真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

震災時の政権批判と、今後のブログについて

2011-03-31 01:17:56 | Weblog
何人かの方から、
「震災の非常時なのだから、政権批判はすべきではない」
というご意見を戴いた。

私も以前、本ブログに書いた通り、
災害時に政権担当者を批判する愚は避けたい、と、考えてきた。
が、どうしても現象面で見過ごせないことがあったので、
コメントをしてきた。

しかし、これまでの政治状況とは違い、
今は事実の確認が極めて難しく、実際に震災の現場に入ることも難しく、
物書きとして、無責任なモノ言いになる、と感じている。

友人にこの話をしたところ、
「君は君のスタンスで、たとえばこれから先の長期的な提言や、
歴史上の話から、復興のヒントを記してはどうか」
というアドバイスも戴いた。

しかし。
津波で押し流され、行方不明になった母親を、その災害現場で
「おかぁさぁーんっ!」と、大声で探している中学生の姿を見た時に、
「いま復興の話や、長期展望を言うのか?」と、自問自答してしまう。

政権批判は、絶対に必要である。
たとえば戦争をしている最中に、
「今は戦時だから」といって指導者を批判できなければ、
むしろ敗戦への道を進むことにもなりかねない。

復興の長期展望も、絶対的に大事である。
職場を奪われた人々の不安だけを考えても、
議論の余地が無いほど、即効の援助と長期展望は大切だ。

ゆえに、政権批判も長期展望も、書き続けるに値する。

しかしながら、私はできれば、
犠牲者家族や、行方不明の家族を捜す人々の心に寄り添いたい。
せめてしばらくは、その心の近くにいたい。

そうした人々もまた、自身の生活を成り立たせなければならないであろう。
経済的、あるいは法的な援助は国や地方自治体などが行えるとして、
私のような物書きができることは何であろうか。
それは、復興の中で忘れ去られるかもしれない犠牲者やその家族の心のそばにあって、
知識や情報を知らせるのではなく、
わずかでも「心の糧」を提供することではないか。
いや、単に無聊を慰めるだけでも良いのではないか。

そこで今後、本ブログは、たとえば被災者の方が読まれて、
少しでも癒しや、元気や、明るさや、穏やかさが取り戻せるよう、
震災とまったく関係のない話題にも積極的に触れていきたいと思う。

愛読者諸氏のご理解を、賜りたい。

緊急対応と再建

2011-03-27 14:20:18 | Weblog
福島県のいわき市に、
患者の移送を行う医療支援に行かれた医師からの報告。

まず、福島に着いても、風評によっていわき市に向かうタクシーがない。
ようやく病院に着いても、患者の移送手段がない。

「いつ移動できるともわからず待つのはつらいものでした」
「なぜ、連絡が来ないかがわかれば、まだ対応のしようもあるのですが、
どういう手順、どういう手筈でということがよくわからないまま、
いまかいまかと連絡をまつという感じでした」

これまで自家発電で頑張ってきたけれども、水道も復旧しないためギブアップという中小の病院から、入院患者が続々いわき市内の基幹病院に搬送されている。

「同じような大変な状況で、自らも被災者でいながら、医療に奮闘されている方々がいて、一方なんとか力になりたいという全国の医療関係者がいて、でもその間を取り持つシステムが脆弱なため、有効に活用できない状況です」

この点はぜひ、政府の災害ボランティアを担当する対策本部などが中に入ってやってもらいたい。

「官のみでなく、民が統率のとれた組織を形成し、補強しないとこの状況を乗り切れないのではないかということです。支援したいという情報を垂れ流すだけでなく、マッチングやコーディネイトする部署が必要です」

いわき市に医療支援に向った医師は、課題としてこうした提案をしておられる。
ぜひ、政府も検討・実行してもらいたい。

また、病院再建について、
もし中小診療所などの再建をせずに基幹病院に患者を集中させると、外来の増大によって入院機能が大きく損なわれ、在宅医療や慢性の病気などに対応が難しくなる、という指摘がある。

震災被害地域の中には、すでに再建に向けてかなり動き始めたところがある。
被害が甚大で再建が遅れている地域と、そうでない地域を段階別に分けての対応が必要である。
再建の進み始めた地域では、
拙速な大病院集中再建ではなく、地域の中小病院再建に意を用いる必要があると考える。

寄り添う両陛下、寄り添わない政治家

2011-03-25 23:18:50 | Weblog
ガソリンが足りない。

経済産業省のホームページを見ると、
東北地方(被災地)及び関東圏でのガソリン・軽油等の供給確保状況(3月25日)
http://www.meti.go.jp/earthquake/commodities/oil0325.pdf
というPDFが出ている。

「こんなにいっぱい、しかもここまで運んでいるぞ!!」
という内容が、事細かに1枚モノで書かれている。
つくった人は必死だろう。
買占めや不安を少しでも解消したいのだから。

私は思う。

経済産業省のホームページを開く。
そこには、被災地域のスタンドに
次から次にガソリンが運ばれる写真が何枚も載っていたら、と。

事細かな文字による説明よりも、被災地の地名の入ったガソリンスタンドにタンクローリーが入って給油している写真1枚の方が、どれほど安心を生むか。

さて。
この震災の中、埋もれたニュースがいくつかある。
政治家絡みで二つほど注目したい。

土肥隆一議員が竹島について、「日本固有の領土だと主張するな」という声明に署名した件。
謝罪会見では、「国を背負っている意識はなかった」と、現職の国会議員として信じられない寝言を言っていた。

知らぬ間に彼は、民主党を離党していた。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=19882

もう一人。松崎哲久衆院議員。
昨年11月の自衛隊入間基地納涼祭で、一方通行を無視して自身の車を逆走させ、言い争った交通統制員の自衛官の胸をつかんで強く押した、という出来事。

松崎氏本人は強く否定し、「(記事にした)産経新聞の謀略」とまで言っていた。
(本人ブログhttp://ameblo.jp/matuzaki-tetuhisa/archive2-201011.html#main
が、3月23日の参議院予算委員会理事懇で、防衛省の聞き取り調査が発表された。
http://www17.ocn.ne.jp/~isozaki/data/matsuzaki.pdf

ほぼ、産経の記事通りの内容だった。

3月25日付の産経新聞によれば、松崎氏は民主党での聴取に対し、「事実関係を大筋で認めた」という。
まあ、「産経がまた謀略記事を書いた」というかもしれないが、
「全く事実無根」「新聞報道の名に値しない記事」とまで、自身のブログでこき下ろしていたのだから、はて、これからどんなコメントが出るのか。

そういえば。
民主党の某有名参院議員が、大学生主催のパネルディスカッションにパネラーとして出席した時の話。
彼は外套も脱がず、ポケットに手を突っこんだまま何も発言せず、担当の学生に暴言を吐いたという話を聞いた。
どうやら、「議員先生サマ~」と、殿さま扱いしなかったのが不機嫌の理由だったらしい。

土肥氏は、国の領土に対する認識はもちろんだが、竹島近くで漁業を行っている日本の漁民の気持ちがまったくわかっていない。

松崎氏は、もし報道が事実なら、事故を起こさないよう任務を果たそうと一所懸命交通整理をやっていた自衛官の気持ちが、まるで理解できていない。

某参院議員は、大学生が一所懸命イベントを成功させようとした苦労がまったくわからない。

経産大臣は、ガソリン不足で不安を持つ人々の「気持ち」が、これまたまったくわかっていない。

どこにどれだけガソリンがある、ということよりも、被災地では、「いつ自分たちのところに届くのか」が問題であり、都市部では、「本当にガソリンがあるのか」という疑念を払しょくすることが大事なのである。

そういう、国民の気持ちが理解できない。

政府関係者のみなさん。
大変なのはわかる。だが、今は国民を「指導」するのではなく、寄り添おう。
犠牲者と、被災者と、不安を持つ国民に、政治は寄り添おう。
不安を持つ国民の立場から、すべての政策・対策をはじめよう。

いま、天皇皇后両陛下は、
自主的に停電をされておられると聞く。

千代田区は、計画停電区域に指定されていない。
しかし両陛下は、国民と「困難を分かち合いたい」と、
第1グループの時間に合わせて、電気を切っておられる。
時には、ろうそくや懐中電灯を使われている。

両陛下のお言葉が、胸に染み込んでくる理由が、わかった。

菅直人は、誰にも見えない

2011-03-23 23:01:53 | Weblog
再び、某テレビCMの改作。

「菅直人」はだれにも見えないけれど、「自衛隊や警察や消防や現地の活躍」は見える
「思いやり」は全然見えないけれど、「思い」だけは毎日聞かされる

民主党を支持する知人から、
「蓮舫大臣も枝野官房長官も、一所懸命やってるじゃないか。
なにがいけないっていうんだ?」
と聞かれたので、

「大臣が大臣の仕事をしていない」

と答えておいた。

彼らは、毎日入ってくる情報を懸命に精査し、国民に報告し、訴える。
たしかに一所懸命だ。それは認めよう。
だが、官房長官の役割は、役所の課長や報道官のそれではない。
全体を把握し、適切に各閣僚に指示をし、時には政治決断を行うのが仕事だ。

節電を呼び掛けるのも、買占めを叱るのも、ナイターをやるなと言うのも結構だ。
しかし、例えば節電呼び掛けなどは、完全に「東電目線」ではないか。
どうして東電のやる仕事を大臣がやっているのだ?

では、大臣の仕事とは何か。
それは、集まってきた事象を部下に分析させ、上がって来た精度の高い情報を基に、改善策を

「政策として実現・実行すること」

にある。東電と一緒に節約をお願いするのは大臣の仕事ではない。

東電は、「電力が足りない。節電をお願いし、足りなければ大停電を避けるために、計画停電を行いたい」、と言う。
役所は、「それじゃあ、法的にうまくいくよう調整しよう」、とする。
大臣は、
(1)節電・計画停電はやむを得ないが、影響を最小限にとどめ、不公平にならぬよう気配りし、
(2)いつまで続くのか算定させ、
(3)とりあえず直近で、電力事情を改善するためにどんな知恵(政策)があるのか考え、
(4)将来計画停電をせずに済む仕組みを検討し、国民に示して安心させ、
(5)これらをスピーディーに発表・実現する。

農家に対する補償もそうだ。
東電で足りない分を政府が補償するというが、誰が、いつ、どんな基準で、いくら、いつまでに、どんな形で支払うのか。
まったく決まっていないのに、「補償する」という口約束だけが農相から出る。

民主党は、党首が選挙で公に約束した
「沖縄の米軍基地は国外か最低でも県外」ということも、
「マニフェストに書いていないから、党の公約ではない」
と、堂々と主張できる政党だから、国民や農民は怖いのだ。
「また口先だけではないのか」、と。

少なくとも、
「まず現状、農家が破たんしないよう緊急にこれだけお金を出します。農家の方は安心して、残念ではありますが農産物を処分して下さい」
と、なぜ大臣は声を発しないのか。
まずは農家を安心させることこそ、役人には出来ない政治決断ではないのか。
農家できちんと処理されていれば、市場に出ている農畜産物はとりあえず安心だと、国民は思えるのではなかろうか。

さて。

いろいろな大臣たちが不思議な仕事の仕方をしているが、内閣の中でいちばん不思議なのは、総理大臣である。
まったく姿を見せない。
「(首相は)慌ただしく過ごしている。表に見える形で動くことがリーダーシップとして効果的な場合もあるが、多くの場合は、必ずしも目に見えるものではない」
とは、官房長官の弁。しかし、これは詭弁だ。

アメリカでは、危機が大きければ大きいほど大統領は国民に語りかけ、記者からの容赦ない質問に答える。厳しい質問に答える姿を見て、国民は安心をする。
「任せても大丈夫だ」、と。

菅氏は、
「東京電力との統合本部と連絡を取り、指示を出していることが多い」
そうだが、それは総理がやることだろうか?

防災担当大臣か、忙しいのなら、官房副長官クラスの仕事ではないのか???

まだ避難先に落ち着くこともできない人がたくさんいて、
多くのご遺体をどうするのかさえ決まっていない今、
菅氏が出て来て、
「一致団結!今こそ新しい国づくりを!!」
と叫ばれるよりは、官邸に閉じこもっていてもらった方が、たしかに腹は立たないが。

うーん、「菅直人は誰にも見えない」のが良いのかぁ……。

明治天皇と菅直人

2011-03-22 18:17:14 | Weblog
「視察に行く?」っていうと、「視察に行く」っていう。

「原子力に詳しい?」っていうと、「原子力に詳しい」っていう。

「決死の覚悟?」っていうと、「決死の覚悟」っていう。

「それじゃあ、視察に行く?」っていうと、「雨なのでやめます」っていう。

こだまでしょうか。

いいえ、菅直人です。


知人が考えた某CMの詩の改作である。

「ヘリコプター離着陸が困難になったため」、現地視察中止というミエミエの言いわけ。
「首相が現地入りすると、かえって震災対策・被災者支援にあたる現地当局の負担を増す」という批判が閣内であったという。そんなことはわかりきっているのに、強行しようとした菅氏の頭の中はどうなっているのか。
行かなかった本当の理由は、現地で避難民から批判される映像を撮られたらまずい、という話も聞いた。

いずれにしても、自分が見に行く前に、全体を把握するシステム構築に努めてはどうか。
こんな総理なら、居ても居なくても一緒。
そんなに現場に行きたいのなら、視察ではなくずっと避難所にいて、
あるいは福島の原発の現場にいてもいいのではないか。

さて。
東京消防庁のレスキュー隊に
「言う通りにしないと、処分するぞ!」
と暴言を吐いたのは誰か。

おそらく、海江田大臣の意を汲んだ小役人だろう。
海江田氏が口をつぐんでいるので、よほどひどい内容だったのだろうが、詳細はわからない。いずれにしても、「おいッ、放水はどうなってんだ!」くらいの怒声を部下に浴びせて、それにビビった小役人が過剰に反応したのだろう。

繰り返すが、詳細は本人が言わないのでわからない。
さすが、都合の悪い事は発表しない東電の、監督官庁の長である。

役に立たない首相だが、もし福島の現場に居れば、海江田大臣も小役人もまさか首相に向かって、
「言うことをきかねば、処分するぞ!」
とは言えまい。
菅氏も、それくらいの役には立てるかもしれない。

いま、菅氏は一日中、安心・安全・暖かい首相官邸の中で、三食満足に食べながら、報告を受ける以外に何をしているのだろう。

明治天皇は日露戦争の最中、真夏にも、熱暑の兵を思って冬服をまとい、あるいは兵と同じ食事を取られていた。

明治帝のような徳まで求めはしないが、大臣や政治家はお得意のパフォーマンスでも構わないから、空虚な言葉、偉そうに国民への説教など垂れずに、せめてその生きざまを見せてはどうか。

現地を思う生活態度を見せれば、部下の役人が現地に対してバカな発言はすまい。

まあ、総理大臣が思いつきで衝動的にしか動けないのだから、あとは推して知るべし、か。





観光地に被災者を受け入れて、観光関係の損失と被災者双方を助けよう!

2011-03-21 21:41:59 | Weblog
放射能の被ばく量。

「通常の安全基準を、非常時なので緩和する」
聞こえはいい。しかし、
「では通常の基準は、大げさなのか?」
と、誰もが思う。

そしてもっと大事な視点は、
その大幅に緩和されてしまった基準の中で、現に、
自衛隊や消防、あるいは東電の関係者が、懸命の作業を続けている、
ということである。

「非常時だから仕方がない」

というのは、当事者だけが口にできる言葉だという気がしてならない。
心の底から、自衛隊、消防、警察、医療関係者に敬意を表したい。

さて。
いま多くの人が感じていることを、簡単に言えば、
「なぜもっと柔軟に対応できないのか?」
ということではないか。

「物資はあるある」と叫んでいるが、「届かない!」と悲鳴を上げる被災地の映像が毎日流れ、あるいは個人的に支援を求めるメールが私のところにも来る。
つまり、政府発表と国民の実感に明らかな差があるのである。

ようやく政府の支援体制は整ってきたが、
例えば海外からのレスキュー隊が、効率的に作業をするための配置指示が来ないため、たいへんフラストレーションが溜まっているという。

が、今は、政府の無能ぶりを批判していても事態は進まない。

そこで、知人から有益な提案があったのでご紹介したい。

第1は、ヘリコプターでの物資落下である。
避難所や孤立住民に必要な物資をヘリコプターで上空から投げ落とす。

(1)ガソリンなどの燃料は難しいが、食料、医薬品、その他可能な物資をヘリに積む。
(2)落下地点はあらかじめ、報道ヘリを飛ばして映像と共に放送し、
   同時に上空から詳細を書いたチラシをまく。
(3)予定時刻に予定場所へ物資を落下。

なおその際、通信機材も落下させる。
また念のため、数字やアルファベットで必要物資がわかる一覧表も投下し、その記号を地面に大きく記せば、通信不通地域でもできるだけ必要物資が届けられるようになる。

第2の提案は、観光地での被災者受け入れ。

後方搬送されている方の多くは高齢者で、臨時の体育館型システムには無理がある。よって、たとえば、家族のようなきめ細かいお世話ができる各地の民宿に泊って戴く、というもの。

地震の影響で、被災していない近隣観光地では大幅な客数の減少があり、死活問題にもなっている。政府がお金を出せば、被災者も、観光地も、両方助かる。

この案を考えた方は、

「菅総理大臣が、『ひとり1日、いくらで引き受けてくれ』と宣言すれば、後方搬送が進みます。しかも、体育館型システムと異なり、社会でお金が回ります」

と言っている。私も大賛成である。

くだらない演説や、わかりきっている節約の説教を垂れるヒマがあるなら、こうした知恵を出し合って、有効で具体的な策を出してはどうか。
そうすれば国民は、官房長官や首相の会見を、疑心暗鬼ではなく、
「今度はどんな素晴らしい策を出してくれるのか」
と、期待をもって見ることができる。

もし政府がやらないのなら、ぜひ野党がマスコミに向けて発表してほしい。
政府批判や、ただ「震災対策については協力する」では、
野党の役割を十分果たしているとは言えまい。





「新しい国づくり」の前に

2011-03-20 22:37:03 | Weblog
たとえば。
A社の工場で爆発事故が起きた。
同時に、A社の支社の建物が、突然崩壊した。
さらに、A社のつくった電気コタツで発火事故が起きた。
このすべてのことを、社長と専務だけで担当している。

対策会議をいくつもつくったが、全部社長か専務が代表に。
つまり、社長や専務の決裁が無ければ動けない。

現場は、後々の責任を問われるのが嫌だから、正直な情報を送ってこない。
怒ったり説得したりして情報が出てきたが、今度は出過ぎで整理できない。

硬直した状態にやっと気付いた社長と専務は、
「現場は柔軟に対応しろ!」
と、現場に丸投げ。
結果、工場爆発事故に人員が集中し、
コタツ発火の対応ができなくなった。

「全社一丸となって困難にあたれ!」
という社長の号令で、企業活動がストップしている間のお金のやりくりなど誰も気にしない。

大赤字が発生し、誰も会社の展望が見えない。

まだ工場が燃え盛り、支社のビルは崩壊したまま、コタツの出火事故で犠牲者が出続けている最中に、社長は、こう言い放つ。
「これから、あたらしい会社をつくっていこうじゃないか!みんなが力を合わせて、新しい会社づくりに邁進しよう!」

バッカじゃないの!?

さて。
以前政府関係の仕事をしていた知人が、今回の事態に、以下のような案を知らせてくれた。

官房長官級の大臣を五人、以下の担当で官房長官直率に置く。

(1)被災地(救出)
(2)被災地(兵站、援助)
(3)被災地(復興計画)
(4)原発
(5)後背地経済

原発と震災被害を切り離すのはやっと始まったようだが、被災地を支援する隣接した地域の経済について、政府はほとんど目をやっていない。

被災地域がお客さんであった場合、被災地を支援する隣接地域の経済も間違いなく大きな影響を受ける。

大企業のように巨額の内部留保があったり、個人的に資産のある零細企業はまだよいが、資金に余裕のない、ある程度人員を雇用している中小企業は、この半月の仕事が無かった分、売上が立たない。キャッシュフローを乗り切れるのか。

(5)の後「背地経済」について、政府に早急の対策を望みたい。

1万人以上の人々が行方不明の、震災直後のこの段階で、「新しい国づくりを!」などと、被災者の神経を逆なでする妄言を吐いている鈍感政権に、せめて言葉通り、「新しい国づくり」が出来るだけの下準備をしてもらいたい。
すなわち、確実に減るGDPと増える国債の負担、原発に頼れなくなっていくエネルギー状況の中で、現実的にどんな方向で、そして具体的にどんな手段で国は再生できるのか。

民主党のバラマキや、鈍感首相の「第3の道」など、絵空事はもうたくさんだ!
まともな、実現可能な、具体的な政策を今こそ示す時である。

いでよ、平成の高橋是清

2011-03-19 21:14:46 | Weblog
たとえば。
それまで仲の悪かった異性から突然、
「結婚しよう!」
と告白されたら、びっくりだろう。
それもいきなり「電話」で。

今回の菅氏の谷垣氏に対する入閣依頼は、そういうことである。

わたしは本ブログで、自民党の協力を得るべきだと主張してきた。
協力を受ける以上、相手が呑める環境にするべきなのは当たり前だ。

ところが。
政権側にまったくその気配がない。
世論が政権批判を強め、野党との協力を求めている状況を見て、
実に卑怯な手を使ってきた。
最初から条件も何も提示せず、ただ協力を求める。

言い方を変えれば、
「内閣に入れてやるが、何でも言うことを聞けよ。予算も通せよ!」
と、呑めない条件を押し付けてきた。

「オレは協力を求めたが、自民党が断ってきた」

そういう形をつくりたかったことが見え見えである。

なぜそう言えるのか。

第1に、もし菅氏が本気なら、条件を提示したはずである。
第2に、もし菅氏が本気なら、大枠の下交渉を行うはずである。
第3に、もし菅氏が本気なら、電話ではなく、少なくとも官邸で直接話し合ったはずである(二人の直接対話は震災後何度も行われているのに、入閣の話はこれまで皆無)。
第4に、もし菅氏が本気なら、仙石氏の起用は行わないはずである。

野党が問責決議でクビにした仙石氏を、官房副長官として再起用した。
「あんた方野党がクビにした仙石さんは、私ら民主党政権には必要だから、野党の意向なんか関係なく、また内閣の一員にしますよ。誰を使おうとこっちの勝手だ!」

野党にケンカを売っておいて、野党に協力を求める。
口では「国難だ、一致協力だ」と言いながら、行動は正反対のことをする。

卑怯である。

一方の谷垣氏。
こうした申し出に対して、なぜ条件を付けなかったのかわからない。
たとえば。

「国難だ。閣内で協力しよう。ただし、期限は三カ月。協力できる内容は震災関係のみ。予算は必ず自民党と協議し、子ども手当、高校無償化などは盛り込まない。そして7月をめどに解散・総選挙を行う」

こういう条件なら、国民も自民党党内も納得できた。しかし、谷垣氏はそうしなかったようである。

かつて田中義一内閣で金融恐慌を立て直す際、高橋是清は蔵相を懇請され、最初は断ったが、次のような条件で引き受けた。

「30~40日間なら引き受けよう。それで財政は安定できる」
実際、財政は安定し、42日間で高橋は蔵相を辞任した。

こういう見事さを、谷垣氏に求めるのは難しいかもしれない。
なにせ、こんな状況下で増税を菅氏に進言したというのだから、呆れはててモノが言えない。
経済の素人だって、震災後の混乱の中で増税すれば、購買意欲を削ぎ、景気が冷え切るくらいのことはわかる。

蛇足だが、高橋是清は金融恐慌の際、銀行の取付騒ぎを防ぐため、片面しか刷っていない紙幣を銀行の窓口に山ほど積み上げて、国民の不安を取り除いた。両面刷っている時間がもったいなかったのである。

高橋は、「銀行はつぶれないぞ!お金はあるから、あわてるな!」と叫ぶよりも、現金を見せた方が国民が安心することを知っていたのだ。

どこかの無能大臣たちのように、
「節電しろ!さもないと大停電だぞ!」
と国民を脅したり、
「たくさん物資はあるんだ!買占めなんて不見識なことはやめろッ!」
と説教を垂れて、国民に安心を与えるどころか不安をまき散らす阿呆とは、
まったく違う。

こういう素人衆には、ぜひ歴史を学んでほしいが、しかし、手遅れなのだろうか。
平成版・高橋是清の登場を、望んでやまない。









野党にも、実質的な協力を求めよ

2011-03-18 23:15:07 | Weblog
災害時に、政権担当者を批判する愚は避けたいと、我慢してきました。
が、いくつか指摘をしなければなりません。

「物資はちゃんとありますから。買占めはしないで!」
「いま被災地は、たいへんな状況なんです!」

蓮舫大臣の、教師が生徒を叱るような口調を聞くたびに、
「お前に言われなくても、普通にテレビを見ていればわかるよ!」
と言い返していますが、感情的にならずに申し上げたい。

いま、物資がちゃんとあるのは、多くの国民はわかっているのです。
でも、ガソリンが無ければ運べないでしょ?
だから、不安になるのです。

ガソリンはいつ、どうやって手に入るのですか?
災害や原発対応で信頼できない政府の言うことを、素直に聞けますか?
最初、原発は大丈夫だと言ってたじゃないですか?
物資、本当に大丈夫なのですか?
ダメになったら蓮舫さん。菅さん枝野さんと一緒に、食べ物を配って歩くのですか?

自分たちのやっていることを棚に上げて、食べ物を求める国民を叱るなど、いい加減にしてほしい。「生活が第一」、が、聞いてあきれる。

東京など、被害をほとんど受けなかった地域はまだいい。
しかし、いま寒さと飢えと、原発被害に遭っている国民は、政府の具体的な対応を知りたがっているのです。

(ちなみに、皆さんご存知の通り、蓮舫大臣は「災害対策予備費」、「学校耐震化予算」、「地震再保険特別会計」を大胆に仕分けした一人です。仕分けでは「スーパー堤防」も不必要だとされました。たしかに一部、無駄の温床はありましたが、災害関係予算を、災害のド素人である某有名評論家の女性に仕分けされるなど、課題は多いですね。この点はまた改めます)。

仙台の病院が、物資について国に問い合わせたら、「県にある」と言われたそうです。
しかし県は、ガソリンがないから運べない。
さらに大きな問題は、県は病院からの要請を待って物資輸送をしようとしているようですが、被害の大きかった場所ほど通信手段がなく、たとえば東北大の先生方は、自分たちが知っている沿岸部の中小の病院を、個人的に訪ね歩いているそうです。

先ほど、テレビに小宮山洋子・厚生労働副大臣が出て、ほほ笑みながら、
「はじめてのことなので――」
と、信じられない言い訳をしている。
今すぐ、バッヂを外してほしい。

細川厚生労働大臣は、「子ども手当を全額欲しいとは言わない」などと、まだ子ども手当の方が災害対策より大事だと妄言を吐いている。

菅首相は。

「しっかりと助け合って、苦しい避難生活を乗り越えてもらいたい」

言われんでも、助け合ってるわいッ!
こんな、何の具体的対応策も示さず、心にも届かない精神論をブツひまがあるなら、一滴の水、一滴のガソリン、一粒の薬を運ぶために、厳寒の中でお得意の「現場を指揮」してはどうか。

一滴の水、一滴のガソリン、一粒の薬が運ばれるごとに、流される辛い涙が一滴ずつ減っていくと思います。

いま政権に求めるのは、「聞く耳を持ってほしい」ということです。
自民党の石破氏は、「災害と原発の担当を分けて対応せよ」と、しごくまっとうなことを言っています。
野党、特に自民党には災害や危機管理のエキスパートがいます。
彼らを迎え入れることに、何を躊躇しているのか。

民主党政府という名の、善意あふれる無能集団にせめて、人の意見を聞く耳を持ってほしい。
それだけを願います。

お見舞い申し上げます

2011-03-16 15:52:36 | Weblog
このたびの巨大地震において、被災されたみなさまに
心からお見舞い申し上げます。

以下、知人や友人から、有益な情報を戴きました。

津波、地震、みんなの健康 特に被災者と作業者の健康をまもるヒント集
http://kojiwada.blogspot.com/2011/03/blog-post_15.html

被災地の被災後の詳しい空中からの写真
http://saigai.gsi.go.jp/photo_h23taiheiyo-hr/photo/index.html

東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識
(放射線医学総合研究所)
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3

どれもわかりやすく、専門家のつくったもので、
流言飛語やマスコミの過剰報道、また政府の不十分な発表などを
補ってくれると存じます。

お役に立てれば幸いです。