1934年(昭和6年)9月 芙美子31歳
芙美子は北海道を旅しているが そのことに触れていなかった
作品としては「摩周湖紀行―北海道の旅より―」ほかがある(青空文庫リンク)
上記作品では芙美子は摩周湖・屈斜路湖・春菜湖(釧路郊外)を見て回り
明日は然別湖 というところで終っている
摩周湖
屈斜路湖
春菜湖
芙美子は石川啄木の歌が好きだった
上記摩周湖~の作品でも啄木の歌を口ずさんだ とある
<さいはての驛に降り立ち雪あかり 淋しき町に歩ゆみ入りにき>
さいはての駅とは釧路である (根室がもっと最果てにあるけど・・・)
また 啄木の釧路での愛人近江じんのことまで調べて書いている
啄木は郷里を離れて函館・札幌・小樽・釧路と転々とした
放浪の人という親近感を芙美子は啄木に抱いていたのかもしれない
因みに啄木の生没年は1886(明治19)-1912(明治45) 19歳でデビュー
芙美子は1903(明治36)年の生まれ 女学生の頃には口ずさんでいた
啄木には「札幌」という散文の作品がある(青空文庫にリンク)
啄木の北海道の歌は、詩集「一握の砂」~忘れ難き人々~に多く載っている
その中から地名の入った何首か
<函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌矢ぐるまの花>
<真夜中の倶知安駅に下おりゆきし 女の鬢の古き痍あと>
<札幌にかの秋われの持てゆきし しかして今も持てるかなしみ>
<わが宿の姉と妹のいさかひに 初夜過ぎゆきし札幌の雨>
<かなしきは小樽の町よ歌ふこと なき人人の声の荒さよ>
<しらしらと氷かがやき千鳥なく 釧路の海の冬の月かな>
<神のごと遠く姿をあらはせる 阿寒の山の雪のあけぼの>
今日で林芙美子シリーズは終わる・・・
つもりだったが もう1回書いておきたいことが生まれたのでもう1回次回へ
それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]