真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

自民党総裁選、その前に

2009-09-24 13:57:43 | Weblog
9月28日に、自民党総裁選の投票が行なわれる。
マスコミのそのあまりの扱いの小ささに、驚いているのは自民党関係者だけではあるまい。

1時間枠のニュースの中で、自民党総裁選の候補者会見がフラッシュ・ニュースの数十秒。

これが、敗戦、ということなのだろう。

そんな中、自民党の会合で、今回の総選挙敗北の責任について、選挙直前の「麻生おろし」が原因とする発言があった。
びっくりした。
いま選挙を終えて、敗戦の原因はトップである麻生太郎だと、はっきりしている。
「麻生をおろせなかった」のが、敗北の最大の原因ではないか。

「ガン」を取り除こうとした医者に、
「お前が手術をしようと騒いだから、患者が死んだのだ」
と、目茶苦茶なことを言っている医者がいたら、あなたはどう思うか。

静岡県知事選、東京都議選、その前から敗北の予兆はあった。
これら地方選挙の敗北を総括せずに総選挙に臨んだのだから、
総選挙が同じ結果になるのはわかりきっている。
どうして負けたのか、その原因を総括しなければ、次も同じ戦い方をするに決まっている。だから、負けたのだ。

地方選挙での総括をしなかった理由はわかっている。
敗北の原因が麻生太郎とその政権にあることを明らかにしてしまうからだ。
総理総裁のブレる発言、選挙を終えてなおその原因を「小泉改革によるゆがみ」と、他人のせいにする無責任さ。

選挙で負けようと、麻生太郎とその閣僚たちは生き残りたい。
だから総括をせず、そのくせ自分の選挙だけは一所懸命にやって、
見事麻生内閣は全員当選した。自民惨敗の一方で。

自民党総裁選の前に、惨敗の総括をちゃんとやってほしい。
自民党支持率を見れば、その凋落が安倍内閣当時に郵政造反組を復党させたところから始まっていると、はっきりしているではないか。
マスコミは民主党礼賛の一方でほとんど論評しないが、「みんなの党」が、準備も組織も無いのにあれだけ得票したことを、冷静に分析してほしい。

総裁選の前に、どうして負けたのか、もう一度見直そう。
ガダルカナルなど島嶼戦において立て続けに玉砕を強いたのは、なぜ負けたのか素直な反省をしなかったからだ。
党の姿勢、トップの姿勢に問題有り、と、勇気をもって発言する議員の欠如が、この体たらくを招いた。

「全員野球」?
勘弁してほしい。たしか大惨敗した総裁選直前の両院議員総会で、
内輪で揉めるな、敵は民主党だ!
と絶叫していた議員がいたが、内輪で総括もできない腐った組織が、頼りないリーダーのもとで無理やり全員野球をやったから、こうやって全員在野になったのではないか。

総選挙の総括をできない総裁はいらない。
また同じ戦いをするから。
自民党自身がそれに気がつくかどうか。
総裁選挙は、間もなくだ。

鳩山「一郎」内閣

2009-09-08 07:40:53 | Weblog
ようやく、麻生太郎が自民党総裁を辞めるという。
遅すぎだ。

この人は本当に政治家か?と疑いたくなるほど、
状況を読むことのできない、想像力に乏しい人だった。

それはさておき。
マスコミは民主党礼賛でにぎわっている。
小沢一郎にも、ひところあった批判は影をひそめて、
「権力の二重構造」なる言葉だけが空虚に響いている。

それはそうだ。
まだ新体制に移行していないのだから、本当に二重構造かどうか
わからない。

もしかしたら、鳩山由紀夫が豹変して、
小沢一郎を手駒のように使うという、夢のような話も可能性ゼロではない。

ま、夢は夢として。

今度の内閣はおそらく、鳩山「一郎」内閣になるのではないか。
小沢一郎の影響力は絶大である。
新聞の見出しがいまから楽しみだが、一方で、鳩山「一郎」内閣などと揶揄されないことを祈っている。

ついでに言えば、マスコミはしきりと世論調査を行なって、
たとえば「高速道路無料化には反対の世論の方が圧倒的に多い」、
と宣伝している。

鳩山「一郎」内閣に助け船を出しているのだろうが、
約束は約束だ。
思ったほど予算に余剰が無かったとすれば、
こういう約束は破ればよい、と考えてもらっては困る。

16日に、首班指名。
その前に自民党よ、リングに上がって来よ。
鳩山「一郎」内閣は手ごわい。
堂々の戦い、論戦を期待して止まない。

民主党新人議員に望む

2009-09-07 06:43:02 | Weblog
民主党に、新人議員が大量に誕生した。
郵政選挙の時もそうだが、時代が動く時には、普段なら絶対にその地位につけそうにない人が、地位を手にする。

小泉チルドレンの中には、混淆玉石だが、珠玉の政治家もいた。
真面目で、自分のことなど二の次にして、政府与党案でも間違っているものは間違っている、と勇気をもって発言し、その発言の裏付けとして、寸暇を惜しんで勉強して、専門家の話もたくさん聞いていた。

結果、地元の有権者と触れ合う時間は少なくなった。
そして、落選。

有権者に見る目がない、とは言うまい。
すばらしい商品でも売れないことはある。良い本が必ずしもベストセラーにならないのと同じことだ。

しかし、それにしても惜しかったと、つくづく思ってしまう。

時代が動くときは、人材発掘のチャンスなのだ。
いままでのしきたりや、履歴や、学歴、職歴を問わず、人間として誠実で力のある政治家が議席を手にするチャンスなのだ。

私は、民主党の新人議員たちに期待したい。
党の方針、政府の方針でも、間違っているものは間違っていると言える勇気。
そして、なぜ間違っているのか、どうすれば良いのかを語れる知識と見識。
これを手にしてほしい。

それにはまず、現場に飛び込むことだ。
農業の現場に行って、本当に所得の補償が農家をやる気にさせるのか、確かめてほしい。特に若い農業従事者に会ってほしい。未来を担う人々が何を望んでいるのか、その目と耳で確かめてほしい。

安全保障の現場に行って、自衛官と話をして、海外派遣される自衛官の身になって、法律を精査してほしい。防衛予算を考えてほしい。

アフガニスタンがどうなっているのか、その目で見てほしい。
そして、世界40カ国近くの国々がなぜアフガニスタンに軍隊を送っているのか、その理由を考えてほしい。

チベットやウイグルに行ってほしい。
中国と仲良くする前に、中国政府の本質を見極めてほしい。

各国の政治家と、個人的に膝をつきあわせて話し合える関係をつくってほしい。
それはたとえば、中国とだけではなく、台湾の政治家とも。

介護や医療の現場を見てほしい。
「自分は死んだほうが、家族のためになる」とお年寄りが思う医療は、どこか間違っていないか?

地方の商店街に行ってほしい。
地方の学校に行ってほしい。
さびれた場所にも、そして、成功している場所にも行ってほしい。

なぜこの学校は活気があるのか。
なぜこの学校は志望者が殺到するのか。

栄えている場所には、例外なく、既得権を持つ者はおらず、
やる気と希望を持つ者が活躍している。

民主党の新人議員よ。
あなたたち自身が、その地位にあぐらをかいて、当選し続けることだけを考え始めた時、あなた自身が既得権化したことになる。
それに気づいた瞬間、辞職するか、姿勢を正すか、どちらかにしてほしい。

まずは、現場を見ること。
そして勉強すること。
党や政府の幹部が間違っていれば、堂々と反対すること。
自分が既得権化しないよう、「政治家稼業は最大4年のみ」と考えて行動すること。

次回落選した時、心ある人々から「あの人は本当に惜しかった」と言われる議員になってほしい。ただ、それだけを願う。

麻生太郎よ、醜態をさらすなかれ

2009-09-01 15:59:15 | Weblog
たとえば。
惨憺たる負け方をしたかつてのドイツで、
もしヒトラーが自決せずに、敗戦となった後も、
「次の総統が決まらないから、オレが引き続き国家の代表だ」
と言ったとして、はたして通用しただろうか。

敗戦の責任は、誰が何と言おうと、戦い(選挙戦)を指揮したトップにある。
もちろん、総理大臣が空席になることは絶対にあってはなない。
とりあえず選挙後の特別国会で、次の総理大臣が指名されるまで、総理としての業務は続けるべきである。

しかし。
自民党総裁としては、敗戦の責任をとって即刻辞職すべきである。
特別国会の首班指名で、自民党敗戦の最大の責任者の名を、自民党議員に書かせるというのは、非常識というより、人間としての神経を疑う。
恥ずかしくないのか。
選挙で大惨敗した政党の代表が、そのまま居すわって直後の国会で首班指名に臨む。

自民党がなぜ負けたのか、その原因の一つが、何となくわかった。
自分の行動や発言が、常識として正しいのかどうか判断できない者が指揮官として選挙を戦った。これでは、勝てるわけがない。

ではどうすべきか。
もちろん、拙速に次の総裁を決めるべきではない、という意見はもっともだ。
だとすれば、総裁の臨時代理を置くべきである。

とにかく、責任をとるべき人間がいつまでもトップの座に居すわるべきではない。「自民党再生」を本当に考えているのなら、こんなバカげた行為が議員や党員のやる気を削いでいることに気がつくべきだ。

もしかしたら、周囲の腰巾着から、
「負けたのはあなたのせいではない」
と、ささやかれているのかもしれない。

繰り返す。
戦いを指揮した人間は、誰がなんと言おうと戦いの責任がある。
まずは辞職し、潔さを示し、臨時代理によって総裁選を行なう。
これが「けじめ」というものではなかろうか。

漢字が読めない、と小学生にまでバカにされた麻生総裁だが、
せめて最後くらい、小学生に「けじめ」のつけ方を見せてほしい。

麻生さん、醜態をさらすなかれ。