前回から遡ったり、重複する部分もあるが、時系列で進めよう。
1935(昭和10)
第1回芥川賞開催、『逆行』が候補となるが落選
彼の師匠であり選考委員の佐藤春夫は、不出来として選ばなかった
同じく選考委員の川端康成には、私生活に問題ありと指摘される
この川端に対して太宰が反論する
新聞社の入社試験を受け不合格、鎌倉で首吊り自殺を図るが未遂に終わる
盲腸炎から腹膜炎を起こし、阿佐ヶ谷の病院に入院する
腹膜炎の手術を受けるが、鎮痛剤パビナールの注射を受け依存症となる
学費未納のため帝大を除籍となる
1936(昭和11) 二・二六事件起きる
第2回芥川賞開催にあたり、佐藤春夫に受賞を乞う手紙を書く
佐藤は、パビナール中毒を治せと、太宰に入院治療を厳命する
第2回芥川賞は受賞者無し、候補に太宰作品は無かった
バビナール中毒が悪化したため、都内の精神病院に入院させられる
入院中にも、単身自殺を図るが未遂に終わる
また、太宰の入院中、妻の初代が彼の義弟と不貞を働く
また、太宰の入院中、妻の初代が彼の義弟と不貞を働く
以後、坂口安吾から見た太宰のことなど含め、太宰の人生を時系列でみて行く
1937(昭和12) 太宰28歳 安吾31歳
太宰は、初代25歳と義弟との関係を知る
谷川温泉付近で初代と睡眠薬自殺を図ったが未遂に終る
太宰と初代は離婚。初代は青森に戻って生家の魚屋を手伝う
井伏鱒二の斡旋で杉並区(天沼)へ転居する
(初代はその後満州に渡り青島で暮らす
一時帰国するが再び青島に戻り、1944(昭和19)死去。享年33歳。)
1938(昭和13)
石原美知子と見合い・婚約する
1939(昭和14) 第二次世界大戦突入
東京杉並の井伏宅で美知子(25歳)と結婚式を挙げ、三鷹市下連雀に住む
津島美知子 1912(明治45)-1997(平成9)
1941(昭和16) 12月8日、日本は太平洋戦争に突入
美知子が長女園子を生む
太宰は太田静子と出会い愛人関係になる
静子は太宰から門人との逢引を薦められるが拒絶、小田原へ転居する
太田静子 1913(大正2)-1982(昭和57)
1942(昭和17)
太宰は美知子をモデルに、「十二月八日」を書く
1944(昭和19)
長男正樹誕生
熱海で映画の脚本執筆中の太宰は、小田原を訪ね太田静子と再会する
1945(昭和20) ポツダム宣言受諾・終戦
空襲激化で妻子を甲府の石原家に疎開させる、後から太宰自身も疎開
爆撃で石原家も全焼、太宰は妻子を連れて津軽の生家に行く
8月15日、ポツダム宣言を受諾し日本は降伏、終戦を迎える
1946(昭和21)
坂口安吾が「堕落論」を発表する
1947(昭和22)
1月、太田静子が三鷹の太宰宅を訪れる
太宰から小説の素材に使うため日記の提供を依頼される
静子は、小田原まで取りに来てもらえば渡す、と約束して別れる
2月、小田原に来た太宰に日記を渡す この時に静子は受胎する
この日記は「斜陽」に使われ、その中で静子もモデルになった。
5月、生まれてくる子どもの相談で三鷹へ出向く
太宰は冷たい態度で、静子は自分は小説の材料にされただけかと怒る
この時、静子は、太宰の入水心中相手の山崎富栄 と鉢合わせしている
11月、静子は長女を出産する
静子の弟・通が三鷹を訪れ、太宰に新生児の命名と認知を依頼する
太宰は認知し、自分の本名津島修治の一字を取って、治子と名付ける
(後に作家となった津島治子)
また、養育費として 太宰が月々一万円を静子に送ることになった
静子は、太宰の子を産んだため、親類縁者から絶縁された
12月、「斜陽」が出版される
【山崎富榮~太宰との出会い・入水心中まで 】
山崎富榮 1919(大正8)-1948(昭和23) 美容師
1947(昭和22)
3月、飲酒中の太宰と知り合う
富榮の次兄が弘前高校で太宰の2年先輩、などから太宰に親しみを感じる
5月、太宰から「死ぬ気で恋愛してみないか」と持ちかけられる
富榮は、夫人を気遣いながら「恋愛するなら死ぬ気でしたい」と関係を結ぶ
11月、太田静子の出産を知り、富栄は激しい衝撃を受ける
しかし、太宰の看護婦役として自分の貯金を使い果たすほど尽くす
1948(昭和23)
富榮への太宰の関心は次第に薄れ、彼女は捨てられることを予感する
6月、太田静子宛てに、太宰と一緒に死ぬ、との遺書を送る
その夜、二人は玉川上水 に入水心中、6日後に遺体が発見された
太宰治38歳、 山崎富榮28歳だった
作品中の言葉から
<負けたから、死ぬのである。勝てば、死にはせぬ。
生きてみせ、やりぬいてみせ、戦いぬいてみなければならぬ。
いつでも、死ねる。そんな、つまらんことをやるな。
いつでも出来ることなんか、やるもんじゃないよ。>
1955(昭和30)
坂口安吾49歳、脳溢血で死去
太宰を愛人マニア、心中マニアと書いたらファンに怒られるかな
ともかく2回で終えて、次回からは別の人物や題材を取り上げたい
それではまた明日お会いしましょう。
[Rosey]