真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

牧師の手記に記された軍人

2016-11-05 00:07:20 | Weblog
フィリピンと韓国。
アジアの二人の元首が、毎日のように新聞に出ている。

ドゥテルテ大統領と、韓国の朴槿恵大統領。

ふと、終戦後に行われたマニラ軍事法廷を、思い出した。

ドゥテルテ大統領は、ミンダナオ島のダバオ市長であったが、生まれたのはレイテ島のマアシン。
ミンダナオ島もレイテ島も、その周辺海域を含め、第二次世界大戦終盤、日米の大激戦地となった。

当時、そのフィリピン方面を統括していた山下奉文将軍は、戦後になってマニラ軍事法廷で裁かれ、絞首刑になった。

山下将軍処刑の現場に立ち会った牧師の片山弘二氏は、同じくマニラにて処刑された中で印象に残った人物の名を、手記に記している。

韓国出身の、洪思翊(こう・しよく)陸軍中将。

洪中将は、処刑執行を前にやや動揺していた片山氏に対し、

「片山君、何も心配するな。私は悪いことはしなかった。死んだら真直ぐ神様のところへ行くよ。僕には自信がある。だから何も心配するな」

洪中将は裁判中、自身に対する弁解は一切せず、部下に対する裁判の時のみ、証言をしている。

新聞を読みながら、こんなエピソードが、頭の隅をよぎった。

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津川雅彦さんの会でお話ししてきました

2016-11-03 00:39:18 | Weblog
先週、津川雅彦さんの勉強会に呼んでいただき、
講演をしてきました。

聴衆は俳優さん、女優さん、監督さんやプロデューサーの方、映像関係の学校に通う若者たち。
普段の講演とまったく違う雰囲気でした。

内容は、拙著『戦国大名失敗の研究~群雄割拠編』を基にしたもの。

大河ドラマなどで戦国武将を演じておられることもあって、興味をもっていただけたようです。

講演自体、楽しかったのですが、講演を終えてから俳優さんたちにいろいろなお話しをお聞きできました。

津川雅彦さんはご存知のように、「葵三代」で家康を演じられました。
津川さんは、
「家康は、実は短気な男」
と考え、それを表現をするために、家康の「爪を噛む」癖を利用したそうです。
頭にくると、爪を噛んで、嚙み切った爪を「プッ」、と吐き出す。
吐き出しそうになると、小姓が懐紙を広げて、それをうまく受け取る。
そういうシーン、たしかにあった。。。

また。
最近は喫煙シーンが極端に減ったそうですが、どうしても撮らなければならない時、煙草に火をつけるシーン、もしくは、煙草をもみ消すシーンだけを撮るようにお願いすることがある、と、でんでんさん。

せっかくの機会だからと思って、私がいつも時代劇を観ている時に心配していることをお尋ねしました。

「殺陣」をやっている時に、怪我をしないのか。。。

「アップで撮るときはジュラルミンだけど、殺陣の時はタケミツだから。それに、プロだしねぇ」

と、渡辺裕之さん。

「でも、素人が絡むと怪我することもあるんです」

と、秋野太作さん。

特に殴るシーンで、役者ではない出演者が、時々演技に熱が入りすぎて、本気で殴ってきたりするそうです。

「本当に殴るより、演技で殴った方が、ずっと迫力が出るんですよ」

さすが、プロ。

最後に感想を。

映像関係の学校に通う若者たちが、熱心に話を聞いてくれたことがとてもうれしかったです。

そして、津川雅彦さん。

津川さんは、政治的に保守系と見られていて、実際にもそういう主張をされています。

しかし、津川さん主催のこの会には、津川さんと政治的には反対側の人もいました。
たとえ意見は違っても、それを受け入れる度量と、意見は違っても、互いに人間として尊敬し合う清々しさ。
鬼のような演技もされる津川さんの、別れ際の優しい笑顔。
気持ちの良い、一夜でした。

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