真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

民主党のCM

2012-11-16 23:56:33 | Weblog
15日の衆議院本会議は、3時間遅れで始まった。
亡くなった議員の追悼演説を聴くために、その遺族たちは、ずっと待たされた。

本会議が遅れた理由。
それは、本会議直前に、常任委員長等の手当廃止法案を突然、民主党が提出したために起きた混乱だった。

選挙前に、「わたしたちはこんなに努力してますよ」、とアピールするため、民主党は混乱などお構いなしに突然法案を提出したのである。
亡くなった同僚議員への敬意も弔意も、あったものではない。

思えば、この政党は、問題の連続だった。
オープンな政治を掲げながら、尖閣での中国漁船の暴挙をひたすら隠す。
TPPの情報を開示せず、朝鮮学校に対する授業料無償化も、いったいどんな議論を誰がしているのか、はっきり出さない。
クリーンなはずの民主党で、政治資金の不適切な問題が続出。
マニフェストに載っていない消費税増税を、選挙を経ずに強行…。

要は、不誠実なのである。

次々に党を離れて行く人々。
基本政策、基本的な価値観を共有せず、綱領もつくれなかった「お粗末政党」が、いずれこうなることは、識者でなくてもわかる。
不誠実な人たちの集まりが、自壊していく。

そして民主党は、なぜか準備万端でテレビCMを流し始めた。

「今と未来に、誠実でありたい。」

「今」のことも、「未来」にも誠実ではない政党が、何を言っても、何の説得力もない。
鳩山由紀夫・元首相は、
「国民が聞く耳を持たなくなった」
と、自身の失政を国民のせいにしていたが、今や本当に国民は、民主党の言う事に聞く耳を失った。

そして、この政党の致命的な欠陥が、このCMの謳い文句に隠されている。

「今と未来に、誠実でありたい。」

過去は、どうでもいい。過去に誠実でなくていい。過去は、自民党がやったことだから、俺たちには関係ない…。

きょう、菅・前首相がテレビで、

「膨大な財政赤字は、この民主党政権の3年間ではなくて、自民党政権時代につくられたものだ」

とインタビューに答えていた。

たしかにその通りだ。しかし、史上最大の赤字予算を、バラマキ政策実現のために3年間組んだのはどの政党か。

「今と未来に、誠実でありたい。」

過去3年間は、誠実ではなかった、ということか。
だから、こうとしか言えないのであろう。
しかし、過去3年間誠実でなかった政党が、どうしてこれから誠実になれるのか?
その答えは、CMの中に、ない。

田中文相が大臣不適格である理由

2012-11-13 16:07:16 | Weblog
「混乱を招いた」
という、今回の大学認可問題。

詳細はすでに報道されている通りだが、
では、田中文相のどこが問題だったのか?

2点ある。

1つは、ルールの無視。

決まっている手順を踏んで、認可されるはずだったものを、
その手順を無視して不認可にする。

野球のゲームに例えよう。
王貞治がA球場でホームランを打った。
王がホームベースを踏んで1点が入った。
ところが。
コミッショナーが出てきて、
「A球場は他の球場より狭いから、ホームランとは認めない」
と言いだした。
こんな無茶が通じるわけがない。

球場の問題は、公式試合が始まる前に改善させるべき問題で、
他の選手がこれまでその球場で打ったホームランも無効にしなければ、
理窟が通らない。

要は、滅茶苦茶なのである。

2つ目の問題は、
想像力の欠如。

不認可にした場合、どんな影響が出るのか、よく考えない。
誰がどんなふうに困るのか、思い至らない。
不認可にした場合、どうすれば彼らを救えるのか、興味もない。

他人のことを思いやれないというのは、
他人の痛みに無関心だからである。
弱者の味方だと口では言っても、結局のところ、自分が下した影響についてなんの考慮もできない。
「正義の人」を装っているだけなのであろうか。

厳しすぎるかもしれないが、しかし、民主党政権の政治家たちには、鳩山元首相を持ち出すまでもなく、この手の、想像力が欠如した政治家が多すぎる。

自分が下した判断、自分が参加した集会、自分が発言した内容、こういうことに、きちんと責任のとれる、もう少し「まとも」な政治家を、次の選挙では選びたい。