真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

逃げた麻生太郎

2009-07-17 14:24:59 | Weblog
揉めた末の結論は、「懇談会」。
両院議員総会だと、ヘタをすれば麻生太郎は辞任に追い込まれるかもしれない。
本人にしてみれば、「そんなの、格好悪い」。

しかも「懇談会」は非公開だという。

麻生太郎は、うまく逃げた。

麻生太郎は、テレビカメラの面前で批判されることを、病的に嫌がっている。それは日々のぶらさがり会見を見ればわかる。
記者の批判的な質問、それも、ごくごく控え目の質問ににかみつく場面がよく見られた。

これは、中身が薄くてプライドだけ高い政治家の特徴だ。

気持ちはわからないでもない。
おじいさんの吉田茂は、名宰相として知られる。
父親や、父方の祖父たちも、大実業家として知られる。
そんな閨閥の中で総理大臣になったのだから、
ぶざまな退陣だけは避けたい。

しかし、麻生太郎自身が胸を張って強調する経済政策は、
じゃぶじゃぶ、借金を無視して金を投入する政策で、
こんなことは勇気も何もいらない。
なぜなら、金を配れば国民も業界も地方も喜ぶ、
しかも官僚は邪魔しない。どころから、影響力を広げたい役所は、予算の増額でウハウハである。
誰からも文句は言われないのだ。

日本が本格的に借金に苦しみだすのは、
おそらく麻生バラマキ内閣の閣僚たちが引退した後。
つまり、こんな無責任な借金政策を推し進めても、
誰も責任をとらなくていいのである。

そういえば、麻生太郎と似た人々を見たことがある。

こんなに良いことをしているのに、一所懸命頑張っているのに
いま自分の境遇が悪くなっているのは、全部他人が悪い。
自分はこんなに能力があるのに、それを評価しない周りが悪い。
オレはこんなにすごいのに・・・。

こういう人は絶対反省をしない。
おそらく麻生太郎は、地方選挙での連敗を、
こんなふうに感じているに違いない。

「あんなのは、有権者が悪いんだ。
バカな有権者は、オレ様のすごい政策を理解できないから、
民主党なんかに投票するんだ。
それから、地方の党組織や地方議員たちがバカだから、
やつらの力が無いから負けたんだ。
なんでもかんでも中央のせいにするな!
バカで無力な候補者が、バカな有権者によって負けただけ。
なんでオレ様が謝らなくてはいけないんだ!
テレビばかり見てるバカな有権者が、テレビにのせられただけじゃないか」

漫画ばかり読んでいる麻生太郎に言われたくはないが、
それにしても、漢字だけではなく、
国民の空気も読めない政治家である。

一方で、こんな話を聞いたことがある。

ある自民党の一年生議員が、前回の参議院選挙大敗の時に、
「負けたのは、有権者がちゃんと政策を理解していないからだ。
有権者がいい加減だから、こんな結果が出るんだッ」
と、言った。
聞いていた某ベテラン議員が、一喝した。

「本当にそう思うのなら、議員バッチを外せッ!」

議員は、国民に説明し、理解を求めなければいけない。
どんなに正しいことをしても、国民の支持を得なければダメだ。
もし国民の支持を得られないのなら、それは訴え方が間違っているか、政策そのものが間違っているのである。

国民の支持を得られないことを国民のせいにするならば、
政治家の資格はない。
すぐにバッチを外せ。

こう、一年生議員に一喝したベテラン議員は、
今回、麻生おろしを主導した一人である。



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