真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

胸中を察するべきか??

2010-07-16 21:38:49 | Weblog
今回は短めに。

今回の参院選に、某党比例代表で初当選をしたX氏。
松下政経塾に関係していた人物だが、BS放送で
「松下政経塾出身の民主党議員は、役人が書いた公務員改革に対して何も文句を言わないのか」
との質問に、

「彼らの胸中も察するべきだ」

という発言をした。
要は、「党内の立場もあって大変なんだから、許してやれ」、ということらしい。

ここで言う「彼ら」とは、前原氏や野田氏などの閣僚、あるいは党の要職にある松下政経塾出身者のことである。

なぜ、胸中を察してやらなければいけないのか。
1年生議員どころか、前原氏に至っては、党代表経験者ではないか!

責任ある地位にいる者が口を閉ざしていてどうするのだ。
議員になって、周囲の反対が怖くて正論を吐けないようなら、辞職しなさい。
国民は、議員に食いぶちを与えるために投票しているのではない。

松下政経塾とは、そんないい加減な人材をつくるいい加減な組織なのか。

X氏はたぶん、松下政経塾出身議員をかばって言ったのだろう。
どうしてそういう発言が、松下政経塾自体の存在を貶めると気がつかないのか。

今回、党勢を伸ばした政党には、素晴らしい人材もいる。
しかしよくよく吟味すると、いい加減な身内びいきの議員もいる。

X氏に申し上げる。
あなたは「政治家の使命は何だか、知ってますか?」
と番組のなかで詰問していたが、
あなたが知らない政治家の使命もあるのですよ。

バッジを付けた人間の胸中よりも、
バッジを付けながら正論を吐かない議員を見ている、
国民の胸中をこそ察するのが、政治家の使命ではありませんか?

X氏の政党はなかなか良い政策を、しかも具体的に述べていて好感を持っていたが、個々の議員を選ぶ難しさをつくずく痛感した。

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ゆうパックと政治

2010-07-15 16:23:38 | Weblog
「社会が悪いから、殺人事件が起きた」
という、加害者擁護を聞くたびに不思議な感覚を持つ。
仕事をクビになったら、無関係の人間を殺してもいいのか?
小学生にもわかる理屈を理解しない大人が多いような気がする。

「国民が聞く耳を持たなくなった」
鳩山氏が総理を辞める時の弁だが、そうさせた自身の責任は置いておき、
悪いのは国民の方だと言っていたのにはあきれた。

どうも、他人や社会のせいにする風潮が蔓延している。

総務大臣が、ゆーパックの混乱を、
「『分社化ありき』の小泉郵政改革が原因」
という意味の発言をした。

私も民間企業に勤めていたが、「分社化」すれば事業はスムーズになるのが民間の常識だ。
たしかに最初、若干の混乱はある。
しかし民間企業は、もしそれでお客が逃げたら会社がつぶれるから、必死になって混乱しないよう手筈を整える。

そこで気がついた。

参議院選で議席ゼロになった政党が、いま必死に郵政国有化を進めようとしている。

そうか。
あの政党は、郵政がまともな会社にはなれないから、国有化にしようとしているんだ。
国有化すればつぶれない。
それなら納得できる。

だが待てよ。
私の知人で郵便局に勤めている人物は仕事もできるし、人柄もいいし、そんな郵政職員たちが無能の集まりとはとても思えない。

あの「議席ゼロ」、国民からノーを突きつけられた政党は、自身の支援者である郵政関係者を無能だと考えているのか?

だいいち、国民が今回の参院選で議席を与えなかった政党の政策が通るなんて、ちょっとおかしくはないだろうか。

あ、そうでもないか。
国民から、「国会議員にはしない」と審判され、落選した議員が、法務大臣は続けるのだから。

菅さんは自民党政権時代、「総理が変わったら衆院解散で信を問え!」、と絶叫してたけど、やっぱり自分には適用しないのですね。
参院選で信を問う、みたいなこと言ってたけど、負けたんだから国民からの「信」はないのに、あれれ、誰も責任とらない。

どうして、自分の言動が政治不信につながる、と感じないのだろう。
総理も総務大臣も法務大臣も、末期症状としか言いようがない。

歴史に置き換えて書こうとしているのだけれど、ここまで呆けた政権に類似している例を探しにくい。
皮肉をこめて言うならば、「鳩山・菅政権は、あらたな歴史をつくっている」ということか。

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吉田茂と菅直人

2010-07-05 02:21:43 | Weblog
吉田茂は今でこそ評価が高いが、政権担当当時の新聞や雑誌を見ると、罵倒のオンパレード。
当時のジャーナリスト、阿部真之介は、
「驚くべき強情だ。常識を絶した強情だ。ある種の変質者にして見ることのできる強情だ」
と、吉田を評していた。

吉田は外交官出身で、良くも悪くも官僚政治家の典型のような男だった。
反吉田の鳩山一郎一派に、反官僚の「党人派」が多かったのは、偶然ではない。

吉田は党人派も、党人派が得意とする演説も、党人派が大切にした国会での答弁も大嫌いだったが、国会を軽視はしなかった。
阿部真之介から「変質者」とまで言われたのは、吉田の国会答弁の内容についてである。
口八丁ではなかった吉田は、答弁を格好の攻撃材料にされていたが、それでも選挙に勝っていたから長期間政権を維持し得たのである。

さて。
菅内閣はついに、予算委員会も開かず党首討論も拒否し、
「テレビで討論の機会はいくらでもある」と言った舌の根も乾かぬうちに、
「8対1では袋叩きにあうからいやだ」と、テレビ討論も拒否していた。

昨日ようやく討論が実現した。
野党から現状の批判を受けると、
「いままであんたたちは何をしてきたんだ!」
と逆切れ。
こういう政策をやっていないと指摘されると、
「まだ政権をとって日が浅いから仕方ないだろ!」
と開き直り。

口八丁の菅氏だが、質問にはまともに答えず、逆質問ばかりで、まったく民主党の構想が見えてこなかった。

結局民主党は、増税以外に手がないと、あれでは受け止められる。

鳩山・小沢の政治資金問題や、あれほど騒ぎになった普天間問題から気をそらさせるという意味では、消費税論議は成功だ。
しかし、
「選挙後に、年金や関係する税制について、超党派で一緒に議論しましょ」
にはあきれ返った。

選挙の前にやりなさいよ。
各種委員会や、党首討論で、堂々と国民に考えを述べて、討論して、それを国民に見せてから選挙をなさいよ。
それが国会の役割でしょう。

菅直人は「口は達者だけれど、度胸も見識もない人だ」と思われても仕方ない。

そういえば、口下手だけれど見識のあった吉田は、第18回国会(昭和28年)の所信表明で次のように述べた。

「政府の一貫する目途は国民経済の自立」

今回の参院選で、どの政党が国民の力を信じ、国民の力を発揮させようとしているのか。
規制緩和をし、増税につながる「大きな政府」を否定して、国民の力を活かそうとする政党はどこか。バラマキを否定して国民経済の自立を促そうとしているのはどの候補か。

見つけるのは意外と簡単かもしれない。

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