思春期特発性側弯症の患者さん・ご両親向けに書かれた書物の中で、一番読んでいただきたいのは、やはり下出先生が書かれた「子どもの背骨の病気を治す―脊柱側彎症と子どもの姿勢 (講談社健康ライブラリー)」です。
講談社ライブラリーですから、全国どこの図書館にも置いてあると思います。もし置いていなかったら、ぜひとも、図書館にリクエストして、在庫していただきたいとお願いして欲しいと思います。
私の地元の図書館には、この本も置いてありますが、その隣棚には「側弯症は治る」があります。病気を心配しているご両親にとっては、どちらの本に目がゆくかは歴然としています。
でも、皆さんが読まれるべき本は、この「子どもの背骨の病気を治す」です。
この本から引用させていただいた幾つかの記事もありますので、参考にされて下さい。
「子どもの背骨の病気を治す(著者:下出先生)こころのケア」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)体操療法とは」
「子どもの背骨の病気を治す(著者:NTT関東病院下出先生)」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)カーブ悪化のパターン」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)体形の変化」
「子どもの背骨の病気を治す(著者:下出先生)装具療法」
特発性側弯症は、原因不明のために治療を巡ってお子さん自身、そしてそれ以上にご両親を苦しめることになります。そのことについては、多くの言葉は不要でしょう。
私から言えること、言いたいことは、どうか冷静に事実を受け止めて、時間をかけて「この病気に対する医学的事実」を学んでいただきたいということです。
7月25日に「いわば敗北宣言 - これで医療現場の混乱が収まることを願います (SOSORT会長の医学論文より)」という記事を記載しました。
ここでご紹介した文献を書かれたのは、SOSORT(元)会長の Romano M 医師。同氏の多くの論文の中で幾度も述べられていたのは「医学的事実は、正しい臨床試験(研究)によって証明されるもの」ということでした。 多様な研究のなかで、もっとも信頼性の高いものが、 Cochranコクランと呼ばれるものである、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/ce/8a5715ee9947cf7ba72503f6ff32647e.jpg)
その同氏が、2013年に発表したのが、
Exercises for adolescent idiopathic scoliosis: a Cochrane systematic review
(思春期特発性側弯症に対する体操 : Cochrane systematic review)
2013年 SPINE
参考「いわば敗北宣言 - これで医療現場の混乱が収まることを願います (SOSORT会長の医学論文より)
この報告の中で、まとめとして「側弯体操で思春期特発性側弯症が治るというエビデンスはなかった」ということが述べられていました。
その同氏が、2016年に専門誌SPINEに同じく Cochran研究として発表したのが 「Braces for Idiopathic Scoliosis in Adolescents」思春期特発性側弯症における装具療法 です。
この研究は、https://tees.openrepository.com/tees/bitstream/10149/560332/2/560332.pdfにアクセスしていただくと全文82ページ(英語)を PDFで入手することができます。
内容を要約しますと、
1. 医学的データとして信頼性の高い RCT (ランダム化臨床試験.....いわばクジ引き試験)の
実施は、ご両親の同意を得ることが難しい為、非常に困難である。
2. そのため、過去に実施された装具療法に関する臨床試験報告も、その試験自体の品質は決して
高いものとは言えない。
3. 品質は高いものとは言えないが、装具療法に効果があることは認められる。
4. 装具療法と無治療を比較した場合、装具療法のほうが治療効果は高い。
5. 装具療法と側弯体操の比較は何も記載ありません。
(2013年の報告で、側弯体操の効果は証明できなかった。と述べているわけですから、この2016年
の報告では、側弯体操については何も語られていません)
6. 様々な装具があるが、(適応に合致した症例に対する)効果は、硬性装具のほうが、(国内では販売
されていませんが、Spinecoreスパインコアのような)軟性装具よりも、効果は高い。
7. パッドを用いて圧を加える装具が、特に優れているという証拠はない。
☞ (いわゆるボストン式のような装具であれば)どの装具を用いるか、というよりも、
一日にどれだけの時間、装具を装着しているかのほうがより重要。ということ。
8. 骨成長終了時に、コブ角30度に抑え込めることが、その後の日常生活・健康に対するひとつの
目標値といえる。
結論的な言い方をするならば、思春期特発性側弯症に対しては、適切な装具療法を実施するのが
最適である。 ということです。
同氏の立場が言わしめた、締めの言葉としては 「the possible usefulness of
physiotherapeutic exercises as well as means to reduce the impact of bracing on
participants.」 「装具と同様に、体操にも可能性はある」 というもの。
☞ こういう一言が、現場を.....患者さんやご両親を悩ませることになるわけですが。
原因が不明なのですから、どういう治療方法だって、「可能性はゼロ」ではないわけです。
「可能性はゼロ」ではない。というこの「人生哲学」が、医療に入りこんでくることで
様々な民間療法が、ビジネスチャンスを得ることになります。
そういう弊害をなくすために、考えられたのが「臨床試験」.....エビデンスに基づいた治療方法を 見つける....という方法なわけです。
ですから、同氏の「側弯体操によって特発性側弯症が治ったという医学データはない」
しかし「側弯体操によって治る可能性はあるかもしれない」という 結びの言葉は
自己矛盾をはらんでいるのですが、つねに、こういう一言を書き残さざる得ない、というのが
同氏の立場なのでしょう。
側弯症治療を巡るこのような状況に対して、下出先生は、多くの的確なアドバイスをこの著書の中で
述べられています。
(略)...ふだんの生活や姿勢で、スポーツや体操で、または牽引やマッサーや整体などの治療で
背骨の変形がよくなったり悪くなったりすることはないのです。
(略)....決められた間隔で定期的に客観的なチェックを受け、もし悪化の傾向があるようなら
装具による治療を積極的に受け入れるという心の準備が大切です。
このようなある意味では開き直ったクールな心構えは、患者本人である子どもよりも
親御さんにとって大切なものであることを強調しておきます。
というのは、背骨の変形に対するまちがった理解のものに何とか子どもの背骨の変形を治したい
という親心から間違った治療に走り、子供に無用な犠牲を強いたり、
心に大きな傷を残したりすることがままあるからです。
(略)....軽い側弯変形で悪化の可能性もほとんどないのに、治療に通うために
3年間の高校生活の課外活動を犠牲にした人もいます。
☞ 患者さんの母親が書かれたブログを読みますと、いわゆる軽度側弯で、まだ装具療法も
必要とされないコブ角なのに、側弯整体・提携整形外科医・提携装具会社に通って
かなり早い時期から、体操・装具療法でお金と時間を費やしていたのだなあ、と
民間療法者の犠牲者がいることを知ることができます。
参考「あたかも何もなかったかのように「過去を消し去ろう」としている側弯整体協力医師・協力装具師(装具社)とは?」
このようなブログを読むたびに、提携整形外科医と提携装具社の「罪」というものを
考えてしまいます。
何よりも、特発性側弯症と確定診断された場合においては、まず第一にCT,MRI等での
より厳密な検査が必須です。 側弯症の影に隠れた、すぐにでも手術を必要とするような
別の病気がありえることが医学データから示されているのですから。
民間療法者(側弯整体)は、医者でもありませんし、所詮はビジネスをしているだけですが
ドクターや装具士(社)は、側弯症のなんたるかを知り、何が適切な対処であるかを知って
いる立場です。 精密検査など不要、民間療法者の言いなりとなって「側弯体操」を
していれば 「側弯症は治る」と信じていたのでしょうか?
もし、信じていたのだとしたら、そのような医師や装具士のところに
皆さんはいかれますか?
もし、信じていなかったけど、ビジネスで協力していたのだとしたに、
そのような医師や装具士のところに 皆さんはいかれますか?
☞ 側弯体操について 下出先生は次のように述べられています。
矯正効果は恒久的に維持されるものではなく、
あくまでも体操中だけの効果で、
本当の矯正効果が証明された体操はありません。
また側弯変形の悪化をくい止める効果を証明された体操もありません
これが脊椎 - 側弯症の専門医の適確な見解であり、医学事実です。
側弯症は、専門医師のいる病院で診てもらってください。
側弯症治療.....装具療法はこのような夏の暑い日には、とても辛く厳しいものがあります。
でも、現代医学において、唯一、治療効果の認められる方法は、装具療法しかありません。
どうか、くじけることなく、この暑さを乗り切ってください
側弯症に打ち勝ってください
august03
講談社ライブラリーですから、全国どこの図書館にも置いてあると思います。もし置いていなかったら、ぜひとも、図書館にリクエストして、在庫していただきたいとお願いして欲しいと思います。
私の地元の図書館には、この本も置いてありますが、その隣棚には「側弯症は治る」があります。病気を心配しているご両親にとっては、どちらの本に目がゆくかは歴然としています。
でも、皆さんが読まれるべき本は、この「子どもの背骨の病気を治す」です。
この本から引用させていただいた幾つかの記事もありますので、参考にされて下さい。
「子どもの背骨の病気を治す(著者:下出先生)こころのケア」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)体操療法とは」
「子どもの背骨の病気を治す(著者:NTT関東病院下出先生)」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)カーブ悪化のパターン」
「子どもの背骨の病気を治す (著者:下出先生)体形の変化」
「子どもの背骨の病気を治す(著者:下出先生)装具療法」
特発性側弯症は、原因不明のために治療を巡ってお子さん自身、そしてそれ以上にご両親を苦しめることになります。そのことについては、多くの言葉は不要でしょう。
私から言えること、言いたいことは、どうか冷静に事実を受け止めて、時間をかけて「この病気に対する医学的事実」を学んでいただきたいということです。
7月25日に「いわば敗北宣言 - これで医療現場の混乱が収まることを願います (SOSORT会長の医学論文より)」という記事を記載しました。
ここでご紹介した文献を書かれたのは、SOSORT(元)会長の Romano M 医師。同氏の多くの論文の中で幾度も述べられていたのは「医学的事実は、正しい臨床試験(研究)によって証明されるもの」ということでした。 多様な研究のなかで、もっとも信頼性の高いものが、 Cochranコクランと呼ばれるものである、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/ce/8a5715ee9947cf7ba72503f6ff32647e.jpg)
その同氏が、2013年に発表したのが、
Exercises for adolescent idiopathic scoliosis: a Cochrane systematic review
(思春期特発性側弯症に対する体操 : Cochrane systematic review)
2013年 SPINE
参考「いわば敗北宣言 - これで医療現場の混乱が収まることを願います (SOSORT会長の医学論文より)
この報告の中で、まとめとして「側弯体操で思春期特発性側弯症が治るというエビデンスはなかった」ということが述べられていました。
その同氏が、2016年に専門誌SPINEに同じく Cochran研究として発表したのが 「Braces for Idiopathic Scoliosis in Adolescents」思春期特発性側弯症における装具療法 です。
この研究は、https://tees.openrepository.com/tees/bitstream/10149/560332/2/560332.pdfにアクセスしていただくと全文82ページ(英語)を PDFで入手することができます。
内容を要約しますと、
1. 医学的データとして信頼性の高い RCT (ランダム化臨床試験.....いわばクジ引き試験)の
実施は、ご両親の同意を得ることが難しい為、非常に困難である。
2. そのため、過去に実施された装具療法に関する臨床試験報告も、その試験自体の品質は決して
高いものとは言えない。
3. 品質は高いものとは言えないが、装具療法に効果があることは認められる。
4. 装具療法と無治療を比較した場合、装具療法のほうが治療効果は高い。
5. 装具療法と側弯体操の比較は何も記載ありません。
(2013年の報告で、側弯体操の効果は証明できなかった。と述べているわけですから、この2016年
の報告では、側弯体操については何も語られていません)
6. 様々な装具があるが、(適応に合致した症例に対する)効果は、硬性装具のほうが、(国内では販売
されていませんが、Spinecoreスパインコアのような)軟性装具よりも、効果は高い。
7. パッドを用いて圧を加える装具が、特に優れているという証拠はない。
☞ (いわゆるボストン式のような装具であれば)どの装具を用いるか、というよりも、
一日にどれだけの時間、装具を装着しているかのほうがより重要。ということ。
8. 骨成長終了時に、コブ角30度に抑え込めることが、その後の日常生活・健康に対するひとつの
目標値といえる。
結論的な言い方をするならば、思春期特発性側弯症に対しては、適切な装具療法を実施するのが
最適である。 ということです。
同氏の立場が言わしめた、締めの言葉としては 「the possible usefulness of
physiotherapeutic exercises as well as means to reduce the impact of bracing on
participants.」 「装具と同様に、体操にも可能性はある」 というもの。
☞ こういう一言が、現場を.....患者さんやご両親を悩ませることになるわけですが。
原因が不明なのですから、どういう治療方法だって、「可能性はゼロ」ではないわけです。
「可能性はゼロ」ではない。というこの「人生哲学」が、医療に入りこんでくることで
様々な民間療法が、ビジネスチャンスを得ることになります。
そういう弊害をなくすために、考えられたのが「臨床試験」.....エビデンスに基づいた治療方法を 見つける....という方法なわけです。
ですから、同氏の「側弯体操によって特発性側弯症が治ったという医学データはない」
しかし「側弯体操によって治る可能性はあるかもしれない」という 結びの言葉は
自己矛盾をはらんでいるのですが、つねに、こういう一言を書き残さざる得ない、というのが
同氏の立場なのでしょう。
側弯症治療を巡るこのような状況に対して、下出先生は、多くの的確なアドバイスをこの著書の中で
述べられています。
(略)...ふだんの生活や姿勢で、スポーツや体操で、または牽引やマッサーや整体などの治療で
背骨の変形がよくなったり悪くなったりすることはないのです。
(略)....決められた間隔で定期的に客観的なチェックを受け、もし悪化の傾向があるようなら
装具による治療を積極的に受け入れるという心の準備が大切です。
このようなある意味では開き直ったクールな心構えは、患者本人である子どもよりも
親御さんにとって大切なものであることを強調しておきます。
というのは、背骨の変形に対するまちがった理解のものに何とか子どもの背骨の変形を治したい
という親心から間違った治療に走り、子供に無用な犠牲を強いたり、
心に大きな傷を残したりすることがままあるからです。
(略)....軽い側弯変形で悪化の可能性もほとんどないのに、治療に通うために
3年間の高校生活の課外活動を犠牲にした人もいます。
☞ 患者さんの母親が書かれたブログを読みますと、いわゆる軽度側弯で、まだ装具療法も
必要とされないコブ角なのに、側弯整体・提携整形外科医・提携装具会社に通って
かなり早い時期から、体操・装具療法でお金と時間を費やしていたのだなあ、と
民間療法者の犠牲者がいることを知ることができます。
参考「あたかも何もなかったかのように「過去を消し去ろう」としている側弯整体協力医師・協力装具師(装具社)とは?」
このようなブログを読むたびに、提携整形外科医と提携装具社の「罪」というものを
考えてしまいます。
何よりも、特発性側弯症と確定診断された場合においては、まず第一にCT,MRI等での
より厳密な検査が必須です。 側弯症の影に隠れた、すぐにでも手術を必要とするような
別の病気がありえることが医学データから示されているのですから。
民間療法者(側弯整体)は、医者でもありませんし、所詮はビジネスをしているだけですが
ドクターや装具士(社)は、側弯症のなんたるかを知り、何が適切な対処であるかを知って
いる立場です。 精密検査など不要、民間療法者の言いなりとなって「側弯体操」を
していれば 「側弯症は治る」と信じていたのでしょうか?
もし、信じていたのだとしたら、そのような医師や装具士のところに
皆さんはいかれますか?
もし、信じていなかったけど、ビジネスで協力していたのだとしたに、
そのような医師や装具士のところに 皆さんはいかれますか?
☞ 側弯体操について 下出先生は次のように述べられています。
矯正効果は恒久的に維持されるものではなく、
あくまでも体操中だけの効果で、
本当の矯正効果が証明された体操はありません。
また側弯変形の悪化をくい止める効果を証明された体操もありません
これが脊椎 - 側弯症の専門医の適確な見解であり、医学事実です。
側弯症は、専門医師のいる病院で診てもらってください。
側弯症治療.....装具療法はこのような夏の暑い日には、とても辛く厳しいものがあります。
でも、現代医学において、唯一、治療効果の認められる方法は、装具療法しかありません。
どうか、くじけることなく、この暑さを乗り切ってください
側弯症に打ち勝ってください
august03