお名前どおり,セフレでしたね.
それにしても,大学時代に使っていたのが懐かしいとは,ちょっとウレシイ.
返信する

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