道化師(clown)が冠を抱くもの(crown)に変わり
十三の白きものと黒きものが一つになる刻
切り裂かれた天使が純粋な悪を生み出し
緑の霧を巡る兄の子等と弟の軍団の闘いの
幕が切って落とされる
マーメイドとヴァンパイアの縛めが魔術師によって解かれ
生きるために愛し合うことを求める者たちと
生きるために殺し合うことを求める者たちの
最後の審判が下り
母なる星の希望と絶望が始まる
すべての意味はわからぬ。
だが、お前とマーメイドの小娘が深く最後の審判に関わっていることだけは分かる。危険を避けることは出来ぬ。せめて運命にあらがって生き延びてくれ。ああ、もう限界が近づいている。
最後の願いだ。お前の顔を近くで拝ませてくれまいか)
思いがけない思念を受けて、マクミラが一瞬隙を見せた瞬間。
今まで押さえつけられていたトリックスターの蛇がグルリと一回転し、魔神スネールの腹を押さえつけるとするどい爪で切り裂いてしまう。
そして、目の前のマクミラを呑み込んでしまった。
アストロラーベとスカルラーベが同時に叫ぶ。「しまった!」
元々は人間だったさかさまジョージが器用に蛇の口を使って話し出す。
「ケッケッケ、トリックスター参上。スネールってバカじゃない? マウントになれば相手が必ず消耗するって考えるなんて。ボクはさまさまジョージだよ。下向きに押さえつけられる間、ずっと力を蓄えてたんだ。もしもマクミラ姉ちゃんを食べたらって考えたらゾクゾクしちゃったよ。寝床で親をだまそうと狸寝入りする子供以上のワクワク感! でも分かってないな。姉ちゃんに対する破壊衝動? そんなのないにきまってるんじゃん! ボクにあるのは純愛だけさ、愛、愛。人間もたまにいいこと言うよね。食べたいくらい好きだ。それなら、本当に食べちゃえばいいのにさ。お姉ちゃんはもうボクの胃の中で、少しずつ消化中。ドクロ兄貴と色男兄貴と妹をやっつけてから、スネールを尻尾から呑み込んでボクが完全な輪廻の蛇になってあげる」
スカルラーベが3つ首白色ドラゴンの上から言い返す。「フン、言いたいことはそれだけか?」大鎌を振るってトリックスターの腹を割こうとする。
だが、トリックスターは攻撃を予測していた。マクミラを呑み込んだ口を、再びパックリと巨大洞窟のように開くと神殿が広がっていた。大鎌を振り輪まそうと思ったスカルラーベが、まるで力を吸い取られたかのように倒れ込む。神殿に呑み込まれたスカルラーベを見てアストロラーベがつぶやく。
まさか、こんなところにヒエラポリス神殿が・・・・・・
彼らは、伝説の魔神と呼ばれたスネールの力を吸収したさかさまジョージの企みを過小評価していた。まさにヒエラポリス神殿こそ冥界の神々にとって鬼門であったからだ。
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