真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

講演会のことなど

2011-02-17 15:41:19 | Weblog
いつもお読み戴き、ありがとうございます。

最近、講演会や勉強会の講師依頼についてお問い合わせを戴くので、時々ブログで講演関係の状況などお知らせしたいと思います。

先日某所で講演をしましたら、講演後に予想外のお手紙やご連絡を戴き、びっくり致しました。

講演は、600以上の村々を困窮から救った人物の生きざまを通して、お金に困った時の生き方、経営や地方の再建についてのものでした。

「道徳のない経済は罪である。経済の無い道徳は寝言である」
「貧者は昨日の為(借金返済などの為)に働き、富者は明日のために働く」

このような言葉を残した人物、それが二宮尊徳です。

以前、
『日本で一番不況に強い男』~二宮尊徳の成功実学に学べ(中経出版)
という本を書いた時、まったく面識のない某大手保険会社の経営者や地方自治体の関係者から「うれしかった」という内容の反応を戴き、物書きをしていて良かったと感じました。

良い考え方は、たとえ昔のことでも現代に通じるものがあります。

講演を聞いて下さった方たちは、二宮尊徳の極めて合理的で画期的な考え方に、現在のご自身が置かれている状況や日本社会全体を投影されて、ご納得されたのではないでしょうか。

中国にGDPで抜かれ、経済規模では「世界第三位」となりましたが、考えてもみて下さい。
江戸時代後期、二宮尊徳が復興に向かった村々では、餓死寸前のところも多く存在したのです。「世界三位」どころではありません。

それと比べたら、いまの日本にはどれだけ復興と再生の可能性に満ち満ちていることか。

尊徳さんの考え方は、元気とやる気が湧いてきます。

講演につきましては、本年は3月と4月、比較的時間がとれます。
瀧澤のホームページからお問い合わせ戴ければ幸いです。
http://www.t-linden.co.jp/book/ 
(画面下にある、「瀧澤中事務所からのお知らせ」をご覧ください)。

経済人の責任

2011-02-13 01:36:39 | Weblog
おせっかいな友人Xが、

「お前、あんなカミさんじゃ、将来はないぞ。もっと若くて考え方の新しい、フレッシュな女を妻にしなければいかんよ。そうしないと家計もダメだし、隣近所との付き合いだってダメになるよ。俺が世話するから、離婚して新しい奥さんにしろよ」

と言って、見てくれの良い若い女性、A子と再婚したB君。

A子は口は達者だが、暮らしていくうちにいろいろ欠点が見えてきた。
前の奥さんより浪費癖がひどく、隣近所との付き合いも上手にできず、しかも「もっとお給料から家計費をくれないと、暮らしていけないワ」と言って、前の奥さんよりも派手に借金をし始めた。

A子はまた、B君の子どもに、
「私があなたの母親になったら、あなたの部屋に間借りしている外人を家から追い出して、静かな子ども部屋にするわね」と言っていた。
前の奥さんは、外人に別の部屋に移ってもらう約束をしていたが、
「冗談じゃないワ!なんで外人がウチにいるワケ?!最低でも離れに行ってもらうワ!」
と息巻いた。

が、結婚した後、外人を家から追い出すどころか、子ども部屋から出て行ってもらうことも出来ず、「仕方ないわネ」、と早々にあきらめた。今では母子の信頼関係は完全に崩れ、会話もまったく無い。

B君は途方にくれている。
(いったいどこで間違ったんだ?Xの言うことを聞かなければ良かったのか…)

さて。A子が民主党だとすると、民主党を「世話した」Xは誰か。
このXの中に、著名な経済人がいる。
民主党を応援していた経済人の中でも、某自動車メーカーの経営者と、京セラの創業者、日本航空会長の稲盛和夫氏は突出していた観があった。

最初に断っておくが、経営者だろうが芸能人だろうが、日本で特定政党の支持を鮮明にすることはひじょうに勇気がいる。だから、そういう人々には、支持党派を超えて敬意を表したい。
一般の人々がより政治を身近なものにするためにも、彼らの発言は貴重である。

その上で、問いたい。
誰が何を支持しようと自由である。しかし、支持した結果について、責任は無いのか。

稲盛氏は、私費で政権交代の意見広告を新聞に載せ、小沢一郎元代表とテレビにも出演した。
批判を承知で堂々たる行動をとった。立派である。

そして、望み通りの政権交代。
いま、民主党政権は国民からの支持を失っている。で、稲盛氏はというと。

「現在の(民主党の)体たらくに落胆している。こんなつもりで支援したわけではなかった」(毎日新聞2011年2月8日)

そうですか。
では、勇気ある行動派の稲盛さんのことだから、応援した責任をとって、たとえば民主党に対する意見広告を出すとか、親しい民主党幹部たちをどやしつけるのですね。
あるいはご自身で言っていた、

「民主党が天下をとってもいい加減な政治をすれば、次に修正された自民党が政権をとる。何回か繰り返す間に必ずすばらしい人類の英知が生まれ、新しい国に変えてくれる」(朝日新聞2008年7月24日)

ために、行動するのですね。
言いっ放しなんて、無責任で軽薄な評論家のようなことは絶対にしないと思いますが。
どうなさるのですか?

「この後、新しい政治体制ができるのでしょうが、静観します」(毎日新聞同上)

はい?「静観」ですか?
煽って、かき回して、人を信じさせて、今になって「こんなつもりで支援したわけではない」と失敗を認めたにもかかわらず、「静観」ですか???

A子をB君に世話したXは、決して結婚後の責任はとらない。
「まあ、他人の家庭のことだから」

稲盛さん、あなたにとって政治は今や「他人ごと」なのですか?
私も若い頃愛読し、影響を受けた稲盛さんのご著書。
「人間いかに生きるべきか」と、ご立派なことをたくさんお書きになっている稲盛さんですから、きっと何か責任を取られるのでしょうね。
期待しています。

いや、これは稲盛氏からの、国民に対する警鐘ではないか?

有名人だろうが有能な経営者だろうが学者だろうが、彼らが言っていることを鵜呑みにしてはいけない。
私たち一人ひとりが自分の意見を持ち、自分が政治に参加するのだ、という意思を持たなければ、有名人にだまされてとんでもない目に遭うぞ、ということではないか。

さすが稲盛氏、と、一応しておこう。