Finian CUNNINGHAM
2017年1月5日
アレッポを目指す戦略的な戦いに関する組織的なウソを全く恥じなかった欧米主要マスコミが、またもや同じことをしている。今回は、シリアの首都ダマスカス付近での戦闘再開に関してだ。
特に、ヨーロッパのニュース・マスコミが、ダマスカス北西の反政府戦士の拠点を奪還するため、シリア政府軍が、今や“彼らがアレッポでしたのと同様、包囲戦術”を使っていると主張している。
何カ月もかかったアレッポ奪還の戦いを巡る、先の欧米マスコミによる虚偽報道と同様、最近の報道も、現実を逆にするものだ。
シリア政府軍がダマスカス北東で作戦を行っているのは、地域が欧米が曖昧に“反政府派”と表現しているヌスラ戦線が支配する過激集団に占領されているためだ。
しかも、バラダ渓谷周辺の地域を奪還する作戦を緊急なものにしているのは、過激派が約30キロ離れた首都の主要飲料水源を汚染していることだ。ダマ スカス市内の400万人の人々が、バラダ渓谷内と周辺の聖戦士連中が、ディーゼル油や他の汚染物質で、極めて重要な地下水源を汚染したとされることで、上水供給を遮断されているのだ。
だから、欧米マスコミによる歪曲と対照的に、ダマスカス全住民への飲料水を遮断するという大規模テロ行為によって、首都を包囲しようとしているのは反政府武装反抗勢力だ。
ところがヨーロッパのマスコミを何気なく読んでいる人々は、この重要な背景には気がつかない可能性が高い。実際、ニュースを見聞きする人々は、違反をして、和平への努力を損なっているのは、シリア政府軍、その延長として同盟のロシア軍だと結論しがちだ。
例えば、フランス24のあるニュース・キャスターは、今週こう述べた。“政府軍が首都近くでの攻撃を強化する中、シリア停戦は危機に瀕している”。
同様な紛らわしい見出しや歪曲がイギリスBBC、ガーディアンやデイリー・テレグラフ、フランスを本拠とするユーロニュースで使われている。(これらについての詳細は下記)
最近の全国規模の停戦は、ロシアとトルコが仲介し、先週末の国連安全保障理事会で満場一致で承認された。この進展は、シリア・アラブ軍と、ロシア、イランとレバノンという同盟者による12月末の北部の都市アレッポ解放に続くものだ。
東アレッポは、欧米が支援する過激派によって、約四年間封鎖されていた。欧米マスコミは、シリア政府軍と、ロシア空軍を、都市を“反政府派”から奪 還するために無差別暴力を用いていると決まって非難していた。ところがアレッポが最終的に、政府支配下となった際、シリア軍とロシア軍のおかげでの“解 放”を祝う解放された一般市民の様子から、事実は明らかだ。
後に東アレッポの集団墓地が発見され、ヌスラ戦線や他のアルカイダとつながるテロ集団に属する聖戦過激派に支配されている過激派が一般市民に押しつけていた“テロによる支配”を証明している。
かくして、“穏健反政府派”と一般市民が“残虐な”攻勢シリア軍と同盟者によって行われたとされるもので包囲されていたという欧米諸国政府やマスコ ミの言辞は、紛れもない欺瞞とウソであることが劇的なまでに暴露された。「アレッポは解放された。以上終わり」なのだ。いわゆる“穏健反政府派”などどこ にもいなかった。テロにより東アレッポに押しつけられていた支配は、シリアにおける政権転覆という連中の犯罪的な狙いを遂行するため、欧米諸国が密かに過 激派を支援することが産み出したものなのだ。
アレッポにおける戦略的勝利で、モスクワとイランに、様々な反政府戦士派閥主要スポンサーであるトルコとともに、全国規模の停戦を仲介するはずみが ついた。この停戦は、今月末、カザフスタンの首都アスタナでの、バッシャール・アル・アサド大統領の政府と反政府集団との間の政治交渉を促進することを目 指している。
欧米列強は先週の国連安全保障理事会で賛成はしたものの、ワシントン、ロンドンとパリは、これらの交渉から外されているという点は重要だ。
もちろん、これまでのシリア停戦同様、国際的に禁じられているテロ集団は停戦の対象ではない。そうしたテロ集団には、「イスラム国」 (IS、あるいはダーイシュ) および、ヌスラ戦線(シリア征服戦線としても知られている)がある。シリア政府軍は、ロシアとトルコが仲介した最近の停戦に調印しつつも、同時に、テロ集 団を打ち破るための作戦を継続する権利を保有している。
最近の欧米マスコミ見出しの一例で、シリアに対するd歪んだ地政学的狙いが明らかになる。
イギリスのガーディアンはこう報じている。“アサド軍がバラダ渓谷の反政府派を爆撃する中、何百人もが脱出”。更にこう書いている。“全国的停戦にもかかわらず、ダマスカスに近い山岳地帯は、何日間も空爆と砲撃の標的にされている。”
ガーディアンは、ダマスカス付近の紛争で、標的にされている“反政府派”が、停戦当事者ではないヌスラ戦線テロ集団に支配されていることをぼやかし ているのが目立つ。ガーディアンは、誠意のない行動をしているのは“政権”であることを示唆している。最後の一段落で、飲料水問題が報じられてはいるが、 一体なぜ政府軍が制圧すると決断したのかとは無関係な些細な問題であるかのごとく遠回しなものに過ぎない。“バラダ渓谷は首都とその周辺地域の主要水源 だ。政府による攻撃は、12月22日以来のダマスカスにおける深刻な水不足と同時期のものだ。反政府派が[原文通り]水源を、ディーゼル油で汚染し、首都 の供給停止を強いていると政府は主張している。”
同様に、BBCはこう報じている。 “反政府派[原文通り]、アスタナ交渉をボイコットすると威嚇”。更にこう続けている。“y多数の集団が署名した声明は、シリア政府による停戦への‘多く の大規模な違反’は背信だとしている”。言うまでもなく、 BBCは、これらの“反政府派”が、テロリストのヌスラ戦線とカメレオンの様な関係があることや、これら“反政府派”が首都への給水汚染に関与しているこ とは明らかにしていない。
アレッポに関する偽の言辞の繰り返しで、イギリスのデイリー・テレグラフはこういう見出しを載せた。“一般市民が‘反政府派が占拠している[原文通り]ダマスカス近くの地域に対する樽爆弾攻撃で殺されている”。
そして、おそらく最悪の記事は、フランスを本拠とするユーロニュースによるこう報じている下 記のものだ。“‘停戦が完全に実施されるまで’シリア反政府派[原文通り]和平交渉を凍結”。信じられないのだが、このマスコミは、政府軍が緊急に地域を 奪還しようとしている理由である“反政府派”が首都への飲料水供給を遮断した事実に一言も触れていない。“報道”の謎めいた段落にはこうある。“主な違反 は、政府軍と、イランが支援するレバノンのヒズボラが、現在続行中の作戦で、進撃しようととしている反政府派が占拠しているダマスカス北西のバラダ渓谷の 地域におけるものだと言われている”。
皮肉にも、ユーロニュース社が、同社企業ウェブサイトで、以下の社是を宣言していることに留意すべきだ。“読者の皆様が、世界に関するご自分の意見をまとめられるよう、適切な量の情報を提供することが我々の義務である。”
これを一体どう理解すれば良いのだろう?
イギリスとフランス政府、そして当然両国の主要ニュース・メディアが、アサド政権打倒のための、シリアにおける政権転覆プロジェクトの主要仕出し元 だ。アメリカ政府が政権転覆プロジェクトの主要立案者なのは確かだ。しかし奇妙にも、今週、アメリカ・マスコミは、シリア国内の紛争に関しては、比較的控 えめだ。イギリスとフランスが歪曲を先導しているように見える。
イギリスとフランス政府、そして当然両国の主要ニュース・メディアが、一緒になって、凶悪なヌスラ戦線のようなテロ集団に政治的、道徳的隠れ蓑を提供しているのだ。
シリア軍と同盟国ロシアによるアレッポ解放が、欧米プロパガンダのウソを完全に暴露した。
ロシアが、全国規模の停戦を促進し、本当の和平調停を目指す政治交渉の可能性へと進んでいるので、欧米はこの動きを潰すため最善の努力をつくしてい るのだ。アレッポと連中の政権転覆プロジェクトの敗北巡る恨みからであることは確実だ。先週末、国連安全保障理事会で、欧米がアスタナ交渉を支持したの は、単なる空虚な広報活動演習に過ぎなかった。(欧米がテロのスポンサーであるのを暴露せずに済ませるのに、賛成以外の方法があっただろうか?)
最近の停戦に関係していなかったテロ集団が、首都と400万人の住民を、飲料水から遮断しようとしているのだ。ところが、シリア政府軍がバラダ渓谷 水源地域の犯人を追求すると、欧米マスコミは、またしても、アサドの軍隊が停戦に違反したと主張して、テロ集団のために話を歪曲している。
そもそも基本的に欧米がけしかけた戦争を解決する上で、ロシアが前進することに、政権転覆代理軍の欧米スポンサーが耐えられないのは明らかだ。
そこで、犯罪的な各国政府と、連中の代理テロリストを隠蔽するための歪曲とウソをついて、恥知らずの欧米マスコミがまたしても活動しているというわけだ。