すべてを燃やし尽くす蒼き炎が
すべてを覆い尽くす氷に変わり
猛々しき白骨が愛に包まれて石に変わり
冥界の神官が一人の人間の女に変わる時
巨大な合わせ鏡が割れて
太古の蛇がよみがえり
新たなる終わりが始まりを告げて
すべての神々のゲームのルールが変わる
ここまでは、アストロラーベの思い通り進んでいる。
時空変容ミラージュの儀式によって起きた「すべてを燃やし尽くす蒼き炎が」、第一の部屋で「すべてを覆い尽くす氷に変わり」ナオミが氷天使メギリヌに勝利を収めた。第二の部屋では、「猛々しき白骨が愛に包まれて石に変わる時」、スカルラーベが蛇姫ライムと引き分けた。だが、第三の部屋では、アストロラーベが唄姫リギスに辛勝したものの「冥界の神官が一人の女に変わる時」などなかったではないか? だが、「巨大な合わせ鏡が割れて」しまっても「太古の蛇はよみがえり」をするどころか、異次元空間に飛んで行ってしまった。「新たなる終わりが始まりを告げて、すべての神々のゲームのルールが変わる」とは、いったい・・・・・・
「心配するな」気がつくと、アストロラーベが近くに来ていた。「ここまでは計算通り。ケネスが身を犠牲にしてシンガパウムを呼び出したことも、スカルラーベの呪いが解けたことも、唄姫リギスにかろうじて勝利したことも。だが、ダニエルとペルセリアスに身体を提供しているクリストフが、精神世界でどうなるかは予測できなかった。ここは、精神がすべてを支配する世界。ミックスト・ブレッシングのように相反する精神体から発せられるエネルギーの技は、とても危険なのだ。よいか、アポロノミカンの予言は当たっている。愛に目覚めたお前は、すでに冥界の神官から一人の人間の女に変わっているのだ! これ以上、ダニエルに技を使わせると身体が分離してしまって完全体では元の世界に戻れなくなるぞ。マクミラ、愛するもののために全力で闘ってみろ!」
アストロラーベの言葉を聞いて、マクミラは飛び出した。
マクミラが傍らに寄り添うと、ダニエルがしぼり出すように言った。
「まだ終われぬ。こんなところでは。お前は、冥主からしたら取るに足らない汚れ仕事を与えられて、最低の人間たちとつきあわされて・・・・・・俺以外は、知らない。お前が、最低の人間たちと気分が悪くなり、吐き気が止まらなくなりながら、与えられたゲームの役割を演じるために、どれだけ苦しんでいるか。必ず生き残って、汚れ仕事はすべて俺が引き受けてやる。マクミラ、見てろよ」
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