画家や作家は取り上げたが、詩人を真正面から取り上げることは無かった。
そこで今日は詩人を取り上げたい。
太宰や檀や安吾のあとだから、彼らと付き合った中原中也がいいだろう。
とはいえ、中也の詩をまともに読んだことは無い。
「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる・・・」記憶の断片だけ。
でも、彼には色々なエピソードがあって、話題には事欠かないハズ。
中原中也 1907(明治40)-1937(昭和12) 詩人・歌人・翻訳家
【太宰らと知り合った頃】
中也は初対面の太宰に向かってこう言った。
「何だ、おめえは。青鯖が空に浮かんだような顔しやがって」
太宰は中也より2歳年下、酔ってのこととはいえ、凄い言いようだね。
が、さすが詩人・・・青鯖が空に浮かんだ顔、なんて並みの人の発想ではない。
言われた太宰は委縮して、一言も答えられなかったという。
「お前は何の花が好きだい?」
「モ・モ・ノ・ハ・ナ」太宰は泣き出しそうになりながらそう答えた。
「チェッ、だからおめえは」
そのあとは書いてないが、「軟弱なんだよ」とでも言いたかったのか・・・。
安吾と初めて会った時も、中也は酔って絡んで、
「やい、ヘゲモニー(権力者)!」と喧嘩をふっかける。
しかし、安吾は巨漢で、中也は小柄で1m50cmくらい。
離れたところでボクシングのポーズだけだったという。
このへんは太宰と違って安吾の貫禄だろう。(安吾は中也より1歳年上)
中也については、安吾が「酒のあとさき」(青空文庫)で詳しく書いている。
ここで中也の別れた女房云々が出て来るが、これは次回で。
また、中也は日記の中でも罵詈雑言を書き散らしている。
「日夏耿之介は馬鹿。あの詩は空腹の沿革の形象だ」
「堀口大学。お前がどうして男と生まれて来たやら」
「古谷(綱武)、という世にも憐れな馬鹿あり」・・・キリが無い。
中也は音楽も好きで、作曲家の諸井三郎とも知り合った。
自分の詩に作曲を依頼している。
中原中也作詞・諸井三郎作曲「朝の歌」(MP3)(歌は上手くないが・・・)
今日はここまで。
明日またお会いしましょう。
[Rosey]