シリア騒乱と修羅の世界情勢

第三次世界大戦を阻止するブログです。

米国の国務省がアサド政権打倒策として昨年「穏健派」のシリア反政府勢力(FSA)に公費で買い与えてシリアに送り込んだ大量のトヨタ車

2020年02月25日 | シリア

田中宇さんの記事を載せます。

ほんとにこの通りなんだと思うが・・・。日本人の何%が気づくやら・・・。

(/・ω・)/ハーイ気づいておりましたよ。でも、ISISに新品のトヨタ製のトラックを大量に贈ったのは、日本政府ですよね。日本政府はテロリストFSA(自由シリア軍)を支援していました。

 米国防総省は、ISISが新品のトヨタ製のトラックを大量に持っているので、ISISがそれらをどこから得たのか不審に思い、日本のトヨタ自動車に、心当たりがないかどうか尋ねた。テロ支援者の濡れ衣をかけられかねないトヨタは「全く心当たりがない」と急いで答え、この件は「迷宮入り」しそうに
なった。

その後、実は、米国の国務省がアサド政権打倒策として昨年「穏健派」のシリア反政府勢力(FSA)に公費で買い与えてシリアに送り込んだ大量のトヨタ車が、そっくりISISにわたっていたことが明らかになった。そもそもFSAは、シリア国内に勢力をほとんど持っていない亡命組織だ。大量のトラックがシリア国内に届いた瞬間にISISかアルカイダの手に落ちることは事前にわかっていたはずだ。


 刑法の用語で「未必の故意」というのがある。プロは、自分の仕事の基本的な部分について長年の訓練を重ねており、プロがあまりに基本的な失敗をすることは、絶対失敗したくないのに失敗したのでなく、失敗するかもしれないとうすうす感じていたのにそのままにして失敗した「うすうすの故意」だという
見方だ。未必の故意は「故意」に近い罪が適用される。米国が、テロリストにわたる可能性が高いのに大量のトヨタ車をシリアに送り込んだのは、未必の故意(もしくは故意)のテロ支援である。米国は少なくとも「未必のテロ支援国家」である。サウジなど湾岸アラブ諸国の対米不信が強まることが明らかなの
にペルシャ湾から空母を撤退したのも、未必の故意の戦略失敗だ。米国の軍事外交(や経済)戦略は、この手の未必の故意的な失策に満ちている。失策は01年の911事件後に増え、最近さらに急増している。


 ロシアのプーチンは、露軍がシリアに地上軍侵攻することはないと断言している(地上軍はシリア政府軍と、イランやヒズボラなどシーア派が担当する)。露軍シリア進出の「アフガン化」の懸念はなくなった。プーチンは、露軍のシリア進出は、今春から夏にかけてISISなどに負けて崩壊しかけていたア
サド政権を軍事支援して蘇生させ、アサドをシリア国内で有利な立場に戻したうえで、アサドと反政府各勢力の間で、内戦終結と国内安定に向けた政治交渉を再開するのが目的だと言っている。シリアを安定させるには、プーチンが提案した方法が最も早道だ。ロシアは世界平和に貢献し、米国は世界平和を壊している。国際マスコミは、善悪を歪曲している。BRICSや欧州の多くの人々が、すでにそれに気づいている。米国の人々も、いずれ気づくだろう。対米従属の官僚独裁に洗脳されてきた日本人の大多数は、最後まで気づかないかもしれない。

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★無実のシリアを空爆する
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 米国が英仏の賛同を得て、早ければ8月29日にシリアを空爆するという。首都ダマスカスの近郊で、8月21日に化学兵器によって市民が攻撃され多数の死者が出たとされる件について、米政府は「シリア政府軍の仕業に違いない」と断定し、国際的に違法な化学兵器の使用に対して制裁する目的で、シリア沖
の地中海にいる米軍艦や、英軍の潜水艦から、トマホークなどのミサイルを発射して、シリア軍の基地などを破壊する予定と報じられている。攻撃対象が多くなる場合、B2ステルスなど、ミサイルより多くの爆弾を落とせる戦闘機を使う予定だという。

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/171340
Strike on Syria `As Early as Thursday'

 攻撃の時期については、9月1日以降との説もある。時期の早晩があるかもしれないが、米政府の高官がマスコミに攻撃を明言しており、言葉だけでなく、いずれ攻撃が行われる可能性が高い。攻撃は2日間行われる予定だ。世論調査では、米国民の9%しか、シリアに対する軍事攻撃を支持していない。

http://rt.com/usa/us-syria-strike-chemical-060/
Obama reportedly considering two-day strike on Syria

 取り沙汰されている空爆の理由は「シリア政府軍が化学兵器を使って無実の市民を大量殺害したから」だが、シリア政府軍が化学兵器を使ったという確たる証拠を、米英仏は持っていない。8月21日に市民への化学兵器による攻撃が行われたとされる根拠は、ユーチューブなどに、被害者を撮影したとされる
映像が掲載されたり、現場の地域(Ain Tarma、Zamalka、Jobar。いずれも反政府派が強い)の病院に医薬品などを供給している「国境なき医師団」が、現場の病院の医師から、化学兵器の被害を受けたと思われる多数の市民を手当しているとの報告を受けたりしたことだ。

http://www.washingtonpost.com/world/national-security/kerry-obama-determined-to-hold-syria-accountable-for-using-chemical-weapons/2013/08/26/599450c2-0e70-11e3-8cdd-bcdc09410972_story.html
After Syria chemical allegations, Obama considering limited military strike

 しかしこれらの証拠は、化学兵器を使ったのが政府軍であるということの証明になっていない。証拠とされるユーチューブの動画の中には、事件の前日の8月20日にアップロードされたものもあり、ユーチューブのサーバーがある米国とシリアとの時差を考えても、動画が事件前にアップされていたという指
摘がある。

http://rt.com/news/syria-chemical-prepared-advance-901/
Materials implicating Syrian govt in chemical attack prepared before incident - Russia

http://investmentwatchblog.com/news-of-chemical-weapons-attack-in-syria-published-one-day-before-massacre-happened/
News of chemical weapons attack in Syria published one day before massacre happened

 また、アップされた動画を見た英国の科学捜査の研究機関(Cranfield Forensic  Institute)の専門家(Stephen Johnson)が、写っている被害者の容態が、化学兵器の被害を受けたにしてはおかしいと思われる点が複数あると指摘している。写っている負傷者は、身体に白い気泡(水ぶくれ?。foaming)ができているが、報じられているような化学兵器の攻撃を受けた場合、気泡はもっと黄色か赤っぽくなるはずで、白い気泡は別の種類の攻撃を受けた症状のように見えるなど、シリア軍が持っている化学兵器が攻撃に使用されたと結論づけるのは早すぎる。専門家はそのように指摘している。

http://www.euronews.com/2013/08/21/expert-casts-doubt-on-chemical-weapons-footage-from-syria
Expert casts doubt on Syria chemical weapons footage

 また、現場の「国境なき医師団」がシリア政府軍の攻撃であると証言したような報道があるが、実のところ医師団は「化学兵器攻撃の可能性が高いが、誰が攻撃してきたかはわからない」と言っている。また、米国の金融界や大企業の献金を受けて活動している同医師団について、戦争で儲けたい米国の勢力の
意向を代弁している疑いがあると見る向きもある。

http://www.activistpost.com/2013/08/doctors-behind-syrian-chemical-weapons.html
"Doctors" Behind Syrian Chemical Weapons Claims are Aiding Terrorists

 シリアでは今年3月にも化学兵器による攻撃があり、シリア政府や、同政府を支持するロシアなどは「反政府勢力が化学兵器を使った」と主張する一方、反政府派や彼らを支持する米欧などは「政府軍が化学兵器を使った」と主張し、対立してきた。シリア政府軍は化学兵器を持っていることがわかっているが、反政府勢力は持っていないと、当初思われていた。だがその後、シリアに隣接するトルコの当局が、トルコ国内のシリア反政府勢力の拠点で、化学兵器の材料を押収するなど、反政府派による犯行の可能性が高まった。国連は、シリアに専門家の調査団を派遣することを決め、調査団は8月中旬にダマスカスに
到着した。その数日後の8月20日、調査団が滞在するダマスカスのホテルから15キロしか離れていない地域で、化学兵器による攻撃が起きたとされている。

http://www.activistpost.com/2013/08/propaganda-overdrive-suggests-syria-war.html
Propaganda Overdrive Suggests Syria War Coming Soon

http://www.tanakanews.com/130625mideast.htm
悲劇から喜劇への米国の中東支配

http://tanakanews.com/130507israel.php
大戦争と和平の岐路に立つ中東

http://tanakanews.com/121212syria.php
シリアに化学兵器の濡れ衣をかけて侵攻する?

 3月に化学兵器を使ったと疑われているアサド政権が、国連の調査団が到着した直後のタイミングをわざわざ選んで、調査団の滞在場所からすぐ近くで、一般市民を化学兵器で攻撃するとは考えにくい。シリアの内戦は今年に入り、アサドの政府軍が優勢になり、政府軍は、各地の反政府派の拠点を奪還してい
る。しかも政府軍は空軍を持っており、化学兵器でなく通常兵器による空爆の方が、反政府派を効率的に駆逐できる。政府軍が、自分らが優勢な時に、非効率的な化学兵器を使うとは考えにくい。反政府派が、れまでも自分らに有利な偏向報道をしてくれてきた米欧のマスコミが「政府軍の仕業だ」と決めつけてくれるとの見通しで(もしくは米国側から持ちかけられて)、国連調査団の
目前で化学兵器を使ったと考える方が納得できる。

http://www.globalresearch.ca/us-sponsored-rebels-in-syria-have-been-defeated-government-forces-are-restoring-peace-throughout-the-country/5346632
US Sponsored Rebels in Syria have been Defeated. Government Forces are Restoring Peace throughout the Country

 事件後、米英マスコミの多くは、政府軍の仕業と決めつけて報道し、化学兵器による死者の数を「60人」「600人」「1400人」などと、競ってつり上げて報道した。

http://voiceofrussia.com/2013_08_21/Chemical-weapons-use-in-Damascus-only-a-fool-can-believe-it-expert-5491/
Chemical weapons use in Damascus: 'only a fool can believe it' - expert

http://21stcenturywire.com/2013/08/22/chemical-weapons-media-propaganda-in-us-uk-is-designed-to-hide-the-truth-in-syria/
`Chemical Weapons' media propaganda in US, UK is designed to hide the truth in Syria

 事件直後は米国政府(国務省報道官)も「誰が化学兵器を使ったかまだわからない」と慎重姿勢だったが、マスコミはそんなのおかまいなしだった。03年の米軍イラク侵攻の直前、米英マスコミが、実は存在していないだろうと最初からわかっていたイラクの大量破壊兵器の脅威をでっち上げ、競って報じていたのとまったく同じ姿勢だ。イラク戦争の失敗後、米英マスコミは、戦争を起こすプロパガンダ機関になったことを反省し、姿勢をあらためたはずなのに、今回またシリアで、03年と同質の扇動が繰り返されている。

http://www.reuters.com/article/2013/08/22/us-syria-crisis-usa-state-idUSBRE97L0Z620130822
U.S. says unable to conclusively determine chemical weapons used in Syria

http://www.reuters.com/article/2013/08/27/us-syria-crisis-china-idUSBRE97Q09420130827
Remember bogus U.S. excuses for Iraq war before attacking Syria: China's Xinhua

 FT紙はご丁寧にも「イラクへの侵攻は、イラクの体制を転換する意図(米英によるおせっかい)で行われたが、シリアへの侵攻は、独裁のアサド政権を倒そうとするシリア人自身の活動を支援する(良い)ものだ。イラクとシリアはまったく意味が違う(イラクは悪い戦争で、シリアは良い戦争だ)」という趣旨の記事を載せている。

http://blogs.ft.com/the-world/2013/08/why-syria-is-not-iraq/
Why Syria is not Iraq

 FTの記事は間違いだ。今のシリア反政府勢力の参加者のほとんどは、シリア国民でない。他のアラブ諸国やパキスタン、欧州などから流れてきたアルカイダ系の勢力で、トルコやヨルダンの基地などで米欧軍などから軍事訓練を受け、カタールなどから資金をもらっており、事実上の「傭兵団」だ。外国勢力が傭兵団を使ってシリアに侵攻している。FTなどが妄想している「シリア市民の決起」とはまったく違う。シリアの一般の国民の多くは、長引く内戦にうんざりし、アサド続投で良いから、早く安定が戻ってほしいと考えている。

http://www.washingtonsblog.com/2013/08/medias-reporting-on-syria-as-terrible-as-it-was-on-iraq.html
Media's Reporting on Syria as Terrible as It Was on Iraq

http://edition.presstv.ir/TextOnly/detail.aspx?id=254692
`None of insurgents were Syrian'

http://tanakanews.com/120613syria.htm
シリア虐殺の嘘

 シリア反政府勢力が良くない存在であることは、米軍のデンプシー参謀長も明確に認めている。デンプシーは「シリアの反政府勢力は過激なアルカイダが多く、彼らを支援して政権をとらせることは、米国の国益にならない」と断言している。マスコミの歪曲はひどい。「ジャーナリズム」の「あるべき姿」は、
世界的に(もちろん日本でも)すでに消滅して久しい。今の(もしかすると昔から?)ジャーナリズムは全体として、読者や視聴者に間違った価値観を与え、人類に害悪を与える存在だ。(マスコミは昔から戦争宣伝機関の機能を持っていたが、近年までうまく運用され、悪さが露呈しにくかった。911後、
宣伝機能が自滅的に過剰に発露されている)

http://news.antiwar.com/2013/08/21/gen-dempsey-syrian-rebels-wont-be-us-allies-if-they-seize-power/
Gen. Dempsey: Syrian Rebels Won't Be US Allies If They Seize Power

 米政府はシリア空爆を決めた後、ケリー国務長官が「シリア政府軍が化学兵器を使ったことは否定しようがない」「それを疑う者は不道徳な陰謀論者だ」と表明し、根拠なしに政府軍犯人説を主張した。しかし他の諸国は、もっと慎重な姿勢だ。

http://news.antiwar.com/2013/08/26/no-proof-but-kerry-insists-syria-allegations-undeniable/
No Proof, But Kerry Insists Syria Allegations `Undeniable'

http://21stcenturywire.com/2013/08/27/john-kerry-delivers-obamas-war-declaration-against-syria/
John Kerry Delivers Obama's War Declaration Against Syria

 フランスの外相は、シリア政府軍の拠点を空爆することを強く支持した。しかし、そこには「もし化学兵器を使ったのがシリア政府軍であるとしたら」という条件がついている。英国の態度も同様だ。イタリアは、国連で化学兵器の使用者が確定しない限り、空爆に参加しないと表明した。ドイツなどもこの線だ。

http://edition.presstv.ir/TextOnly/detail.aspx?id=320003
`US unclear on Syria chemical arms use'

http://www.thelocal.it/20130827/italy-rules-out-action-in-syria-without-UN
Italy rules out action in Syria without UN

 今年3月に反政府派が化学兵器を使ったと指摘するロシアは「誰が化学兵器を使ったか確定するのが先だ」と言っている。決めつけを表明した米国以外は「もしシリア政府軍が化学兵器を使ったのなら、政府軍の基地を空爆すべきだ(もしくは空爆もやむを得ない)」と言っているが、マスコミは「もし」の部分を意図的に小さく報じ「空爆すべきだ、空爆はやむを得ない」と報じている。

http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-23845800
Syria crisis: Russia and China step up warning over strike

 シリアにはちょうど国連の化学兵器調査団がいる。彼らは当然ながら、8月1日の化学兵器使用現場を調査しようとした。しかし現地に向かう途中、反政府派から狙撃され、引き返さざるを得なかった。その後、日を変えて再び現場に向かい、2度目は現場を検証できた。だが、調査結果を持ってダマスカスから米欧に戻ることができないでいる。米国が国連事務総長らに圧力をかけ、調査団のシリアからの帰国を阻止している。この指摘は、米国の元大統領補佐官のポール・クレイグ・ロバーツが発したものだ。以前から彼の指摘は的確で、注目に値する。

http://www.paulcraigroberts.org/2013/08/26/syria-another-western-war-crime-in-the-making-paul-craig-roberts/
Syria: Another Western War Crime In The Making - Paul Craig Roberts

 対照的にFTは「シリアの独裁を倒すために立ち上がろう」と題する、昔の共産党機関誌顔負けの扇動的な題名の記事で「シリア政府が調査団の現地訪問を阻止している」と指摘している。当然ながら、信憑性に疑問がある。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/710d67fc-0be6-11e3-8840-00144feabdc0.html
We must stand up to Syrian tyranny

 別の報道で「米英は、早く調査団を現地に訪問させろと言っているが、国連事務局が、治安の問題を理由に、訪問を先延ばしにしている」という指摘もある。これまた疑問だ。国連など国際機関の内部の議論を一般人が検証できないことを良いことに、誰が賛成して誰が反対しているかを逆に書くのは、昔から英国が得意とするプロパガンダ手法だ。

http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2013/08/23/un_blocking_its_own_chemical_weapons_investigation_into_syria
U.N. Slowing Its Own Chemical Weapons Investigation In Syria

 現在の米政府の姿勢は「国連の調査団は来るのが遅すぎた。反政府勢力の証言から、シリア軍の犯行であるのは、すでに間違いない。いまさら調査しても意味がない」というものだ。ケリー米国務長官は「国連の調査は重要だが必須でない。すでに(政府軍が犯人だということで)結論が出ている」と言っている。

http://news.antiwar.com/2013/08/25/obama-administration-accepts-rebels-account-on-syria-prepares-for-war/
Obama Administration Accepts Rebels' Account on Syria, Prepares for War

http://www.smh.com.au/world/obama-considering-limited-military-strike-on-syria-20130827-2snl8.html
Obama considering limited military strike on Syria

 なぜ米国は、国連の調査を妨害するのか。もしケリーが断言するとおり化学兵器使用の犯人がシリア政府軍であるなら、国連調査団をさっさと現地に行かせて米国に帰国させ、国連総会で真相を発表させれば良い。それをせず逆に、調査団の帰国を遅らせ、妨害しているのは米政府自身なのに、アサドが妨害しているんだとマスコミに歪曲報道させている。真相は、化学兵器を使ったのが反政府勢力だということだろう。それが国際的に暴露されると、米英が支援してきた反政府勢力の信用失墜と崩壊が進み、アサド政権が内戦に勝ってしまい、ロシアの言いなりでアサド続投を認知する国際会議をやらねばならなくなる。

http://rt.com/news/russia-syria-chemical-attack-801/
Russia suggests Syria `chemical attack' was `planned provocation' by rebels

http://www.presstv.ir/detail/2013/08/26/320509/antisyria-western-axis-coming-apart/
Anti-Syria Western axis coming apart

 反政府勢力の犯行を隠すため、米国は国連調査団を帰国させず、彼らが帰ってくる前に空爆を開始し、真相をうやむやにしつつ、シリアの空軍力を壊滅させ、混乱のうちに反政府派を反攻させ、米軍の地上軍派遣をやらずに、アサド政権を倒すまで持っていきたいのだろう。ロイター通信も、そのような筋書きを報じている。米軍は、イラクやアフガンよりひどい占領の泥沼になるシリアへの地上軍侵攻に猛反対している。

http://www.activistpost.com/2013/08/reuters-us-to-strike-syria-before-un.html
Reuters: US to Strike Syria Before UN Evidence Collected

 イラクとアフガンの失敗以来、米英などでは、政界や世論が、シリアやリビアなど中東の紛争地で戦争をすることに反対する傾向が増している。米英政府が、議会でシリアとの戦争の必要性についてきちんと議論すると、空爆ができなくなり、反政府派の悪事が国際的に暴露されていくのを看過せねばならなくなる。だから米英政府は、自国の議会が夏休みの間に、急いで空爆を実施しようとしている。本来、米国も英国も、戦争するには議会の承認が必要だ。

http://news.antiwar.com/2013/08/27/war-on-syria-imminent-us-wont-seek-un-or-nato-vote/
War on Syria Imminent, US Won't Seek UN or NATO Vote

 米国では911事件以来、大統領が「テロリストとの戦い」を開始する権限を持っている。だからオバマは合法的にシリアを空爆できる。しかし英国では、議会の決議を経ずに首相が勝手に戦争を開始できない。特に英国は、03年に米国のイラク侵攻につきあって大失敗して以来、開戦権について議会が厳しく
なっている。あと一週間もしたら、英国は議会がシリア空爆を阻止する決議をして、米国と一緒にシリアを空爆できなくなる可能性が高い。だから、米国のオバマより英国のキャメロンの方が、シリア空爆を急いでいる。英国はこの10年ほど、米国に冷たくされ、何より大事だった英米同盟が希薄化している。シリアに濡れ衣をかけて空爆する悪事を米国と一緒にやれば、英米同盟を立て直せるかもしれないと、英政府は考えているのだろう。悪事を一緒にやった者同士は(悪事の悪さが大きいほど、強い)運命共同体だ。

http://news.antiwar.com/2013/08/25/us-britain-and-france-agree-to-attack-syria-within-two-weeks/
US, Britain and France Agree to Attack Syria Within Two Weeks

 米政府は、国内・国際的な反発を減らすため、空爆によってアサド政権を倒す目的でなく、使用禁止の大量破壊兵器である化学兵器を使った「罰」を与えるのが目的だとしている。だからアサドの大統領官邸やシリア政府の役所などは空爆対象にならないという。だが真の目的は、シリアが100機ほど持っている空軍の戦闘機を、空爆によってできるだけ多く破壊し、反政府軍に対するシリア軍の優勢を壊すことだろう。反政府軍は地上軍だけなので、空軍力がある政府軍に勝てない。政府軍の戦闘機やヘリのほとんどを破壊すれば、内戦は地上軍どうしの戦いになり、政府軍の優位が減る。米英などは最近、シリアの南隣のヨルダンの基地を使って、シリア反政府派を軍事訓練し、シリアに戻す
ことに力を入れている。

http://www.haaretz.com/news/middle-east/1.543880
Obama's Syria options: From a symbolic strike to wiping out Assad's air force

http://news.antiwar.com/2013/08/25/report-claims-us-israeli-trained-rebels-moving-toward-damascus/
Report Claims US, Israeli Trained Rebels Moving Toward Damascus

 今後、米英仏が本当にシリアを空爆するかどうか注目が必要だ。この戦争には、イランやイスラエル、ヒズボラ、サウジなど、他の勢力も関係している。今回は書ききれなかった、パレスチナ和平交渉との関係もある。それらは次回に、有料記事で書くつもりだ。

【続く】





◆サウジとイスラエルの米国離れで起きたエジプト政変
http://tanakanews.com/130823egypt.php
【2013年8月23日】イスラエルがパレスチナ問題を解決したいならサウジアラビアと話をつけねばならない。イスラエルは、パレスチナ国家の創設を認めるから、アラブ諸国がイスラエルとの関係を敵視から協調に転換するよう誘導してくれとサウジに頼み、サウジは、その件を了解するから、代わりに米欧のプロパガンダをいじってエジプトのクーデターを支持するように誘導してくれとイスラエルに頼んだのでないか。

●ガザ・中東大戦争の瀬戸際(田中宇)

2020年02月25日 | シリア

2009.01.06

 

●ガザ・中東大戦争の瀬戸際(田中宇)

 

メルマガ:田中宇の国際ニュース解説 2009年1月3日 より転載

━━━━━━━━━━━━━━━
★ガザ・中東大戦争の瀬戸際
━━━━━━━━━━━━━━━

 イスラエル軍が、ガザに地上軍侵攻しそうな感じになっている。イスラエル政府は閣議でイスラエル軍のガザへの地上軍侵攻を了承した。ガザのハマスは、早く侵攻してこいといわんばかりに、ヘブライ語でイスラエルを挑発する発表を繰り返している。
http://www.debka.com/headline.php?hid=5817

 イスラエルは12月27日からガザを空爆しているが、すでにガザ地区内でイスラエルが空爆の対象としていたハマスの拠点に対する空爆はほとんど終わり、もう空爆対象がない状態になっている。イスラエル軍はハマス幹部の居宅を次々に空爆している。イスラエルの世論調査では、85%が戦争継続に賛成している。
http://news.antiwar.com/2009/01/01/at-least-425-killed-in-gaza-as-israel-running-out-of-things-to-bomb/
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article5434559.ece

 イスラエル側では、ガザに近い地域の病院に対し、患者を他の地域の病院に避難させるよう指示が出た。これは、ガザの近くの病院のベッドを空けておき、これからガザに侵攻して負傷するイスラエル地上軍兵士を、これらの病院に搬送するためであると、イスラエル軍が認めている。ガザに残っていた400人の外国人も、1月2日に、ガザからイスラエルに出ることが許された。これも、侵攻準備の一環と考えられている。
http://news.antiwar.com/2009/01/01/ground-invasion-of-the-gaza-strip-appears-imminent/

 もともと、今回のガザ戦争を誘発したのは、ハマスである。ハマスは、12月19日にイスラエルとの停戦協定が切れた後、イスラエルへの短距離ミサイルの発射を再開し、イスラエルを苛立たせた。ハマスは、イスラエル地上軍をガザに侵攻させ、05年のガザ撤退以来やめていたガザに対する軍事占領を復活させた後、占領軍に対しゲリラ戦を展開して、イスラエルを占領の泥沼に引っ張り込むつもりだろうと、イスラエル軍の諜報機関であるモサド系の情報サイト「デブカ・ファイル」が書いている。
http://www.debka.com/headline.php?hid=5815

 同サイトによると、すでにハマスの軍事部隊は、一般市民のふりをしてガザ地区内の一般のアパートに分散して入居し、ゲリラ戦の準備をしている。またイスラエル軍は、地上軍侵攻してガザ地区の全体を占領した後、ガザを5つのブロックに分割し、パレスチナ人が相互に行き来できないようにして占領すると予測している。加えてイスラエル軍は、ガザとエジプトの間の13キロの国境線沿いの「フィラデルフィア・ルート」と呼ばれる細長い地域(幅は数百メートル)を再占領する予定だという。この地域は2005年にイスラエルの前
シャロン政権がガザから撤退した際、イスラエル軍からエジプト軍へと、管轄が委譲されている。
http://www.jewishvirtuallibrary.org/jsource/History/gazasettle_map.html

▼停戦協定を破って空爆開始したイスラエル

 国際社会では、イスラエルとハマスを停戦させる努力が行われている。来週には、フランスのサルコジ大統領がイスラエルを訪問する。しかし、停戦が実現する可能性は非常に低い。
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5j77SAUqvhQio6Hupkw4M4grDmiQQD95DULO80

 なぜなら、イスラエルが12月27日にガザを空爆し始めた時、イスラエルは前日にハマスと結んでいた48時間の停戦協定を破って空爆したからである。
ハマスは、停戦期間中だったのでイスラエルの空爆を予測しておらず、無防備に集会を開いており、そこを空爆されて多くの死者が出た。空爆開始時、イスラエル軍の死者が異例に少なかったが、これはハマスが停戦の態勢で無防備だったからだろう。エジプトも、事前にイスラエルの空爆予定を知っていたが、自国のイスラム過激派の分派であるハマスに潰れてほしいと思っていたため、ハマスには何も伝えずにだました。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1051211.html
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3646178,00.html

 ハマスは、イスラエルとの停戦協定を信じたばかりに、だまし討ちの空爆を受けた。いったんイスラエルにだまされた以上、ハマスはもう簡単には停戦に応じないだろう。

▼リブニとバラクの政争

 なぜイスラエルは、わざわざ停戦協定を破って空爆を開始したのか。私の読みは「バラクとリブニの政争」である。イスラエルの国防大臣のバラクは好戦派で、労働党の党首である。外務大臣のリブニは戦争を抑止したい外交派で、カディマの党首である。イスラエルは2月10日に総選挙があるが、バラクの労働党は劣勢だった。ガザ戦争の開戦によって、リブニ支持を食うかたちでバラク支持が急増したと指摘されている。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1051210.html

 バラクは、ガザで徹底的に戦争をしてハマスをやり込める戦略を主張している。リブニは早期に外交交渉に持ち込み、欧米など国際社会を巻き込みつつ停戦すべきだと主張している。だが、空爆開始時にイスラエルが停戦協定を破っているので、交渉しても停戦できない。バラクは、リブニの戦略を破綻させるために、わざわざ停戦協定を破って開戦したと推察できる。
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1050437.html

 バラクが今回、このような策略をやったのは、おそらく2006年夏のレバノンのヒズボラとの戦争の教訓からである。レバノン戦争当時も、バラクが国防相、リブニが外相だった。バラクは戦争拡大を希求したが、レバノンだけでなくシリアと開戦したら大戦争に発展して大変なことになるというリブニの主張が通り、開戦から1カ月後に国連の仲裁で停戦した。イスラエルは国家存続できたが、イスラエルと戦って負けなかったヒズボラは中東全域で英雄視された。
http://tanakanews.com/g0822israel.htm

 イスラエルは、シリアやイランと戦争になったら終わりである。バラクは、イスラエルを自滅させようとしている米国のネオコンやチェイニー副大統領ら「隠れ多極主義者」の一派であり、リブニは彼らの謀略によるイスラエルの自滅を防ごうとしていると、私には見える。

 もともと、米国の策略によってイスラエルが潰されかけていることを察知したのはシャロン前首相で、02年に西岸との境界に隔離壁を建設する計画を開始し、05年秋にはガザからイスラエル軍と入植者を撤退させ、パレスチナとの間を隔離し、イスラエルが戦争に巻き込まれるのを防ごうとした。だが、シャロンは06年初めに脳卒中で倒れ(暗殺?)今も植物人間である。リブニは、このシャロンが自分の後継者にするため、90年代末にモサド要員から引っ張り上げて選挙に出馬させ、政治家として育てた人材である。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tzipi_Livni
http://tanakanews.com/d0113israel.htm

 一方、バラクの方はイスラエル軍のエリート特殊部隊(サエレト・マトカル)の出身で、1976年のエンテベ空港でのパレスチナゲリラによるハイジャック機からの救出作戦の成功で一躍有名になり、同じ部隊にいたネタニヤフ(リクード党首)と並ぶ、イスラエルの有力政治家となった。しかしエンテベ作戦は、モサドがゲリラを扇動してハイジャックを挙行させた、やらせ事件だったことが暴露されている。
http://tanakanews.com/071009israel.htm

 もしかすると、労働党とリクードというイスラエルの伝統的な二大政党を率いているバラクとネタニヤフは、イスラエル愛国主義の象徴のふりをして実は正反対で、本当は両人とも、過激なネオコンや入植者集団と同じ「好戦的な戦略をやりすぎてイスラエルを自滅させる」という隠れた戦略を持った「ロスチャイルドのスパイ」なのかもしれない。
http://tanakanews.com/f0622israel.htm

 ハマスを武力で潰すことはできない。ガザの150万人のパレスチナ人は、イスラエルに封じ込められている限り、ハマスと一心同体であり、ハマスの現幹部を殺害しても、別の人々が幹部になるだけだ。ガザをエジプトや国際社会に押しつけるシャロンやリブニのやり方が妥当だ。ハマスを武力で潰すべきだと言っているバラクやネタニヤフには、隠された意図があると疑った方がよい。

▼焦点はラファ国境の開放

 イスラエル地上軍がガザ侵攻しそうな中、焦点の一つは、ガザとエジプトとの間のラファ国境が閉鎖されたままであるかどうかという点になっている。ハマスはイスラエルから経済制裁を受けていた08年1月、この国境の壁を破壊し、ガザの人々が自由にエジプトに行けるようにした。エジプト軍が国境の壁を修復し、自由往来は1週間で終わったが、今回の戦争で、再びハマスはエジプトに国境を開放せよと求めている。エジプトのムバラク政権は、ハマスの兄貴分に当たる野党のイスラム同胞団を活気づけたくないので、ラファ国境の開放を拒否している。
http://tanakanews.com/080125Gaza.htm

 イスラエル軍が地上侵攻したら、ガザとエジプトの国境線にあるフィラデルフィア・ルートをエジプトから奪還するだろう。このルートの警備は、もともとイスラエルのシャロン前政権が、05年のガザ撤退の際にエジプトに押しつけたものだ。エジプトは今回、イスラエル軍が来たらルートから自国軍を引き揚げ、奪還を喜んで黙認するだろう。ガザのエジプト側を封じ込めておく責任は、エジプトからイスラエルに戻る。

 エジプトはガザと同じアラブ人なので、ハマスがエジプトに「ラファ国境を開けろ」と求めて騒げば、同胞であるエジプト国内の世論が同調し、エジプト政府も何らかの対応をせざるを得ず、08年1月にハマスがガザの壁を破壊したときも黙認した。だが相手がイスラエルだと、同情や黙認など全くなく、ガザの壁を壊そうとする動きは銃弾乱射で容赦なく阻止される。イスラエルがフィラデルフィア・ルートを奪還すると、ガザは再びイスラエルによって完全に封印される。ハマスが再びラファの壁を壊し、ガザとエジプトをつなげる挙に出るなら、イスラエル地上軍によるガザ再占領が完了する前にやらねばならない。

 もしイスラエル地上軍のガザ侵攻が展開している間に、ラファ国境の壁がハマスによって破壊され、エジプト軍がハマスとの交戦を避け、ガザとエジプトがつながった場合、ガザ戦争はエジプトに波及する。エジプトのイスラム主義者の義勇軍が武器を持ってガザに流入する事態になりうる。米国傀儡のエジプト政府は、イスラエルに宣戦布告せず、優柔不断な態度をとるだろうが、国民は政府よりイスラム同胞団を支持する傾向を強め、エジプトは混乱に陥る。他のアラブ諸国やイランから、エジプトにイスラム主義の義勇軍が押し寄せるかもしれない。事態は中東大戦争に近づく。

 逆に、ハマスの行動がイスラエル軍やエジプト軍に抑止され、ラファ国境が開かないまま、イスラエル軍がフィラデルフィア・ルートを再占領し、ガザを分割占領した場合、ガザはシャロンのガザ撤退前の状況に戻る。ガザ戦争が中東大戦争に発展する可能性は減るが、ガザの諸問題はすべてイスラエルの責任になる状況が復活する。ガザをエジプトと、西岸をヨルダンとつなげ、アラブ諸国にパレスチナの面倒をみさせ、イスラエルは隔離壁を作ってパレスチナと縁を切るという、シャロン前首相からオルメルト現首相に引き継がれた問題解決策は破綻する。

 このシャロン案の前にあったのは、西岸とガザにPLO主流派(ファタハ)による親米・親イスラエルのパレスチナ国家を創建するという2国式(オスロ合意型)の中東和平計画であるが、もはやそれに戻ることも無理だ。ガザは反米反イスラエルのハマスが抑えており、西岸のファタハの人気が凋落しているからだ。和平の行き詰まりの中、ガザと西岸のパレスチナ人がイスラエルに苦しめられるアパルトヘイト的な状況だけが残る。

 前から書いているが、ガザの戦争が中東大戦争に発展するかどうかは、今後の世界全体にとって非常に重要だ。中東大戦争になれば、原油価格の再高騰でインフレが再燃し、ドル崩壊の引き金になりかねない。中東大戦争にならなければ、原油反騰は限定的となり、イランやロシア、ベネズエラといった反米諸国の窮乏が拡大し、世界の多極化に歯止めがかかる。対米従属を続けたい日本国としては、中東大戦争が避けられるよう、神仏に祈るしかない。


この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/090103Gaza.htm


★関連記事

オバマに贈られる中東大戦争
http://tanakanews.com/081228Gaza.htm

パレスチナ見聞録(1)ガザ地区
http://tanakanews.com/b0115gaza.htm

ガザ訪問記(上)
http://tanakanews.com/d1020gaza1.htm

ガザ訪問記(下)
http://tanakanews.com/d1020gaza2.htm

イスラエル英雄伝:ネタニヤフとバラク
http://tanakanews.com/990607israel.htm

 

 

 


7994:中東を反米親露に引っ張るトルコ(田中宇ニュースレター)を読みました。

2020年02月25日 | シリア

2016年7月27日


7994:中東を反米親露に引っ張るトルコ(田中宇ニュースレター)を読みました。


「トルコにおけるクーデターの失敗は民衆が現政権を支持したというよりも、現大統領が自分の権力を強化するために、むしろ未熟なクーデター発生を黙認してつぶした。トルコ国内ではクーデターの後始末として親西欧派を排斥しており、トルコ自体も米国との距離を置いてロシアにすり寄ろうとする動きを見せている。」という解説を田中宇氏は『中東を反米親露に引っ張るトルコ』(https://tanakanews.com/160726mideast.htm)という 2016年7月26日のニュースレターで明らかにしています。西欧系のメディアも、反乱の後始末において多くの公務員などが解雇や残虐な迫害を受けているということを伝えており、実際の事態はそのようなものであるのかもしれません。
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記事の要点:
 7月15日のクーデター未遂事件以来、トルコは「米国敵視」と「イスラム化」への道を猛然と進んでいる。

 トルコのエルドアン大統領は、米国亡命中のトルコ人イスラム指導者ギュレン師をクーデター画策の黒幕だと決めつけ、「ギュレンをトルコに送還しろ」と米国に喧嘩を売っている。エルドアンは、自分の独裁を批判する勢力をすべて「ギュレン派」とみなして逆批判する傾向だ。

 トルコでは米国犯人説が信じられている。多くは「米国やNATOがギュレンと組んでクーデターを起こそうとした」と思っている。トルコの政府と世論は、クーデター後「米国批判」から「米国敵視」へと、一線を越えて進んでいる。

▼喧嘩を売って米国の弱さを露呈させる

 エルドアンは最近、昨秋から仲が悪かったロシアと仲直りしており、米国(NATO)と組むよりロシアと組んだ方が得策と考え始めている。

 トルコが米国をなめてかかって喧嘩を売るのは、もはや中東において、米国に追随していても利益がなく、ロシアに擦り寄った方が安保戦略上良いからだ。シリアは、完全にロシアの影響圏になった。米国に倒されかかったアサド政権がロシアの軍事進出に救われて健在で、シリア内戦はロシアとアサドの勝利になっている。米国のアサド打倒に便乗したトルコは負け組になって馬鹿を見た。

 イランは、イラクやレバノンにも強い影響力を持っており、露イランの同盟体は、中東の北半分を支配している。エジプトも、軍事政権の復権後、米国に見放されてロシアに拾われ、ロシアの傘下に入っている。アフガニスタンやパキスタンは、ロシアの盟友である中国の影響が強まっている。サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油諸国は一応まだ親米国だが、ロシアとも関係強化している。イスラエルですら、北隣のシリアがロシアの傘下に入った昨秋来、米国を見限ってロシアに擦り寄っている。

 トルコは米国に対してより先に、欧州(EU)に対し、昨夏以来の難民危機で、相手をなめてかかるかたちでの喧嘩を売っている。EUも、トルコを非難しなかった

▼クーデターを使って親欧米派を一掃する

 エルドアンのもう一つの危険さは、クーデター後、エルドアンがトルコ社会のイスラム化を扇動することで、トルコ国内から「リベラル派」「親欧米派」を一掃しようとしている点だ。

 7月16日未明、クーデターが失敗した一因は、エルドアンを支持する無数の男たちが、未明の街頭に出て反乱軍の戦車を取り囲み、クーデターを失敗させた。意図的に政治混乱を引き起こし、それを市民パワーで乗り越えさせ、市民を指導する形で指導者が独裁的な権力を握るシナリオは、中国で毛沢東がやった文化大革命や、イランでホメイニがやったイスラム革命を思い起こさせる。

 騒ぎの最大の受益者は、稚拙な反乱軍でなく、やられかけたエルドアンと、彼に忠誠を誓うイスラム主義の政治勢力(与党AKPの支持者群)である。騒ぎの最大の敗北者は、トルコ全体のリベラル派、親欧米派である。

エルドアンを批判したり、クーデターが政府のやらせであると発言すること自体が「クーデター加担者」「売国奴(欧米のスパイ)」とみなされ、攻撃や取り締まりの対象にされている。エルドアンは、親欧米的な勢力の発言権や権威を根こそぎ剥奪している。クーデター後、エルドアンが試みる荒治療的な欧米リベラル覇権主義からの離反は、中東の新たな方向性として注目すべきである。

▼無駄だった百年の欧米擦り寄りを終わらせる
 エルドアンは、欧米の一部になることを目指してきたトルコのこの百年の世俗リベラル主義への信奉を丸ごと破壊し、百年間使われていなかったイスラムに基づく政治社会システムを再導入する試みをやろううとしている。そのための大胆な策として、今回のクーデター騒ぎが使われている。

 中東全域で、米国離れやロシアへの擦り寄りが見られる。トルコはもともとイランやサウジと友好関係にある。今回ロシアやイスラエルと和解し、今後アサドやエジプトを容認すると、トルコは中東のすべての国々と協調できる。ロシアと協力し、サウジとイラン、イランとイスラエルの対立を仲裁できる。トルコとロシア、イランが協力すれば、中東を安定化することができる。これは、欧米(英米)がこれまで中東を分断・内乱させて弱体化し、支配してきたのと全く逆の方向だ。

 トルコの反米イスラム主義が期待できるもう一つの点は、アルカイダやISISといったテロリストを一掃できるかもしれない点だ。アルカイダやISISも、トルコも、一見すると、同じ反米イスラム主義に見える。だが実態は全く異なる。アルカイダやISISは、米国(米英)が作ったテロ組織だ。
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清澤のコメント:いかがですか?全く正鵠を射ているようではありませんか。

Categorised in: 社会・経済

 

 

 

 

 
中国の大国化、世界の多極化


2007年6月5日   田中 宇


 
 5月18日からドイツで開かれたG7の財務相・中央銀行総裁会議に、アメリカのポールソン財務長官が欠席した。欠席の真意についてはいろいろ書かれている。ヘッジファンドに対する規制をめぐり、今年のG7(G8)議長国であるドイツが比較的強い規制を提案したのをアメリカが拒否したため、ドイツのシュタインブリュック財務相が激怒し、アメリカで開かれた前回の会議を「家族と休暇を取る」という理由で欠席したが、これの仕返しとして今度は米側がドイツでの会議を欠席したのではないか、とも言われている。アメリカの金融市場はヘッジファンドによるレバレッジ(借り入れによる投資)に支えられている部分が大きいので、アメリカはヘッジファンドを規制したくない。(関連記事その1、その2)

 今回、私が注目したのは、ポールソン欠席の「裏の理由」ではなく「表向きの理由」である。米財務省が発表した欠席の理由は「G7会議の直後の日程で、中国の代表団が訪米し、2度目の米中戦略会議が開かれるが、ポールソンはこの準備に忙しいのでG7に出る暇がない」というものだった。米財務省は、G7より中国との2国間会議の方が重要だ、と宣言したのである。

 従来の常識から考えると、先進国の集まりであるG7の会議より、まだG7にも入れない中国との会議の方が重要だという宣言は、ほとんど本気のものとは受け取れない。米財務省は、ドイツなど他のG7諸国を煙に巻くために、半ば冗談としてこんな宣言をしたのではないかとも疑える。

 しかし、5月30日付けでFT紙(フィナンシャルタイムス)の主席の解説記者であるマーティン・ウォルフ(Martin Wolf)が「国際経済の関する世界で最も重要な首脳会議は何か。答えはG7ではない。米中2国間で(半年ごとに)開かれている戦略会議である」という書き出しの記事(The right way to respond to China's exploding surpluses)を出しているのを見て、G7より米中交渉の方が重要だという見方は、冗談ではないのだと感じられるようになった。(関連記事)

 ウォルフの記事によると、今の世界経済にとって最も重要な課題は、巨額の外貨を貯め込む中国に対し、いかに金を使わせるかということであり、そのため中国が入っていないG7より、米中交渉の方が重要なのだという。ウォルフは、G7をやめて、代わりにアメリカ、欧州(ユーロ圏)、日本、中国という世界4極会議を持った方が良いという、大胆な主張までしている。(いずれインドも入れて5極にした方が良いが、まだ時期尚早だという)

 私が見るところ、もっと中国に消費させねばならない理由は、これまで世界最大の消費国だったアメリカが、すでに国家財政と家計の両方が借金漬けになり、住宅バブルの崩壊もあって、もはや消費できなくなりつつあり、代わりの新たな大消費地を早く作らないと、世界経済が不況に陥ってしまうからである。資本家は、気前の良い大勢の消費者を常に求めている。1980-90年代には、高度経済成長を成し遂げた日本やドイツに対し、アメリカから「もっと消費しろ」という内需拡大の要求がかかっていた。

 先進国の人々は、もはや買いたいものは大体買ってしまっているので、G7は消費地として期待できない。ウォルフは「中国政府は、医療費や教育費に、もっと金を出した方が良い」と書いている。中国では10億人が住む農村で、医療保険がないために満足な医療を受けられなかったり、学校が有償制になったため学校に行けない子供が増え、問題になっているので、中国政府はそこに金を使えというわけである。

▼中国の空母建造に協力を申し出たアメリカ

 世界経済が、消費大国としての中国を必要としているということは、もはやアメリカが中国を、軍事攻撃や謀略的な争乱醸成によって政権転覆して潰すことはあり得ないだろう、ということでもある。中国を政権転覆して潰したら、イラクのような大混乱になり、消費を拡大するどころではなくなる。先進国は年3%しか経済成長していないが、中国は10%の成長を続けている。この成長は、世界経済にとって必要不可欠になっている。(関連記事)

 日本人の中には「アメリカは、日本をけしかけて中国と戦争させたがっている」と考えている人が意外と多いが、多分それは対米従属観に影響された被害妄想である。米政府は、ニューヨークの資本家(機関投資家)が了承しなければ戦争しない。米中2国間交渉を仕切っているポールソン財務長官は、ニューヨークの資本家の代表格である投資銀行ゴールドマンサックスの会長から転任してきた人である。彼は就任以来、中国に消費させるための画策をやり続けている。(関連記事)

 最近、米軍は、中国を敵国ではなく同盟国として扱うような方向に、軸足を移しつつある。5月中旬に海軍どうしの軍事交流のために中国を訪問したアメリカのキーティング海軍大将は、中国側の軍幹部から、中国も空母を持ちたいという希望を聞き「空母の建造と運営は大変な事業だが、中国が本当に空母を持ちたいと望むなら、その気持ちは理解できるので、アメリカは喜んで協力したい。アメリカはこの分野で中国と不必要に敵対するつもりはない」と記者会見で表明した。(関連記事)

 5月下旬には、欧米間の軍事同盟体であるNATOの幹部も、インタビューの中で、中国との緊張関係を完全に解き、軍人どうしの交流関係を持ちたいと表明している。(関連記事)

 アメリカのゲイツ国防長官は、アメリカと中国は、冷戦末期のアメリカとソ連のように、話し合いによって敵対から友好へと転換していく時期にあると述べている。(関連記事)

▼資金運用大国になる中国

 大国が国際的に持つ影響力(覇権)として最も重要なのは、軍事力ではなく、それらの源泉となる経済力である。そして、中国の拡大が最も顕著なのは、軍事力よりも経済力である。また今後、アメリカの衰退を最も決定づけて行きそうなのも、軍事力よりも経済力である。

(米政府は今後、老人向け政府医療保険のメディケアや公務員年金など、社会保障支出が急増することが確定しているが、米政府は数字を良く見せたいので、発表する財政赤字の中に、この未来の支出増を盛り込んでいない。民間の企業会計では、赤字が判明した時点で計上することが義務づけられており、その会計基準に従うと、米政府の財政赤字は、発表されている6倍の1兆3000億ドルに達する。財政赤字はブッシュ大統領の任期が終わった後に急増しそうだ)(関連記事その1、その2)

 中国は従来、製造業を発展させ、工業製品の輸出で経済力を伸ばしてきたが、輸出の儲けが貯まり、外貨準備も急増して今年3月には日本をしのいで世界一(1兆2000億ドル)になった。中国政府は従来、慎重な資金運用に徹し、貯めた外貨の多くで米国債を買い、アメリカの赤字を中国の黒字が埋めるかたちになっていた。しかし中国政府は今年初め、資金運用のための新機関を作ることを決め、投資の多様化と効率化を進めるとともに、投資技能を向上させようとしている。(関連記事)

 その具体的な動きとして中国政府は5月下旬、企業買収を専門にするアメリカの大手投資会社ブラックストーン社の株の約8%を買い、資本参加した。中国政府は昨年、アメリカの国際パイプライン敷設会社ユノカルを買収しようとして、米議会に反対されて失敗している。中国政府は豊かな資金を使って欧米企業を買収し、国家戦略に必要な技能を取得しようとしたが、中国の台頭をおそれる欧米側は、買収拒否の意志が強い。そのため中国は、ブラックストーンのような企業買収会社に資本参加することで、間接的な買収戦略を採ることにした。(関連記事)

 今後、中国が投資技能を高めて米国債を買わなくなると、アメリカでは国債の売れ行きが悪くなって金利が上昇する懸念がある。国連の経済社会局は最近、アメリカは巨額の赤字が嫌気され、ドルの急落が起きかねないと警告した。(関連記事)

▼アフリカは中国の傘下に

 中国が金持ち国になったことが欧米の覇権を陰らせている象徴的な例の一つは、アフリカで起きている。アフリカ諸国は従来、世界銀行や欧米諸国からの融資を受けて国を回してきたが、世銀や欧米は、アフリカ諸国の政府が自国内の人権侵害や地域紛争をやめない限り融資をしないという条件をつけ、圧力をかけ続けてきた。

 もともとアフリカは、植民地宗主国の欧州諸国が談合して大陸を分割し、地元の人々が統治しにくいような国境線を引いた上でそれぞれを独立させ、民族紛争や周辺国との紛争が絶えず、地元の政治家たちが独立後も旧宗主国の介入に頼らざるを得ない状況を作った(このやり方はイギリスが発明し、フランスに真似させた)。世銀や欧米諸国からアフリカへの条件つきの融資は「間接植民地支配」の道具だった。(欧米の人権団体も、意識的または無意識のうちに、この支配構造の一部になっている)(関連記事その1、その2)

 中国は、石油や鉱物資源を買い漁るとともに、中国製の安い日用品などを売ることを目的に、何年か前からアフリカに食い込み、積極的な開発融資や、道路や鉄道などの建設事業を援助している(中国が輸入する石油の3割がアフリカ産)。中国からの援助には「人権」や「民主」といった条件がついていないので、アフリカ諸国は世銀や欧米からの援助を断り、中国からの援助に乗り換える傾向を強めている。アフリカ諸国は5月中旬、アフリカ開発銀行の年次総会を上海で開き、中国政府は今後3年間で200億ドルのインフラ投資をアフリカ諸国に対して行うことを約束した。(関連記事)

 欧米の側では、ブッシュの世界戦略の失敗を乗り越えて米英中心の世界体制を何とか維持したい任期切れ間近のイギリスのブレア首相が、この中国の攻勢に対抗し、他の先進諸国(G8)に働きかけてアフリカ支援を拡大しようとしてきたが、ほとんど成功していない。(関連記事)

 アフリカに対しては、中国ばかりでなく、中東産油国などからの民間の投資や融資も流入している。融資や援助を使った欧米の政治的な介入は効かなくなりつつある。(関連記事)

 中国は、アフリカだけでなく、中南米や中央アジアなどの諸国に対しても開発援助を拡大している。中南米では反米感情が強く、中南米側は、中国との連携強化はアメリカの影響力を排除するために好都合だと考えている。従来、中南米には中国ではなく台湾(中華民国)と外交関係を結んでいた国が多かったが、中国の影響力拡大によって、台湾から中国に乗り換える動きが出ており、台湾は絶望的な後退を余儀なくされている。(関連記事)

 発展途上国への援助の役割を中国に奪われている世界銀行では、ウォルフォウィッツ総裁がスキャンダルで辞め、代わりに元国務副長官のゼーリックが総裁になることになったが、ゼーリックは昨年までの国務省時代に、中国を「責任ある大国」にすることを第一の任務としており、中国の覇権拡大を積極的に容認している人物である。今後の世銀は、開発援助を使った中国の覇権拡大に対抗する姿勢を弱め、中国の台頭を容認する方針を採りそうである。(関連記事)

【続く】

 

 

 

 

 
中露の大国化、世界の多極化(2)


2007年6月12日   田中 宇



この記事は「中国の大国化、世界の多極化」の続きです。(関連記事)

 前回の記事で、中国が外貨を急速に貯め込み、中国政府はこの財力を使って国際的な影響力(覇権)を拡大していることを書いたが、外貨を貯め込み、その金で覇権拡大をめざしている国は、中国だけではない。ロシア、サウジアラビア、ベネズエラなどの産油国は、いずれも石油価格の高騰によって外貨を貯め込み、それを自国の国際影響力の拡大や、外国から自国への影響力を排除するために使っている。これらの国々は、いずれもアメリカ(米英)からの影響力行使や圧力、敵視を受けている。その代表例は、ロシアである。

 ロシアは冷戦後、1990年代のエリツィン政権時代に親米英の新興財閥(オリガルヒもしくはオリガーキー)によって経済を無茶苦茶にされ、国家財政は欧米からの借金漬けにされた。00年からのプーチン政権時代には、グルジア、ウクライナ、ベラルーシ、中央アジア諸国など、ロシアが影響圏だと思っている近隣諸国で、アメリカから反政府団体への非公式援助によって相次いで政権転覆の画策が行われた。英米は、ロシア本国でも反政府の人権政治家を支援し、政権転覆を画策した。(関連記事その1、その2)

 これに対してプーチンは、2002年以降の石油価格の高騰を利用して巻き返した。欧米からの借金の返済、オリガルヒに私物化された石油ガス産業の再国有化などを行った上、グルジアやウクライナなど周辺諸国に対し、石油ガスの供給を使って支配力を再獲得することに努めた。このような動きは、プーチンが独裁欲の強い人だったから行われたのではなく、90年代に欧米にやられた分を取り戻すための作業である。(関連記事)

 アメリカは、ベネズエラでも2002年に野党を非公式に支援してチャベス大統領を倒させるクーデターを画策し、失敗している。チャベスはその後の石油高騰の中で、自分を倒そうとするアメリカへの対抗措置として、米欧の石油会社がベネズエラ国内に持っていた油田の権利を剥奪し、国営石油会社に集中させる措置を進めるとともに、石油が出ない中南米の他の国々に対して超格安で石油を援助し、中南米諸国の反米化を扇動している。(関連記事)

 サウジアラビアは、以前から現在まで親米国ではあるが、911事件で「犯人」として濡れ衣を着せられ(15人のサウジ人「犯人」のうち6人は人違いだったが、いまだに米当局は犯人リストを差し替えていない)、その後もサウジは米政界で目の敵にされている。これに対してサウジ政府は表向き親米を保ちつつも、アメリカが敵視するイランやロシアとの外交関係を強化し、外交の多方向化を進めている。(関連記事)

▼日独と中露の違い

 1970-80年代に高度経済成長を達成して豊かになり、外貨を貯め込んだ日本とドイツは、アメリカから敵視されたり露骨な政治圧力を加えられておらず、対米関係がおおむね良好である。そのため、日独は外貨を貯めて経済的な国際影響力が大きくなっても、アメリカに対抗する覇権国になろうとしなかった。覇権という面倒な仕事をアメリカに任せていられる状態だった。

 日独とは対照的に、中国、ロシア、サウジアラビア、ベネズエラといった、最近外貨を貯め込んでいる国々は、いずれもアメリカから政権転覆されそうな圧力を受けており、そのために経済的な力を政治的な覇権に結びつけ、アメリカに対抗せざるを得ない。この状況を作った原因は「テロ戦争」「単独覇権主義」を声高に叫び続けたアメリカの側にある。

 中国とロシアは、従来は仲が良くなかったが、アメリカに対抗するため、中露と中央アジア諸国とのゆるやかな集団安保体制である「上海協力機構」を強化している。中露は、上海協力機構にイランやインド、パキスタンなども加えることによって、ユーラシア大陸の中央部からアメリカの影響力を排除しようとする動きを共同で行っている。ロシアや中国は、1カ国ずつでは、まだ力が弱く、アメリカに対抗できないので、サウジやベネズエラなどとも連携を強め、集団でアメリカの覇権に対抗している。

 私は、こうした動きを「非米同盟」と名付け、3年前に出した本(文春新書)のタイトルにした。非米同盟諸国は、明確な同盟体を結成せず、国連などの既存の国際社会の枠内で、結束して発言することによって、事実上の同盟体として機能している。プーチンが画策している隠然とした「国際ガスカルテル」と同じ手法である。(関連記事)

 ブッシュ政権が単独覇権主義を標榜し、アフガニスタンやイラクに侵攻し、イランや北朝鮮などを攻撃しそうな姿勢を示したことが、本来は結束していなかったロシアや中国、中近東、中南米諸国を結束させ、非米同盟を作ってしまった。私は、この動きはアメリカによる失策ではなく、アメリカの中枢に多極主義者がいるためだと思っている。

 そして今、非米同盟諸国は、経済成長や原油高騰によって資金を蓄え、その金を使ってさらに欧米から覇権を奪うべく、石油やガスの利権を国有化している。以前の記事「反米諸国に移る石油利権」で紹介した「新しいセブン・シスターズ」の動きである。(関連記事)

▼G7が進めた通貨多極化の失敗

 アメリカはすでに巨大な双子の赤字を抱えて経済難に向かいつつあり、軍事的にもイラクで疲弊している。西欧諸国も、ロシアや中国の台頭に敵対するつもりはない。世界は、このまま非米同盟の側の覇権が強くなり、欧米と中国、ロシアなどが並び立つ状態に移行するのではないかとも思えるが、現実はそれほど簡単ではない。世界の基軸通貨がアメリカのドルである状態のままなので、非米同盟諸国が貯め込んでいる資金の多くはドル建てだ。アメリカの経済力が衰退してドルが急落したら、非米同盟側の資産も大きく目減りしてしまう。

 昨年の前半、G7やIMFといったアメリカを中心とする先進国の側は、世界経済の不均衡、つまりアメリカが大赤字で非米同盟側が大黒字である状態を解消するために、世界経済を多極化する戦略を打ち出した。それは、日中を中心とする東アジア諸国や、サウジを中心とするペルシャ湾岸の産油国が、地域の多国間の共通通貨を新設し、その地域でのドルに代わる通貨にするとともに、国内消費を増やすことで、減退しそうなアメリカの消費力を肩代わりする戦略だった。(関連記事その1、その2)

 この時すでに、東アジアにはASEAN+3によるアジア通貨バスケットの構想があった。ペルシャ湾岸諸国(GCC)も、2010年の通貨統合を目指し、動いていた。GCC6カ国の多くは、通貨が米ドルにペグ(釘付け)されている固定相場制なので、ドルペグしたまま通貨統合し、その後でドルペグを外す予定だった。しかしその後、東アジアでもペルシャ湾岸でも、共通通貨作りは進展しなかった。(関連記事その1、その2)

 東アジアでは、中心となる中国と日本の仲がなかなか良くならなかった。昨夏に首相が小泉から安倍に変わり、アメリカの圧力を受けて安倍は就任早々に中国を訪問し、小泉時代に日中関係を悪化させた首相の靖国神社参拝はとりあえず行われなくなった。だが、日中関係はゆっくとしか改善しておらず、共通通貨を作る状況にはない。

 しかも中国政府は、アメリカの政府や議会から圧力をかけられても、頑固に人民元のドルペグ体制をやめていない。製造業を振興させたい中国は、ドルがユーロなど他の通貨に対して下がっている方が、自国の輸出品のユーロ建てなどの価格が下がるので、むしろペグを外さない方が好都合だと考えている。今後、ドルが急落したり、米市場の消費力が不可逆的に減退したら、中国はドルペグをやめるだろうが、米のドル急落や消費減退が「起きる可能性がある」という未然の状態の現状においては、中国は、ドルペグを続行する姿勢を見せている。

▼大宴会の舞台の下で腐る柱

 共通通貨作りは、中東のペルシャ湾岸地域でも頓挫している。中東では、米軍によるイラク占領の状況が悪化し続け、地域の全体で反米のイスラム主義運動が盛んになっている。親米政権ばかりであるGCC諸国は、国内の人心を掌握するための財政支出などを行わねばならず、通貨を共通化するにあたって必要な金融・財政政策の各国間の協調ができない。

 そうこうするうちに、ドルの為替が他の諸通貨、特にユーロに対して下がり続けた。ペルシャ湾岸諸国は、通貨はドルにペグしているものの、国内で消費される商品の多くが欧州のユーロ圏からの輸入に頼っており、ドル安ユーロ高は、輸入品の値上がりを引き起こした。その結果、インフレがひどくなり、国民の不満が強まっている。これに耐えられず、共通通貨作りのために2003年からドルペグ制に変更していたクウェートは5月下旬、ドルペグをやめて、以前の、ドルとユーロなどとの通貨バスケットに対する連動制に戻した。(関連記事)

 クウェートのドルペグ離脱は、まさにドルが通貨としての力を失いつつあることの表れなのだが、この離脱によって逆に、GCC諸国の全部がドルペグ制を維持する中で通貨を統合していくという作業ができなくなり、GCCの通貨統合は破綻した。以前から通貨統合に消極的だったアラブ首長国連邦なども、ドルペグをやめるのではないかとの推測も出ている。(関連記事その1、その2)

 このように、IMFやG8が意図した、東アジアとペルシャ湾岸における地域共通通貨作りは頓挫している。その一方で、アメリカの財政赤字と貿易赤字が増える傾向が続いており、ドルの潜在的な危機の状況は悪化している。

 東アジアとペルシャ湾岸で共通通貨が作られれば、今後もしドルが急落しても、世界経済に対する影響は少なくてすみ、世界はドルの一極体制から、多極的な通貨体制にソフトランディングできる。しかし現実には、東アジアとペルシャ湾岸の共通通貨が作れていないため、ドルが急落した場合の悪影響は大きいままで、世界経済はハードランディング(クラッシュ)する懸念が消えていない。

 今のところ、アメリカの株価は上昇傾向を続けている。これは、外貨備蓄を急増させている中国や、ペルシャ湾岸諸国、ロシアなどの産油国が貯めた巨額の石油代金が、投資としてアメリカの金融市場に流入しているからである。中国や産油国からの資金の流入圧力が非常に強いので、市場では、米経済が潜在的に悪い状況を深めていることは無視されている。中国と産油国の巨額の資金は、アメリカだけでなく欧州、日本、上海、ドバイなどの金融市場にも流入し、世界的な相場の上昇が起きている。

 世界の金融相場は上がっているものの、その基盤となっている体制は依然としてドルの一極基軸体制であり、ドルを支えているアメリカの経済的、政治的な力は潜在的にかなり弱まっている。今の世界金融は、舞台の上では派手な催し物が繰り広げられて繁盛しているように見えるが、舞台を支えているドルという名の柱が腐ってぐらついている状態だ。IMFやG7といった舞台の管理者たちは、舞台を支える新たな柱を湾岸産油国や日中に作らせようとしたが、失敗した。

▼プーチンの非米WTO

 そんな中、最近ロシアのプーチン大統領が「親欧米」の立場からではなく「反欧米」の立場から、舞台の柱を補強しようとする言動を始めている。プーチンは6月10日、サンクトペテルブルグで開かれた経済フォーラムで講演し、経済の分野において、従来の欧米中心の世界体制を崩すことを提唱した。(関連記事)

「先進国の経済力は、相対的にかなり落ちているのに、WTOや世銀、IMFといった国際経済機関は、いまだに欧米が支配している。WTOやIMFは、すでに時代遅れで不当な機関になっている」「今後、欧米中心ではない(ロシア、中国、インドなどの)ユーラシア版WTO(自由貿易圏)を作る必要がある」「世界の基軸通貨体制を、ドルの一極体制から、複数の基軸通貨による(多極的な)体制に転換すべきだ。ロシアのルーブルは、基軸通貨の一つになるだろう」「(今はニューヨークとロンドンにしかない)世界的な金融センターも、新たにいくつか(ユーラシアに)新設すべきだ」などと、プーチンは提案した。(関連記事)

 ロシアは7年前からWTOに加盟申請しているが、受け入れられていない。プーチンは、自国をWTOに加盟させない欧米に文句を言う意味で、欧米との交渉の道具としてユーラシア版WTOを提案しただけで、本気ではないのかもしれない。日本人の多くは「ロシアや中国に、そんなものが作れるはずがない」と考えるかもしれない。

 しかし、上に書いたように、プーチンはエネルギーの分野では、世界の非米諸国を結束させて新たなカルテルを作ることを着々と進めている。以前の記事に書いたように、プーチン主導のエネルギーカルテルは、非公式に強化されており、欧米や日本の人々が気づかぬうちに、世界のエネルギー支配力を欧米から奪い始めている。プーチンのユーラシア版WTOの構想は、貿易一般の分野で、これと同じことをやろうとしているのかもしれない。プーチンの世界戦略はこっそり進められるので、欧米の支配権を守りたい人々にとっては非常に危険である。

▼大崩壊後、多極化して安定しそうな世界経済

 すでに政治や軍事の分野では、ロシアと中国、中央アジア、南アジア、イランを束ねる「上海協力機構」が強化されている。上海協力機構の枠組みが経済の分野に拡大されれば、ユーラシア版WTOとして機能しうる。欧米諸国の消費力は低下し、代わりに中国やインド、中近東諸国の消費力が上がっている。製造業の面では中国が台頭しているし、エネルギーは中東とロシアにある。ユーラシア諸国は、欧米を無視した経済運営が可能になっている。中南米諸国や、南アフリカなども入り、ユーラシア版のWTOは、非米同盟WTOになりうる。プーチンの世界的な構想が実現した場合、困るのは欧米の方である。

 日本も、ロシアや中国と仲良くせざるを得なくなる。アメリカとFTA交渉し、同時に中露との関係も良い韓国は、親米と非米の両方の立場を持っているので、日本より優位に立っている。

 今後、ドル急落が起きて世界経済がいったん潰れた場合、それは欧米日だけでなく、中国やロシアの経済にも大打撃となるだろう。だが、世界経済の中での成長センターが中国やインドなどのユーラシアであることは、おそらく今後も変わりないので、大崩壊後の世界経済は、今よりさらに欧米日の衰退と、中国やロシアなどの非米同盟側の台頭が強まることになる。

 中東では、アメリカの覇権衰退によってイスラエルが消滅もしくは無力化されるだろうから、中東はアラブ・イランの側が勝利した状態で安定する。中東イスラム諸国は石油があるので、金持ちになり、いずれ世界経済の成長センターの一つになるだろう。すでに金融センターとしてのドバイの発展はめざましい。米英イスラエル中心体制の崩壊と世界の多極化は、長期的には、世界に経済発展と安定をもたらす。その意味で、多極化は「資本家の戦略」であると感じられる。


トランプが捨てた国連を拾って乗っ取る中国

2020年02月25日 | シリア


トランプが捨てた国連を拾って乗っ取る中国


2018年10月11日   田中 宇


9月下旬に開かれた今年の国連総会では、米国のトランプ大統領が「米国第一主義」を振り回して、国連に代表される戦後の国際社会のあり方を批判し、国際社会の主導役としての従来の米国の立場を否定したことが、最も目立つ動きだった。「覇権放棄屋」であるトランプの真骨頂が発揮されたが、トランプの姿勢はすでに昨年の国連総会で発露されており、世界がトランプの覇権放棄に慣れてきた面もある。 (Donald Trump Issues a Scathing Rejection of ‘Globalism’) (Trump Rejects Globalism In UN Speech, Slams Iran, Emphasizes "America First")

実のところ、先日の国連総会で起きた最も重要な動きは、トランプの覇権放棄の宣言でない。最重要の動きは、トランプが放棄した「国連の主導役」つまり世界的な覇権を、中国がひろい集め、トランプが捨てた国連を中国が乗っ取りつつあることだった。在米の国際政治学者であるリチャード・ゴワン(Richard Gowan)は、今回の国連総会について「(世界の注目を集める)総会の議場ではトランプの声高な演説が目立ったが、(人目につかない)国連ビルの窓のない各種委員会の部屋では、中国の外交官たちが取り仕切り、国際協調の基本ルールを、中国好みのかたちに変形させる作業を忙しく続けている」と書いている。 (China Fills a Trump-Sized Vacuum at the U.N.)

ゴワンの分析を私なりに解釈すると、以下のようになる。トランプの米国は、自由貿易、地球温暖化対策、難民問題、人権理事会、国際刑事裁判所、パレスチナ支援などを担当する、国連とその周りの国際機関から、次々と離脱している。世界の国々は、先進諸国も新興諸国も、米国の動きに批判と懸念を抱いているが、トランプは批判されると逆切れして怒り、国際機関から離脱する傾向をますますつよめ、批判するを逆恨みして制裁関税を科したりする。米国の同盟国である先進諸国は、逆効果なやぶへびをやりたくないので、米国批判を控え、トランプの言動を見ないふりして聞き流し「慣れる」ようにしている。だが、中国を筆頭とする新興諸国(ロシア、イランなど)は、以前から米国に意地悪されており、米国との衝突を躊躇しない。 (US Withdraws From International Treaties, Slams UN World Court)

先進諸国は、トランプの覇権放棄を困惑して傍観している(もしくは独仏EUのように、対米自立すると宣言しつつ、実際にはのろのろしている)だけだが、新興諸国の筆頭である中国は、トランプが捨てた米国の覇権を即座に拾い集め、国連の目立たない各種委員会の場で、国際社会の基本ルールを、中国と新興諸国に都合がいいように改変している。安保理の会議で、ロシアは米国の戦略を面と向かって非難するが、中国は米国と喧嘩しないようにしている。その代わり中国は裏で動き、世界のルールを変えてしまいつつある。

米国は、自分たちが捨てた覇権を誰が拾おうが頓着せず、軽視している。トランプは「国連は米国抜きだと機能しない。国連は、米国の言いなりになるしかない」と、わざと間違った豪語をしている。対米従属な先進諸国も、米国にならい、中国による国連乗っ取りを無視・軽視している。日本は「国連大好き・中国大嫌い」なのに、大好きな国連が、大嫌いな中国のものになってしまうことを看過している。 (Trump cuts a lonely figure at the U.N.)

戦後、覇権国となった米国は、国連を、欧米流の「リベラル国際主義」の価値観を世界に流布する場所として機能させていた。トランプは米国に、リベラル国際主義を捨て、ポピュリズム・ナショナリズム・孤立主義・保護主義的な「米国第一主義」を米国の新たな看板にしようとしている。米民主党はそれに抵抗しているが、党内がエリート(軍産リベラル)と草の根(左翼リベラル)に分裂し、トランプに負けている(11月初めの中間選挙が次の審判になる)。

米国を、リベラル国際主義から保守保護主義に転換させつつあるトランプは、同時に、リベラル国際主義の牙城だった国連を敵視・放棄している。米国が国連を敵視・放棄しても、代わりにEUや英国カナダ豪州や日本などの先進諸国が国連の主導役になるなら、国連のリベラル国際主義は維持される。だが、すでに書いたように、先進諸国は対米従属なので、トランプに気兼ねしてしまい、トランプが敵視・放棄した国連をすぐに拾えないでいる。先進諸国がもたもたしているうちに、中国が国連を拾い上げ、ロシアやイランを引き連れて、新興諸国が国連の主導役になろうとしている。 (Trump's UN Speech Hurts America and the International System)

新興諸国は、米欧の世界支配の道具だったリベラル国際主義が好きでない。中国など新興諸国は、米国が圧倒的に強く、自分たちが非常に弱かった90年代まで(もしくは胡錦涛まで)、米国に好かれようと、リベラル国際主義に迎合する国家戦略をとっていた(中国の改革開放、共産党内民主主義など)。だがイラク戦争やリーマン危機を経た今、米国は弱くなり、中国やBRICSが台頭している。もはや新興諸国は、米国に迎合してリベラル国際主義を標榜する必要がない。 (China starts to assert its world view at UN as influence grows)

リベラル国際主義には政治(民主主義)と、経済(自由貿易)の両面がある。中国は、習近平になって、トウ小平以来のリベラル主義を政治面だけ捨て、毛沢東時代の権威主義に戻っている。だがその一方で中国は、経済面のリベラル、つまり自由貿易体制への支持を続け、トランプが捨てた自由貿易体制の主導役を、中国が買って出ている。 (China profits from Donald Trump’s UN isolation)

同時に中国は、自国中心のアジアの地域覇権戦略として「一帯一路」を長期計画で進めている。中国は、加盟諸国に根回しし、国連に一帯一路を支持させた。いまや一帯一路は国連の事業でもある。中国は国連を、欧米流のリベラル国際主義の場から、中国流の一帯一路の中共権威主義を容認する国際主義の場に変え始めている。経済戦略的には、トランプの米国が捨てた自由貿易体制を、欧州(EU)と中国が拾って主導する形になっている。

欧州と中国は、政治的な価値観で対立する一方、経済的な価値観で協調している。パレスチナ問題など「国際人権問題」でも、欧州と中国は、人権擁護(イスラエル批判)の立場で一致している。世界は、先進国も新興国も「中国はリベラルでないが表向きの姿勢が穏健で戦争したがらない。好戦的で無鉄砲なトランプの米国よりましだ。世界がまあまあうまく回るなら、中国が国連の先導役でもいいじゃないか」と考える傾向になっている。 (China, Russia take up globalism mantle as US sheds it at UN)

▼「40年続く米中新冷戦」は軍産向けの目くらまし

「米国が捨てた国連の主導役を中国が拾い集める」と言うと、世界が単独覇権体制のまま、覇権が米国から中国に移動する構図を思い浮かべやすいが、現実はそうならない。中国の地域覇権戦略である一帯一路は、ロシアの地域覇権戦略であるユーラシア経済同盟、EUによる東欧までの地域覇権体制、南アジアやアフリカや中南米の統合を模索するインド、南アフリカ、ブラジルなどの動きと対立せず、相互乗り入れや補完の関係になろうとしている。安倍の日本も昨年すでに、日豪が進めるTPPと、中国の一帯一路は対立せず補完するのだと宣言している。今後、米国の覇権衰退が顕在化するほど、中国やロシアに触発されて、各地の大国が地域覇権を主導するようになる。世界は、中国の単独覇権体制でなく、多極型の覇権体制になる。今はまだ過渡期の始まりにすぎない。 (When Will Closer China-Russia Cooperation Impact US Policy Debate?) (中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本)

今の過渡期の状況は、トランプが始めたものでない。米国のオバマ前大統領は、09年のCOP15が揉めたとき、地球温暖化対策の主導役を米国から中国に押しつけている。またオバマは13年に、米国内の軍産がでっち上げたシリアの化学兵器使用の濡れ衣に付き合わされるのが嫌だという口実を使い、シリア内戦の解決役を米国からロシアに押し付けている。いずれもその後、大きな流れになり、地球温暖化対策は今も中国の主導だし、シリアを中心とする中東の覇権は米国からロシアに移り、イスラエルはロシアに擦り寄っている。 (新興諸国に乗っ取られた地球温暖化問題)

オバマは、リベラル国際主義の人だったが、リーマン危機後に衰退が顕在化した米国が、全世界の覇権運営を担い続けることの無理を感じ、中国やロシアに覇権の一部を移譲していく動きを開始した。トランプは、自己流の反リベラルなやり方で、その動きを大幅に広げた。トランプが継承している、過激で稚拙な戦略を覇権放棄につなげるやり方は、ブッシュ政権の考案だ。米国の戦略は、党派を超えて隠然と継続している。 (シリアをロシアに任せる米国)

最近、貿易戦争を皮切りとして「米中新冷戦が40年続く」と言われ出している。覇権の移動でなく冷戦なのだ、と思う人がいるかもしれないが間違いだ。「40年続く冷戦」という概念は、米権力内でまだ強い軍産(諜報界、外交界、軍部、マスコミ)を引きつけるための売り文句・目くらましだ。トランプは、米国をこっそり弱体化し、中国をこっそり強化してやる覇権放棄・多極化のために、中国敵視の貿易戦争や国連離脱の動きを続けている。米単独覇権の永続化を望む軍産は、覇権放棄や多極化が大嫌いだ。トランプ陣営は、中国敵視を「40年続く冷戦」と言い替えることで、覇権放棄でなく覇権維持の策だという話にしようとしている。 (Former Fed Governor Warns Of "Several Decade Cold War" With China) (JPMorgan: An economic cold war may be coming)

911後のテロ戦争も「アルカイダとの40年続く冷戦」と言われていた。実際には、シリア内戦の終結とともに、テロ戦争は18年間で、中東がロシアのものになって終わろうとしている。米中新冷戦はおそらく、さらに短い。米中貿易戦争は、中国を筆頭とする新興諸国のドル離れ・米国債離れを引き起こし、米国の覇権喪失につながる金融危機を発生させる。先週から起きている長期米国債の金利上昇(価値下落)は、米中貿易戦争の結果だ。長期金利の上昇は今週、世界的な株価の暴落を引き起こしている。米国側は、危機の拡大を防ぐため、新興諸国から米国への資金還流を誘発しており、これがドル高・人民元安(新興諸国全体の通貨安)に拍車をかけている。この動きは短期的にドルを救うが、中期的には米国と新興市場(中国)との市場の分裂・デカップリングを引き起こし、米国の覇権低下・世界の多極化につながる。 (911十周年で再考するテロ戦争の意味) (米国債の金利上昇は制御崩壊?)

(金地金のドル建て相場も下落しているが、これは人民元と金地金が連動・ペッグしていることを表している。人民元建ての地金相場はあまり動いていない。ドルの究極のライバルである金地金が、人民元=中国の傘下に入っていることは、多極化を示す動きとして非常に重要だ。これは金地金に関心ある人が必ず知っておかねばならない「新たな常識」であるが、ほとんど報じられていない) (金相場の引き下げ役を代行する中国)

中国は、覇権が転がり込んでくるので、米中新冷戦の動きをひそかに歓迎している。短期的な人民元安による中国の輸出業者の利益増加は、トランプが中国からの輸入品にかけた懲罰関税による損失増加を埋めてあまりある。中国は、トランプに課税されてもあまり困っていない。中国は、トランプに感謝しているが、表向きは激怒して見せている。トランプ陣営も、中国の演技を知っている。先日、訪朝の帰りに中国を訪問したポンペオ国務長官と、中国の王毅外相は、北京での記者会見で、テレビカメラの前で大喧嘩を演じたが、これは米中双方の隠然合意に基づく茶番劇だろう。 (Chinese FX Reserves Drop The Most In 7 Months; Yuan Set To Plunge Below PBOC "Red Line") (米中貿易戦争の行方) (Unprecedented Public Confrontation On Display In Beijing Between Top US, China Diplomats)

10月10日、米国のニッキ・ヘイリー国連大使が年末に辞任するとトランプ陣営が発表した。ヘイリーは数カ月前からトランプに辞めさせてくれと言っていたという。彼女はもともとリベラル国際主義の人だ。トランプに頼まれて国連でリベラル国際主義をヒステリックに敵視する役をこなしていたが、内心、自分の役回りを嫌だ、不本意だと思っていたはずだ。米国から中国への国連主導役の移転が軌道に乗り出したので、もう十分トランプに対して貢献したから辞めさせてほしいと言い出したのだろう。 (Empire Loyalists Grieve Resignation Of Moderate Psychopath Nikki Haley)

国連のリベラルなあり方を強く罵倒する国連大使は、オバマ政権が09年に任命したスーザン・ライス以来、サマンサ・パワーを経てヘイリーまで全員女性だ。ヘイリーの後任として名前が上がっている中にも、イヴァンカ・トランプやディナ・パウエルなど女性が目立つ。米国を批判したい諸外国の外交官が「女のヒステリー」と言ってしまった途端に「差別発言」で激しく糾弾されて黙らされる時代だ。論争での攻撃力を増すために、意図的に女性を選んで国連大使に就かせている観がある。 (UN2 The Shortlist to Replace Nikki Haley) (Nikki Haley Is Just Another Victim of Trump Town)

ヘイリーは、トランプ政権で珍しく民主党からも支持されていた閣僚だった。中間選挙前にヘイリーの辞任を発表したことは、トランプが、中間選挙での共和党の優勢にかなり自信を持っていることを示している。米マスコミは、ヘイリーが、国防長官のマティスとならび、トランプ政権で最後に残っていた「大人」だったと書いている。「大人」とは、トランプの覇権放棄・多極化戦略に抵抗できる軍産エスタブ系の閣僚という意味だ。 (Are All the Adults Leaving the Room?) (Nikki Haley’s demise paves the way for unbridled ‘America First’) (‘Something doesn’t smell right’: The curious timing of Nikki Haley’s exit)

いまやヘイリーの辞任が決まり、マティス辞任のうわさも以前から何度も出ている。あとに残るトランプ政権の安保担当者は、ボルトン補佐官とポンペオ国務長官という過激なネオコン(=隠れ多極主義)の2人と、軍産系だが「中国と冷戦する」と勇ましく宣言してトランプにすり寄ったペンス副大統領の3人だ。トランプ政権は今後、抑制を解かれ、ますます過激な「中国やロシアやイランやインドなどを敵視して反米方向に強化する覇権放棄・隠れ多極主義戦略」を突っ走ることになる。 (Mike Pence Announces Cold War II) (Trump’s Terrible, Horrible, No Good, Very Bad National Security Team)

 

 

 

 

 
ISISと米イスラエルのつながり


2015年2月22日   田中 宇


 シリア南部とイスラエル北部の間にあるゴラン高原は、もともとシリアの領土だったが、1967年の中東戦争でイスラエルに侵攻され、それ以来、イスラエルは同高原の東側の9割の土地を占領している。ゴラン高原のイスラエルとシリアの停戦ラインには、停戦維持のため、1974年から国連の監視軍(UNDOF)が駐留している。 (Will Israel enter the Syrian civil war?)

 2011年から、シリアでイスラム過激派を中心とする反政府勢力が武装蜂起して内戦になった後、反政府勢力の一派であるアルカイダの「アルヌスラ戦線」が、ゴラン高原のシリア側でシリア政府軍を打ち破り、支配を拡大した。14年前半には、シリア北部でISIS(イスラム国)が支配を拡大したのに合わせ、南部のゴラン高原周辺はアルヌスラの支配地になり、14年夏には、イスラエルとの停戦ラインに沿った地域の大半から政府軍を追い出して占領した。アルヌスラは、国連監視軍の兵士を誘拐する攻撃を行い、国連は14年9月、監視軍を停戦ラインのイスラエル側に退却させた。 (Al-Nusra Front captures Syrian Golan Heights crossing)

「アルヌスラ」はアラビア語で「地中海岸地域(シリア、レバノン、パレスチナ、イスラエルにあたる地域)の闘争支援戦線」の意味で、アルカイダのシリア支部だ。兵力の多くは、もともとイラクのスンニ派地域で米軍と戦い、米軍撤退後、シリア内戦に転戦し、12年にアサド政権を倒す目的でアルヌスラを作った。米政府は同年末にアルヌスラを「テロリスト組織」に指定している。 (New Al Qaeda Video Shows Steady Advance along Israeli Border)

 ISISの前進である「イラクのイスラム国」は、もともとアルカイダの傘下にあり、アルヌスラの同盟組織だったが、13年4月に「イラクのイスラム国」がアルカイダからの独立を宣言した後、両者はライバル関係になったとされ、両者が戦闘したという指摘もある。しかし両者は、思想がサラフィ主義のスンニ派イスラム主義で一致し、アサド政権やシーア派、米欧を敵視しする点も一致している。 (al-Nusra Front - Wikipedia,)

 ISISとアルヌスラは、シリア内戦で、イラン(シーア派)傘下のシリア政府軍、イラク民兵、ヒズボラ、米欧に支援されたクルド軍などと継続的な戦闘に直面しており、相互に仲間割れして戦う余裕がない。両者は、敵対するライバルのふりをしているが実は味方で、対立する別々の組織を演じる策略をとっている可能性がある。米国の駐シリア大使だったロバート・フォードは最近「アルヌスラはISISと見分けがつかない組織だ」「シリア反政府勢力の中には似たような組織が多すぎる」「反政府勢力の大半は過激派であり(米欧が支援していることになっている)穏健派はほとんどいない」と指摘している。 (Former Ambassador Robert Ford Admits "Conspiracy Theorists" Were Right - Jihadists Are Majority Of Rebels)

 そんなアルヌスラが昨夏以来、シリア政府軍を撃退してゴラン高原西部を占領し、国連監視軍を押しのけてイスラエルと対峙している。アルヌスラはイスラエルを敵の一つに名指ししている。イスラエルとアルヌスラの戦争が始まるのかと思いきや、その後の展開はまったく正反対のものになった。国連監視軍が14年末に発表した報告書によると、イスラエル軍は、ゴラン高原の停戦ライン越しに、アルヌスラの負傷した戦士を受け入れてイスラエル軍の野戦病院で手当したり、木箱に入った中身不明の支援物資を渡したりしている。国連監視軍が現地で見たことを報告書にしたのだから間違いない。 (Report of the Secretary-General on the United Nations Disengagement Observer Force for the period from 4 September to 19 November 2014) (New UN report reveals collaboration between Israel and Syrian rebels) (UN reveals Israeli links with Syrian rebels) (UN Peacekeepers Observe IDF Interacting With Al Nusra in Golan)

 イスラエルが停戦ライン越しにアルヌスラを支援するようになったのは13年5月からで、それ以後の1年半の間に千人以上の負傷者をイスラエル側の病院で治療してやっている。イスラエル側は、シリアの民間人に対する人道支援と位置づけているが、負傷者はアルヌスラの護衛つきで送られてくるので、民間人でなく兵士やアルヌスラの関係者ばかりと考えられる。イスラエルのネタニヤフ首相は14年2月にゴラン高原の野戦病院を視察しており、これは政府ぐるみの戦略的な事業だ。国連監視軍は14年6月にも、イスラエルがアルヌスラを支援していると指摘する報告書を出している。 (UN Finds Credible Ties Between ISIS And Israeli Defense Forces) (Israel Is Tending to Wounded Syrian Rebels) (Report of the Secretary-General on the United Nations Disengagement Observer Force for the period from 11 March to 28 May 2014)

 ゴラン高原のイスラエル側とシリア側をつなぐ道路は、クネイトラという町(廃墟)を通る1本だけだが、この道は14年8月末からアルヌスラの支配下にある。イスラエルは、この道を通って、夜間などにいくらでもアルヌスラに支援物資や武器を送れる。クネイトラ周辺にいた国連監視軍は、アルヌスラに脅されてイスラエル側に撤退した。監視軍が見て報告書に書いたのは、イスラエルとアルヌスラの関係性の中のごく一部だけと考えられる。 (Syrian rebels, al Qaeda-linked militants seize Golan Heights border crossing)

 未確認情報で作り話の可能性があるが、ISISが米軍の輸送機C130を持っていて、それがイスラエルのゴラン高原の道路を使った滑走路に離着陸し、イスラエルから物資を受け取っているとか、同じC130がリビアまで飛び、リビアのイスラム過激派の兵士や武器を積んでキルクークやコバニの近くまで運び、劣勢だったクルド軍との戦闘を挽回したなどという話もある。 (Obama Leaks Israeli Nuke Violation Doc Before Bibi Visit)

 米軍は13年から、ヨルダンの米軍(ヨルダン軍)基地で、シリア反政府勢力に軍事訓練をほどこしている。アルカイダやISIS以外の「穏健派勢力」に訓練をほどこす名目になっていたが、かなり前から「穏健派」は、米欧からの支援を受けるための窓口としての亡命組織のみの看板倒れで、米軍が訓練した兵士たちは実のところアルヌスラやISISだった(米軍はそれに気づかないふりをしてきた)。シリアからヨルダンの米軍基地への行き帰りには、ゴラン高原のイスラエル領を通っていたと考えられる(他のシリア・ヨルダン国境はシリア政府軍が警備している)。 (Assad: US idea to train rebels illusionary)

 ヨルダン空軍のエリートパイロットがISISに焼き殺され、世論が激昂する中で、自国内で米軍にISIS訓練を許してきたヨルダンの姿勢を変えようとする動きが起きている。 (Did Jordan Train The ISIS Fighters Who Burned Their Pilot Alive?)

 イスラエルとシリアのゴラン高原の停戦ラインは、シリア内戦で米イスラエルがアルヌスラやISISを支援するための大事な場所になっている。昨年末以来、シリア政府軍と、それを支援するヒズボラやイランの軍事顧問団(要するに「シリア・イラン連合軍」)は、ゴラン高原の停戦ラインに近い地域をアルヌスラが奪還しようと、攻撃を仕掛けている。 (With Iran's help, Assad expands Golan offensive)

 シリア・イラン連合軍を食い止めるため、イスラエル軍は1月末に無人戦闘機をシリア領空に飛ばし、ゴラン高原近くのシリア政府軍の拠点を空爆した。ヒズボラ兵士や、イランから来ていた軍事顧問も殺された。イスラエルがシリア領内を空爆するのは非常にまれだ。シリア・イラン連合軍が優勢になり、アルヌスラがイスラエルに空爆をお願いした結果と報じられている。シリア政府は「イスラエル空軍は、アルカイダの空軍になった」と非難した。 (Southern Syria Rebels Ask Israel to Attack Army, Hezbollah Positions) (Assad: Israel is Al-Qaeda's Air Force in Syria)

 イスラエルがアルヌスラやISISを支援する経路としてゴラン高原の停戦ラインを使っているので、シリア・イラン連合軍が停戦ラインをアルヌスラから奪還しようと試み、それを防ぐためにイスラエル軍がシリア・イラン連合軍を空爆したのに、ワシントンポストなど米国のマスコミは「ヒズボラがイスラエルを攻撃しそうなので先制的に空爆した」と、わざと間違ったことを書き、読者に実態を知らせないようにしている。 (Hasbara happenings: US media again propagandises for Israel) (Tensions rise between Israel and Hizbollah)

 元米軍大将のウェスリー・クラークは最近、米国のテレビに出演し「ISISは当初から、米国の同盟諸国や親米諸国から資金をもらってやってきた。(親米諸国が支援した理由は)ヒズボラの台頭をふせぐためだった」と語っている。ヒズボラの台頭を最も恐れているのはイスラエルだ。クラークは複数形で語っており、イスラエルだけでなくサウジアラビアなどペルシャ湾岸産油諸国のことも示唆していると考えられる。 (General Wesley Clark: "ISIS Got Started Through Funding From Our Friends & Allies")

 サウジは以前、米国に頼まれて、シリア反政府勢力を支援していた。米国が10年にシリアのアサド政権を許すことを検討した時、サウジはいち早くアサドを自国に招待して歓待し、和解した。しかしその後、米国が再び反アサドの姿勢を強めたため、サウジも反アサドに転じた。サウジのシリア政策は、対米従属の一環だ。米国がアルカイダやISISを支援したから、サウジも支援した。しかしISISは14年11月、イラクとシリアを「平定」したら、次はサウジに侵攻し、メッカとメディナを占領すると宣言する動画を発表した。メッカの聖職者は、ISISを最大の敵だと非難し返した。 (Islamic State sets sights on Saudi Arabia)

 サウジ政府はその後、イラクと自国の千キロの砂漠ばかりの国境線に、深い塹壕や高い防御壁からなる「万里の長城」の建設を開始し、ISISが国境を越えて侵入してくるのを防ぐ策を強化した。今やISISは、サウジにとって大きな脅威であり、支援の対象であり続けていると考えられない。サウジは以前、米国に頼まれてISISに資金援助していたが、すでに今は支援していないと考えるのが自然だ。 (Revealed: Saudi Arabia's 'Great Wall' to keep out Isil) (War with Isis: If Saudis aren't fuelling the militant inferno, who is?)

 もしISISやアルヌスラがアサド政権を倒してシリアを統一したら、ゴラン高原を本気で奪還しようとイスラエルに戦争を仕掛けてくるだろう。サウジだけでなくイスラエルにとっても大きな脅威になる。だが米国やイスラエルは、アルヌスラやISISを支援する一方で、彼らがアサド政権を倒してシリアを統一できるまで強くならないよう制御し、彼らの間の分裂や、米欧による空爆も行い、シリアの内戦状態が恒久化するように謀っている。こうすることで、イスラエルは自国の北側に敵対的な強国ができないようにしている。 (敵としてイスラム国を作って戦争する米国)

 米国の上層部では、オバマ大統領が、自国の中東戦略がイスラエルに牛耳られ、馬鹿げたイラク侵攻を起こした体制からの脱却を望み、イラクからの軍事撤退を強行した。国防総省や議会など軍産複合体がイスラエルと同じ立場で、イラクからの軍事撤退に反対し、オバマが撤退を強行すると、次は過激派にISISを作らせて支援し、米軍が中東の軍事介入から脱却できないようにした。オバマは、軍産イスラエルが、シリアやイラクの混乱を恒久化するため、ISISやアルヌスラを強化しているのに対抗し、米軍の現場の司令官に直接命令して「ISISと戦うふり」を「ISISを本気で潰す戦い」に変質させようとしている。 (◆イスラエルがロシアに頼る?)

 イスラエルの軍司令官は昨秋、オバマの「本気に戦い」に反対を表明し「ISISは(米イスラエルの敵である)ヒズボラやイランと戦ってくれる良い点もある。ISISの台頭をもう少し黙認すべきであり、本気で潰すのは時期尚早だ」と表明している。 (West making big mistake in fighting ISIS, says senior Israeli officer)

 オバマは、軍産イスラエルの策動によってイランにかけてきた核兵器開発の濡れ衣が解かれ、イランが経済制裁を解かれて強くなり、ISISを潰せる力を持つよう、イランとの核交渉をまとめようとしている。すでにイランは、ISISと本気で戦う最大の勢力だ。イランがISISと戦うためイラクで組織したシーア派民兵団は10万人以上の軍勢で、兵力5万のイラク国軍よりずっと強い。 (Iran and west narrow gap in nuclear talks) (Pro-Iran militias' success in Iraq could undermine U.S.) (Iran eclipses US as Iraq's ally in fight against militants)

 こうした展開は、イスラエルにとって脅威そのものだ。ネタニヤフ首相は米政界に圧力をかけ、3月に訪米して米議会でイランを非難する演説を行い、オバマに圧力をかけようとしている。しかしこの策は、イスラエルが米国の世界戦略を隠然と牛耳ってきた状態を暴露してしまい、逆効果だ。米国のマスコミは、イスラエルに逆らった議員が落選させられてきた米国の歴史を報じ始めている。 (Benjamin Netanyahu Is Playing With Fire)

 オバマはイスラエルに報復する意味で、米国がイスラエルの核兵器開発に技術供与したことを書いた1980年代の国防総省の報告書「Critical Technology Assessment in Israel and NATO Nations」を機密解除して発表した。米国は、イスラエルが秘密裏に核兵器を開発していたことを正式に認めたことになる。 (US helped Israel with H-bomb - 1980s report declassified) (Critical Technology Assessment in Israel and NATO Nations)

 パキスタンで戦士の勧誘を手がけてきたISISの幹部が、パキスタン当局に逮捕され、自白したところによると、米当局はISISが一人戦士を勧誘するごとに、旅費などとして500-600ドルをISISに渡すことを繰り返してきたという。ISISやアルカイダは、米イスラエルが育ててきた勢力だ。 (Islamic State (ISIS) Recruiter Admits Getting Funds from America) (Islamic State operative confesses to receiving funding through US - report)

 イスラエルは米軍(米欧軍)が中東に駐留する状況を恒久化するため、米の軍産複合体はこのイスラエルの策に乗って米軍事費の肥大化を恒久化するため、ISISやアルカイダを操って跋扈させ、シリアやイラクを恒久的に内戦状態にする策を展開している。軍産イスラエルとISISやアルカイダは同盟関係にある。 (イスラム国はアルカイダのブランド再編)

 この事態を打破し、中東を安定化し、米軍が撤退できる状況を作るため、イランやアサド政権やヒズボラのイラン・シリア連合軍と、オバマは同盟関係にある。イランの背後にいるロシアや中国も、この同盟体に入っている。シリア内戦の解決策として最も現実的なのは、アサド政権と反政府勢力の停戦を大国が仲裁することだが、それをやっているのはロシアだ。米政府はロシアの仲裁を支持している。また中国は以前、中東の国際問題に介入したがらなかったが、最近ではイランの核問題の解決に貢献する姿勢を強めている。事態は、不安定化や戦争を画策する軍産イスラエル・米議会・ISISアルカイダ連合体と、安定化や停戦を画策するイラン露中・アサド・ヒズボラ・オバマ連合体との対立になっている。 (Kerry Supports Syrian Peace Talks in Russia) (China's foreign minister pushes Iran on nuclear deal)

 日本は先日、2人の国民がISISに殺された。戦後の日本人は、戦争を好まない民族だったはずだ。本来なら、ISISを本気で潰して中東の戦争を終わらせて安定化しようとするイラン露中・アサド・ヒズボラ・オバマ連合体の一員になってしかるべきだ。しかし最近の日本は、オバマの大統領府でなく、軍産イスラエル複合体に従属する国になっている(ドイツなど欧州諸国も同様だ)。

 ISISが日本人2人を殺すと脅迫した事件は、安倍首相が、ISIS退治に2億ドル出すと表明しつつ、ちょうどイスラエルを訪問している時に起きた。イスラエル政府は、ISISが日本人を殺そうとしていることを非難し、日本と協力してISISと戦うと表明した。しかしイスラエルは実のところ、裏でISISやアルヌスラを支援している。 (安倍イスラエル訪問とISIS人質事件)

 2人殺害の事件が起きるまで、日本のマスコミはISISについてあまり報じなかった。遠い中東で起きている複雑な背景の現象だから、報道が少ないのは当然だった。だが事件後、テレビは毎日必ずISISのことを報道する。これは911後のテロ戦争と同様、米国(軍産)主導の新たな国際体制を作ろうとする時のプロパガンダ策のにおいを感じる。

 軍産イスラエルは、自分たちが支援しているISISが日本人やヨルダン人や米英人やエジプト人らを次々と殺害し、世界がISISとの戦争に巻き込まれ、中東に軍事関与せざるを得ない事態を作ることで、911以来14年経って下火になってきた、テロリストが米国の世界支配を維持してくれる「テロ戦争」の構図を巻き直そうとしている。イスラエルは、オバマやEUなど、世界から敵視を強められている。それに対抗する策としてISISは便利な存在だ。

 安倍首相のイスラエル訪問は、安倍がイスラエル現地で会ったマケイン米上院議員ら、米政界の軍産イスラエル系の勢力からの要請を受けて行われた(イスラエルはパレスチナ問題で欧州に経済制裁される分の投資や貿易を日本に穴埋めさせたい)。安倍は軍産イスラエルに頼まれてイスラエルを訪問し、訪問とともにISISに人質事件を起こされ、軍産イスラエルの新たなテロ戦争に見事に巻き込まれた。日本は、ISIS人質殺害事件を機にイスラエルとテロ対策で協調を強めようとしているが、これは防火体制を強化する策を放火魔に相談するのと同じで、とても危険だ。

 今のイスラエルの危険さは、国際的に追い詰められている点にある。イスラエルは国際政治力に長けていて謀略の能力が高い。対照的に戦後の日本は、対米従属の国是をまっとうするため、国際政治や謀略の技能を自ら削ぎ、国際情勢に無知な、諜報力が欠如した状態を、意図して維持してきた。そんな無知な日本が、追い詰められた謀略国イスラエルに、のこのこと接近している。ひどいことにならないことを祈るしかない。

 

 


シリア内戦 最後の濡れ衣攻撃

2020年02月25日 | シリア

 
シリア内戦 最後の濡れ衣攻撃

2018年9月15日   田中 宇


シリア内戦は、シリアのほとんどの地域で政府側(アサド政権)の勝利が確定し、反政府勢力(テロ組織。ISアルカイダ)が残って政府側と戦う姿勢を見せているのはシリア北部、トルコ国境沿いの町イドリブだけになっている。イドリブは、シリア各地で政府軍に投降したISカイダの兵士と家族らが集められている場所だ。アサド政権と、それを支援してきた露イランは、アレッポやグータなど、シリア各地で打ち負かして投降・武装解除させたISカイダとその家族を、そのままその地域に残しておくとまた戦闘を起こしかねないので、バスの隊列に乗せてイドリブに移動させる作業を続けてきた。 (アレッポ陥落で始まった多極型シリア和平)

イドリブはシリア国内だが、トルコ軍とISカイダが統治してきた。イドリブはシリア内戦の前半、トルコがアサド打倒を目指し、米サウジと一緒にISカイダを積極支援していたころ、トルコからシリアへ越境する出入り口で、ISカイダに支援物資を送ったり、新たな志願兵を越境させたり、戦闘の負傷兵をトルコ側の病院で治療するために越境させるための兵站の町だった。15年にロシア軍がアサド政権への支援を開始し、内戦が露アサドイランの優勢に転換した。負け組入りを回避したいトルコは、米サウジから離れてロシアに接近した。ISカイダ支援と、アサド敵視は続行したが消極的なものになった。 (勝ちが見えてきたロシアのシリア進出) (欧米からロシアに寝返るトルコ)

その流れの中で、シリア各地でISカイダが露アサドイラン側に負けるようになった時、投降したISカイダをイドリブに移動させ、トルコ軍の監視下で「更生」させることになった。合計で約2万人のISカイダの兵士がイドリブにいる。兵士以外の避難民もイドリブに多く集まり、もともと80万人だったイドリブの人口は200万人に増えている。トルコ軍はイドリブに12カ所の監視塔を作った。 (Turkey’s de-escalation efforts around Idlib come with risks) (Turkey to clear Idlib of militants to prevent Syrian government assault)

だが、イドリブのISカイダ勢力は「更生」せず、アサドの政府軍と戦う姿勢を取り続けている。ISとアルカイダが再合流し、アルカイダ(ヌスラ戦線など)に戻っている。イドリブに入っているトルコや米英の諜報要員の中に、彼らアルカイダをけしかけて露アサドイランと戦わせ続けようとしている勢力がいるようで、トルコ側からアルカイダへの武器供給が続いている。今夏、シリア南部のイスラエル・ヨルダン国境沿いの地域の戦闘が、アサド側の勝利で終わり、イスラエルもアサドの勝利を認めた。北方のクルド人も、アサド敵視をやめて、内戦後の自治獲得に向けたアサドとの政治交渉に入った。残るはイドリブだけになっている。 (米国から露中への中東覇権の移転が加速)

今春以来、ロシアとトルコ、イランは、イドリブをどうするかについて、何度も話し合ってきた。アサド政権は、イドリブもシリアの一部なので、従来のようなトルコやISカイダがイドリブを占領している事態をなくしたい。アルカイダが武装解除・更生を拒否し続けるなら、シリア政府軍がイドリブに侵攻し陥落・奪還するとアサドは表明してきた。トルコは、テロリストたちを更生させるのでもうしばらく待ってほしいという態度だが、その一方でトルコ(と英米)の諜報界は、アルカイダに武器を供給し続けてきた。 (Turkey boosts arms to Syrian rebels as Idlib attack looms - rebel sources | Reuters) (Turkey reinforces military in Syria's Idlib after ceasefire call fails)

ロシアとイランは、シリアとトルコの間を仲介する立場だが、善悪でいうと、シリア領であるイドリブをシリア政府が奪還しようとするのが善であり、イドリブのアルカイダに武器支援するトルコは悪だ。露イランは、シリア政府の肩を持たざるを得ない。イドリブが戦争になるとトルコ側への難民の流入が急増し、トルコ経由で西欧に向かう難民の流れも増えそうで、その点が比較的説得性のあるトルコの言い分だったが、それだけでは露イランを説得できなかった。 (Turkish push for Idlib solution failing to make headway in Moscow)

ロシアはシリアで、反政府勢力がアサド政権と交渉して投降・武装解除するための仲裁機能を持っている。8月初め、ロシア側の呼びかけに応じ、イドリブのアルカイダの一部が、アサド政権と交渉しても良いと表明した。だがその後、この勢力は、最後まで戦うべきだと主張するアルカイダの別の勢力によって拘束され、処刑されてしまった。仲裁は失敗した。 (Militants in Idlib arrest members for seeking reconciliation with Syrian govt.) (As Assault Looms, Syrian Rebels Detain Those Trying to Surrender)

9月7日のテヘランでの露イラントルコの首脳会議で、トルコは露イランを再度説得しようとしたが失敗し、露イランがシリア政府軍のイドリブ攻略を認める姿勢を強めた。これで、イドリブをめぐるトルコと露イランの交渉は決裂したと指摘されている。イドリブ周辺での政府軍とアルカイダの戦闘は以前から続いており、いつ本格的な攻略が始まってもおかしくない状態だ。イドリブのアルカイダは強くない。これまま本格戦闘になれば、数週間でシリア政府軍の勝ちが決まる。これがシリア内戦の戦闘終結になる。 (Turkey's Erdogan gets no love from Russia on Idlib) (Post-war Syria destined to be sanctions-busting hub, the Russian-Iranian-Turkish summit decides)

▼バレバレの濡れ衣をかけてロシアやシリアと戦争すると乱入してきたトランプ

だが、ここで「場外」から乱入してきた勢力がいる。トランプ政権の米国だ。米国は、シリア政府の許可を得ずに2千人の米軍をシリア東部のアルタンフに派兵・駐屯しているものの、露イラントルコが議論するシリア再建に関する外交交渉に全く参加せず、シリア問題で「場外」にいる。それなのに、米政府は8月下旬から、ボルトン補佐官を中心に、シリア政府軍がイドリブで化学兵器を使った攻撃をやりそうだと言い、もし政府軍が化学兵器を使ったら、米軍は英仏軍を率いてシリア政府軍を攻撃する軍事制裁をやると宣言し始めた。シリア政府軍がイドリブ郊外で塩素ガスを使った攻撃をやりそうだという、具体的な予測まで出てきた。 (Bolton Again Warns Assad "We Will Respond" If Chemical Weapons Used In Idlib Offensive) (America last: Trump has brought US to irrelevance in Syria)

この件に関し、ロシアは異なる見方をしている。ロシアによると、シリアの反政府勢力の支配地で、戦闘で破壊された瓦礫の中から市民を救出することで有名になった「民間」の救援部隊である「白ヘルメット」が、イドリブ郊外のジスルシュグール(Jisr al-Shughur)に8月末、8本の容器入りの塩素ガスを持ち込んだ。 (White Helmets help Nusra terrorists stage chemical attack in Syria's Idlib: Report)

白ヘルメットは、シリア各地のISカイダ占領地域で、救援活動をする一方で、シリア政府軍がISカイダの支配地域に対し、通常兵器を使った攻撃(軍用ヘリに積んだ樽型爆弾の投下)をした直後に、あらかじめ用意しておいた塩素ガスを散布し、市民に被害者が出ている様子や、白ヘルメットが被害者を救出している様子を動画に撮り、それをユーチューブなどにアップし、アサド政権を敵視する米欧マスコミに「シリア政府軍が市民を塩素ガスで攻撃した」と報じさせる「濡れ衣戦争作り」を繰り返してきた。 (いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連) (シリアで「北朝鮮方式」を試みるトランプ) (Russia: US plans new Syria strike with false flag attack)

白ヘルメットは、ISカイダ(特にアルカイダ=ヌスラ戦線)の別働隊であり、ISカイダを支援してきた米英の諜報機関や、英外務省・米国務省からの支援を受けてきた。そのため、諜報界の一部である米英マスコミは、白ヘルメットの動きに積極的に連携して、濡れ衣戦争の構図作りをやってきた。この動きは、米英の中で、とくに英国が分担する仕事になっていると分析されている。白ヘルメットを13年に創設したのは、英諜報機関の要員(元英陸軍)であるジェームス・ル・メズリエ(James Le Mesurier)だった。 (US senator claims Britain's MI6 is planning a fake chemical weapons attack on Syria) (Syria moves to retake control over Golan Heights from terrorists) (Who is James Le Mesurier?)

シリア内戦では約72回、化学兵器を使った攻撃が行われたとの指摘があり、そのほとんどについて「シリア政府軍の仕業だ」とマスコミや英米当局が決めつけている。だが、白ヘルメットなど、ISカイダ・英米諜報傘下の地元組織による塩素ガスの散布など、濡れ衣の構図作りの作業の存在を勘案すると、シリア政府軍の仕業であると確定的に言い切れる化学兵器攻撃は、約72件の中に1件もない。シリア政府軍は、空軍力においてISカイダよりはるかに優勢で、通常兵器による空爆だけで十分戦える。国際非難される化学兵器を使う理由がない。シリア内戦における化学兵器の使用のかなりの部分(もしくはすべて)が、ISカイダとマスコミなど英米諜報界傘下の勢力が作った濡れ衣(ISカイダが化学兵器を撒いたか、もしくは全くのでっち上げ話)だった可能性がある。この件は、以前の記事「シリア政府は内戦で化学兵器を全く使っていない?」で詳述した。 (シリア政府は内戦で化学兵器を全く使っていない?)

白ヘルメットやマスコミがアサド政権に着せた濡れ衣の化学攻撃の話を、英米政府は全部鵜呑みにしてアサドを非難してきた。だが米政府はこれまで、オバマもトランプも、アサド政権を倒すための本格戦争に踏み切らず、アサド政権を非難したり経済制裁するだけだった。米政界内の好戦派(軍産複合体)は、米政府が濡れ衣に基づいてシリアで本格戦争を仕掛けることを望んだが、米軍がシリアで本格戦争を仕掛けるとイラク戦争と同様の占領の泥沼にはまってしまうので、大統領は本格戦争をやりたがらない。オバマは、13年夏にダマスカス郊外の東グータでアサド政権が化学兵器で市民を攻撃したという濡れ衣が作られ、米政界の好戦派がオバマに本格戦争しろと圧力をかけた時、米国自身でやらず、シリア内戦の問題解決をロシアに丸投げした。それ以来、シリアはロシアの覇権下に入る流れになっている。 (シリア空爆騒動:イラク侵攻の下手な繰り返し) (シリア空爆策の崩壊)

トランプも最近まで、シリアへの軍事関与を減らす方向を希求していた。トランプは今春、シリアから軍事撤退したいと表明していた。だが最近、トランプ政権は、米軍がこの先もずっとシリアに駐留する方針に転換した宣言するとともに、シリア政府軍が化学兵器を使う可能性が高く、化学兵器が使われたら米軍が英仏軍を率いてシリア政府軍を攻撃すると表明し始めた。好戦派=軍産と戦ってきたはずのトランプが、方針転換して好戦派になったと指摘された。好戦派のボルトン補佐官が、トランプ政権の政策を勝手に書き換えているとも言われた。ボルトンは「シリア政府の化学兵器使用を容認しているロシアやイランもアサドと同罪だ」と、露イランをも敵視・非難している。 (Is Trump Going Neocon in Syria?) (US, France, and UK In Direct Talks Over Possible Syria Strikes)

トランプと側近たちは、8月下旬から「シリア政府がイドリブで化学兵器を使いそうだ」と言い続けており、トランプ政権がそのような主張をした後になって、白ヘルメットがイドリブ郊外に新たな拠点を開設したとか、塩素ガスを持ち込んだとかいった話が出てきている。どうも、トランプ政権側の方から米英諜報界に「シリア政府軍(とその背後の露イラン)と戦争したいので、開戦事由として使える濡れ衣を作ってくれ」と依頼し、諜報界が白ヘルメットを動かした感じだ。その前の段階で、白ヘルメットは、シリア内戦の終結とともに英国やカナダに亡命する手はずが語られていた。トランプ政権がわざわざ諜報界に頼んで白ヘルメットを再登場させ、濡れ衣づくりを再演させている。 (White Helmets Look to Set Up Shop in Syria's Rebel North) (Syrian White Helmets: 800 Rescue volunteers evacuated to Jordan by Israel)

ロシアは「シリア政府軍がイドリブで化学兵器を使ったというのは米英が作った濡れ衣」「シリア政府軍はISカイダを退治してイドリブを奪還する権利がある」と言っている。8月末には、ロシアの米国駐在の外交官が、米政府に対し、アルカイダがイドリブで化学兵器を使う準備をしている証拠を提出し、イドリブで化学兵器が使われるとしたら、犯人は、米政府が言っているようなシリア政府軍でなくアルカイダだと、正式な外交ルートで伝達した。ロシアがここまでやるのは珍しい。ロシアは15年からシリアに軍事駐留しているが、これまでは、米英がシリア政府に化学兵器使用の濡れ衣を次々とかけ続けることを、ある程度黙認してきた。だが今回は、もう黙認せず、濡れ衣作りを非難し、アサドのシリア政府を擁護する姿勢を強めている。 (In Rare Meeting, Russia Delivers Intel To US Officials Showing "Planned Chemical Provocation" In Syria)

近現代の戦争は「どちらが正義か」が重要だ(だから英米は、マスコミを使い、善悪を自分たちに有利なように歪曲してきた)。今のシリアでは、濡れ衣に基づいてシリア政府を軍事攻撃し、テロリストを支援する米英が「悪」で、米英の攻撃からシリア政府を守ろうとするロシアやイランが「正義」になる。米欧日など先進諸国では、マスコミが善悪を歪曲し続けているので、多くの人が米英=正義、露イラン=悪だと思い違いをしたままだ。だが、それ以外の新興諸国では、米英がシリアなど世界各地で濡れ衣を口実に侵攻して政権転覆してきた史実が正しく伝えられ始めている。ロシアやイランは、自分たちがシリアで正義の側にいるため強気になり、米英が脅してきても譲歩せず、一戦交えてもかまわないという態度になっている。 (Russia Sees US Building Up for Possible Syria Strike)

米露が本気で戦い続けると、全人類を巻き込む世界大戦になる。米英が、イドリブで、シリア政府軍が化学兵器(塩素ガス)を使って一般住民を殺傷したというでっち上げを白ヘルメットにやらせ、この濡れ衣を開戦事由として米軍が英仏軍を率いてシリア政府軍を攻撃すると、ロシア軍とイラン系民兵団(ヒズボラなど)がシリア軍の援護に入り、米英仏と露イランシリアとの本格戦争になりかねない。米軍はシリアに2千人しか駐屯しておらず、地上軍の戦闘になると、イランシリアの軍勢に対して苦戦する(ロシアのシリア駐留は空軍のみで、地上軍を出していない)。米軍が挽回のためイラン本土を攻撃する事態になると、とても危険だ。 (U.S. Will Respond "Swiftly" If Assad Uses Chemical Weapons: White House)

この危険な事態に対し、米諜報界のOB(=重鎮)たちが「米軍はイドリブで露シリア側と戦争してはならない」「トランプは軍事力でなく、外交力を使い、シリア政府軍がイドリブの奪還戦を思いとどまるよう、露シリア側と交渉すべきだ」と主張する公開書簡を、トランプあてに出した。米諜報界は軍産複合体そのものであり、好戦的なはずの軍産がトランプに対し、戦争するな、外交をやれと求めている。 (Moscow Has Upped the Ante in Syria) (Intel Veterans Urge President Trump To Step Back From The Brink On Syria)

英仏は、今回の展開に対し、とりあえず米国に付き従っているが、明らかに濡れ衣の開戦事由をこれから作って露シリアと戦争しようとするトランプのやり方を嫌っているに違いない。トランプは昨年4月にも、白ヘルメットがイドリブでやった化学兵器使用をシリア政府軍の仕業だと言い募り、米軍が英米を引き連れて、シリアにこけおどしのミサイル攻撃を行なっている。この時イドリブで化学兵器を使ったのがシリア政府軍だという証拠は何もなく、英仏はトランプの戦争に付き従うことの危険をすでに感じている。トランプが今後、米国と露シリアの戦争に突入しようとするほど、英仏も、米諜報界のOBたちと同様、トランプに戦争をやめさせようとするだろう。 (ミサイル発射は軍産に見せるトランプの演技かも)

米国が濡れ衣の開戦事由で戦争し、あとで国際信用を大きく失った最大の先例は03年のイラク侵攻だ。軍産やネオコンは、世界各地の米国の敵国に対し、次々と濡れ衣の開戦事由を作ってきた。「シリア政府軍の化学兵器使用」はその濡れ衣策の一つで、シリア内戦の初期から何度も繰り返されてきた。軍産の内部には、どんどん濡れ衣を作る勢力(ネオコンら。隠れ多極主義)と、イラク侵攻の失敗を繰り返したくない(米国の覇権を守りたい)のでもう濡れ衣戦争をやりたくない勢力(エスタブリッシュメント)がいる。13年夏にシリアのグータで最初に化学兵器使用の濡れ衣が作られ、好戦的な米マスコミが「オバマはアサドを武力で倒せ」とけしかけた時、米諜報界のOBたちはオバマに「グータで化学兵器を使ったのはシリア軍でないかもしれない。慎重に動いた方が良い」と進言し、オバマは軍事行動をとらず、シリア内戦の解決をロシアに丸投げした。 (On the Brink With Russia in Syria Again, 5 Years Later)

だが、トランプはオバマと正反対の方向を進んでいる。昨年は、シリア政府軍が化学兵器を使ったという濡れ衣を丸呑みしてシリアをミサイル攻撃し、今年は安保担当補佐官にネオコンのボルトンを就任させ、化学兵器使用を理由に露シリアと戦争しようとしている。以前から書いているように、これはトランプの意図的な戦略だ。 (軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃) (中東大戦争を演じるボルトン) (軍産の世界支配を壊すトランプ)

トランプは、米覇権体制の世界を運営してきた軍産の主流派が「やめてくれ!」「和平の方がましだ!」と叫ぶような無茶で過激な好戦策を突っ走り、軍産を十分にビビらせておいて、戦争しない覇権放棄の方向に転換する。昨年から今年にかけて、先制攻撃の叫びから米朝首脳会談へと大転換した、北朝鮮に対するやり方が象徴的だ。シリアはすでに露イランの影響圏であり、米軍がシリアへの介入をやめた時点で、覇権放棄が完了する。 (米朝ダブル凍結を実現したトランプ) (北朝鮮を中韓露に任せるトランプ)

今もトランプと親しい戦略家スティーブ・バノン(トランプ陣営の別働隊)がやっていたニュースサイトのブライトバードは最近、シリア政府軍が化学兵器を使ったとさかんに報じている。軍産ネオコンを敵視してきたブライトバードが、軍産ネオコン的な「アサドの化学兵器使用」を喧伝し始めたのは、かなり怪しい。トランプが、軍産を潰すために軍産以上の過激な好戦策をやり、それにブライトバードも乗っている感じだ。 (Breitbart: U.N. Investigators Find More Evidence Assad Used Chlorine Gas on Civilians)

シリアで今にも米露が世界大戦を起こしそうな今の事態は、軍産をビビらせ、覇権放棄に持っていくためのトランプの策略だ。シリアで米露が本格戦争することはない。軍産の主流派や英仏は、何とかしてシリア政府軍にイドリブ奪還戦を思いとどまらせようと外交的に奔走している。今にも行われそうなでっち上げの「シリア政府軍による化学兵器使用」も、行われずに終わるかもしれない。でっち上げが行われ、トランプが、昨春のようなシリア政府施設に対する、ロシアが無視できる範囲の、こけおどしなミサイル攻撃をするかもしれないが、これに英仏が参加するか疑問だ。 (Washington ramps up diplomatic efforts to stave off Idlib operation)

イドリブのアルカイダは、周辺に住んでいる一般の住民(多くが国内避難民)に避難することを禁じ、一般住民を人質(人間の盾)にして、シリア政府軍と戦う姿勢を強めている。イドリブのアルカイダは、米英トルコ側から武器の供給を受けており、露シリア側がイドリブ奪還戦の本格化を延期するほど、アルカイダが軍事力を取り戻し、イドリブの奪還が難しくなる。そのため露シリア側は、米トルコ側から求められても、イドリブ奪還戦の遂行をやめることはない。トルコやEUがアサド政権との国交を回復するといった意外な大譲歩が行われない限り、10月末までに奪還戦が開始され、年内にイドリブがシリア政府の統治下に戻りそうだ。 (Syrian rebels preventing refugees from leaving Idlib as Russian forces prepare final offensive)


アンカラがロシアのストライキを「落ち着かせる」後に米ミサイルを求める「哀れな」-元シリア特使

2020年02月25日 | シリア
意見
<time class="b-article__refs-date" datetime="2020-02-21T00:56">00:56 GMT 21.02.2020</time>短いURLを取得
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アンカラは木曜日、シリア軍のイドリブでの空爆によりトルコ軍2人が殺害され、トルコ軍が50人以上のシリア軍を殺害したと主張した。しかし、ある専門家は、アンカラが報復攻撃とパトリオットミサイル防衛システムの展開の両方についてブラフしているとスプートニクに主張します。

英国のシリア駐在大使ピーター・フォードは木曜日にラジオスプートニクのラウドアンドクリアに加わり、イドリブにおけるトルコ軍とシリア軍の最近の戦いについて議論し、この地域の現在の人道危機について意見を述べました。

フォードは、ホストのブライアン・ベッカーとジョン・キリアコウに、木曜日にロシア空軍がとった行動がトルコへの「教訓」として役立ったと語った。

スプートニクは木曜日、ロシアのロシア和解センターが、シリアのアラブ軍を支援するロシアのSu-24航空機がトルコと同盟したテロリストに対する空爆を行ったことを確認したと報告した。センターはまた、アンカラに対し、テロリストの行動の支援を停止し、グループへの武器の供給を停止するよう求めました。

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シリア軍は1台の戦車、6台の歩兵戦闘車、大口径武器を搭載した5台のピックアップトラックを破壊した」と同センターは木曜日の声明で述べた。これは「トルコ軍が過激派を支援するのは初めてではない」と強調した。

その後、アンカラは、空爆でトルコ軍の2人が死亡し、5人が負傷したことを確認した。

「それは非常に強力で落ち着いたメッセージをアンカラに送らなければなりません。シリアの領土であらゆる火源と協力するトルコ軍はロシア空軍によって爆撃されるでしょう」とフォードは主張した。「そして、ロシア空軍はシリアのその部分で空を制御します。これが重要な事実です。」

ストライキに続いて、トルコ国防相のフルーシ・アカールは、CNNトルコと話をし、米軍の防空システムについて言及しているデイリーサバによると、米国から「愛国者の支援がある」と述べた。

フォードは、アンカラが米国のパトリオット地対空ミサイル防衛システムを要求することさえ、そのような動きが実行するのに数ヶ月かかるという事実のために言及することさえ「哀れ」であると言いました。彼はまた、トルコが報復攻撃で50人以上のシリアアラブ陸軍の軍人を排除したとトルコが主張するのは「不条理」であると述べた。

「[トルコ大統領タイイップレセップ]エルドアンはロシアの意図をテストしたかった。それが彼が[アル・ナイラブ]の自殺任務に部隊を派遣し、答えを得た理由です」とフォードは述べた。「これは非常に落ち着くでしょう。」

トルコは過去数年間、ロシア製のS-400防空システムを購入するためにワシントンとお湯を浴びてきましたが、アメリカの外交官はトルコ人にはるかに高価なパトリオットミサイルバッテリーを購入するよう説得しようとしました。

月曜日、国連人道問題・緊急救援コーディネーターのマーク・ローコック事務局長は警鐘を鳴らし、北西シリアに関する報告書を発行し、約90万人が2019年12月1日からそこから追放されたと述べた。

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「キャンプは満員であるため、彼らは外傷を受け、氷点下の気温で屋外で寝ることを余儀なくされています。母親は子供たちを暖かく保つためにプラスチックを燃やします」とLowcockは報告書で述べています。「赤ちゃんと小さな子供たちは風邪のために死にかけています。」

フォードは、シリア北西部では「恐ろしい」状況であるが、シリアの他の部分が解放されたときに同様の報告が出ており、最終的にそれらはひどく誇張されていることがわかったと述べた。代わりに、専門家は北西部で避難した人々の数は国連の推定値の約4分の1であると発見し、西側諸国が中東情勢により多く介入するよう促すために膨らんだと述べた。

 

 

 

 

ロシア
<time class="b-article__refs-date" datetime="2020-02-25T08:51">08:51 GMT 25.02.2020</time><time class="b-article__refs-date-upd" datetime="2020-02-25T08:57">(08:57 GMT 25.02.2020に更新)</time>短いURLを取得
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モスクワ(スプートニク)-ソビエト連邦の最後の防衛大臣、ドミトリー・ヤゾフは95歳でモスクワで亡くなった、とロシア国防省は火曜日に述べた。

「ソビエト連邦のドミトリー・チモフェーヴィチ・ヤゾフ元Marは、2月25日にモスクワで亡くなりました。長く深刻な病気で95歳でした」と同省は述べました。

ヤゾフは、ソビエト連邦元Marの国内最高位を与えられた最後の軍事長官でした。大祖国戦争中に、彼はレッドスター勲章を授与されました。彼は1987年5月から1991年8月までソビエト連邦の防衛大臣を務めました。彼のリーダーシップの下、ソビエト軍はアフガニスタンを去りました。

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©RIA NOVOSTI。セルゲイ・グネエフ
ソビエト連邦国防長官ドミトリー・ヤゾフ

ヤゾフは、モスクワのすぐ北にあるミティシチの連邦戦争記念墓地に2月28日に埋葬される可能性が最も高いと、軍司令官の参謀長ニコライ・デリャビンが述べた。ヤゾフにはすべての正当な軍事的名誉が与えられると彼は付け加えた。

 


「21世紀最大の人道的ホラーストーリー」:イドリブから逃げようとする最大100万人の難民

2020年02月25日 | シリア
<article class="node node--type-article node--view-mode-full" role="article" data-gtm-vis-recent-on-screen-2077925_22="856" data-gtm-vis-first-on-screen-2077925_22="856" data-gtm-vis-total-visible-time-2077925_22="100" data-gtm-vis-has-fired-2077925_22="1"><footer class="node__meta">
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イドリブとの継続中の最終戦闘は、9年間の戦争で見られた最大の難民流出を引き起こす可能性がある、と国連当局者は警告している。 

国連人道問題調整事務所からの最近の声明では、12月1日以降の民間人強制移動の最新の波が 70万人に上ることを示しています。 

トルコのエルドアン首相は現在、ロシア空軍に支えられて急速に前進しているシリア軍に対して軍事援助を行うよう米国とNATOに請願しています。国際報告書は、最大100万人の国内避難民が現在トルコ国境に向かって急増していると示唆しています。 

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ウォールストリートジャーナルは、 と報告し  、「 -ロシアの空爆とプロイランの民兵に裏打ちされた-北西部シリアの家族が進んシリア軍の間にトラップされている。そしてトルコ」

レポートは、トルコが軍隊を使用して国境を封鎖したことを指摘しています。

WSJによると国境は難民に対して閉鎖されており、壁、trench、警備員によって保護されています

しかし、WSJは、Idlibを地上で支配している米国指定のテロ組織であるアルカイダ派のHayat Tahrir al-Shamが長年にわたって地元住民を恐怖に陥れ、彼らが去ることを防いでいることに言及していません。

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推定では、一般的にイドリブ州の総人口は最大300万人になります。 

メディア評論家は、大規模な逃亡難民コラムの心を痛める映像を使用して、西部の軍事介入を主張している  -これが実際に危機を悪化させる可能性があるにもかかわらず。 

 

OCHA: “The biggest humanitarian horror story of the 21st Century will only be avoided if Security Council members, and those with influence, overcome individual interests and put a collective stake in humanity first.” https://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/under-secretary-humanitarian-affairs-and-emergency-relief-coordinator 

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これまでのところ、米国はロシアとシリア政府に対する介入の呼びかけを無視してきました。 

しかし、メディアがシリアの戦争を長らく見出した後、シリアでの戦争を「再発見」し、アサドが国の「あらゆるインチを解放する」ことを誓ったように、米国の行動の要請はますます大きくなっている。

 

: Civilians fleeing to Turkish border due to the Assad & Russia bombardment

Its happening... If the escalation in Idlib continues, another millions of refugees will appear in the borders of Turkey in the upcoming days.

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戦争中、シリア全土から生き残ったアルカイダとISISに関連する派ionsは、政府の親軍によって彼らの軍隊がロールバックされたため、北西州に注がれました。多くの場合、反アサドの反乱ジハード主義者の家族も最後のいわゆる「反逆者の飛び地」であるため、そこで終わった。 

これが、今週アメリカの連合スポークスマンであるマイルズ・カギンズ大佐がイドリブを 「テロリスト集団の磁石」と呼んだ理由   であり、それは数十万人の民間人にとって「迷惑、脅威、脅威」である

 

 

このように、閉じ込められた民間人は、現在トルコと戦っているシリア・ロシア同盟、トルコの代理ジハード主義者、テログループ・ハヤト・タハリール・アルを含む三者戦争の爆弾の下にあるため、岩と厳しい場所の間に挟まれています。シャム。

悲劇的に多くの子供を含む多くの民間人も、難民キャンプの極端な冬の状況のた​​めに死にかけていると記録されています。 

WSJは、国連の緊急救援コーディネーターMark Lowcockが急速に「21世紀の最大の人道的ホラーストーリー」になったと述べている今年、これまでの戦闘で約370人の民間人が死亡したと反対派の情報源を引用しました  

 
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トルコがシリアとの戦いをエスカレートするにつれて、米国が関与するよう圧力が高まっている

2020年02月25日 | シリア
<article id="post-84580" class="post-84580 post type-post status-publish format-standard hentry category-news tag-pentagon tag-syria tag-turkeysyria"><header class="entry-header">

トルコがシリアとの戦いをエスカレートするにつれて、米国が関与するよう圧力が高まっている

トルコは米国軍用機、イドリブの愛国者ミサイルを望んでいる</header><footer class="entry-footer"> 上の投稿します<time class="entry-date published" datetime="2020-02-20T19:05:26-08:00">2020年2月20日</time>カテゴリーニュースタグ</footer>

トルコは、シリア北部での戦闘を強化し続け、ロシア軍に対抗し、イドリブ州で差し迫った戦争の様子を見せています。トルコのエスカレートへの意欲は、米国の励ましによって取り上げられたようです。そして今、トルコは米国をこの紛争に引きずり込むための呼びかけを主導しているようです。

Idlib州に対する米国の利益は事実上存在しません。かつて存在していた米国が支援する反政府勢力は一掃されたか、遠い昔のイスラム教徒のグループと連携していた。介入の議論は、Idlibがロシアとトルコの間の引火点になりつつあるということです。

トルコは、パトリオットミサイルの送信について米国協議していることを示唆しているが、アメリカよりもトルコの問題であるIdlibにロシアの軍用機に対抗するため、そして米国の軍用機にIdlibの周辺地域のパトロールを開始するよう要求しています

米国はまだこれにコミットしておらず、多くの当局者は紛争に巻き込まれることは避けられないと考えているようですが、特にトルコがシリア北東部に侵入してから数か月後、イドリブでトルコの侵略を取り戻そうとする人がどれだけいるかは不明ですそこで米国の政策を大幅に変更しました。

 

著者:ジェイソンディッツ

Jason DitzはAntiwar.comのニュースエディターです。 

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<article id="post-84578" class="post-84578 post type-post status-publish format-standard hentry category-news tag-russia tag-syria tag-turkey"><header class="entry-header">

トルコがシリア軍を50人以上殺す

ロシア軍用機が介入してシリア軍に対する攻撃を停止</header><footer class="entry-footer"> 上の投稿します<time class="entry-date published" datetime="2020-02-20T13:29:39-08:00">2020年2月20日</time>カテゴリーニュースタグ</footer>

トルコのシリア軍を攻撃し、50人以上の兵士を殺した主張するシリア軍のイドリブ州での戦闘は大幅にエスカレートし、ロシアは最終的に戦闘を停止するために戦闘機を送り、トルコが継続的な行動から離れるよう警告した。

トルコの当局者は、シリアが「平和を確立する」ためにイドリブにいた2人のトルコ人兵士を殺したと彼らの攻撃が報復中であったと言いました。エルドアン大統領は、兵士の怪我をめぐってトルコのどこでもストライキを脅かしています。

トルコに支援された反政府勢力が攻撃に関与し、トルコの大砲攻撃に支援されました。シリアは最終的にロシアの助けを求め、ロシアのSu-24はいくつかのストライキを開始しました攻撃力に対して。ロシアもトルコと連絡を取り、砲撃を停止するように伝えました。

この特定の再燃が終わっている間、戦いは始まったばかりのようです。ロシアはこの状況を「最悪のシナリオ」と呼び、トルコにイドリブでのテログループの支援を停止するよう要求した。トルコはイドリブをシリアに残さないことを誓い、シリアが無条件にその地域をほとんどアルカイダ主導の反政府勢力に譲ることを繰り返し要求した。

著者:ジェイソンディッツ

Jason DitzはAntiwar.comのニュースエディターです。 

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シリアはアメリカの巨大な恥ずかしさとして立ちます

2020年02月25日 | シリア
<article class="node node--type-article node--view-mode-full" role="article" data-gtm-vis-recent-on-screen-2077925_22="1620" data-gtm-vis-first-on-screen-2077925_22="1620" data-gtm-vis-total-visible-time-2077925_22="100" data-gtm-vis-has-fired-2077925_22="1"><footer class="node__meta">
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Advancing Timeブログを介してBruce Wildsが作成、

長い間、アメリカはシリアを今日の災害とする役割を無視し、その役割から距離を置くことを試みてきました。シリアは、アメリカの失敗した外交政策にスポットライトを当てる巨大な恥ずかしさとして立っています。オバマ大統領が吹いたと言うのは控えめな表現です。彼の経験不足は私たちをウサギの穴に落とし、各ターンは以前よりもさを明らかにしました。オバマとトランプはともに、アフガニスタンとイラクでのアメリカの役割を減らすことを約束したが、言うよりも簡単であることが証明されており、広範囲に及ぶ影響も持っている。

<picture><source srcset="https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_desktop/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=n5aiLyki 1x" type="image/jpeg" media="all and (min-width: 1280px)" /><source srcset="https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_desktop/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=n5aiLyki 1x" type="image/jpeg" media="all and (min-width: 480px)" /><source srcset="https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_desktop/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=n5aiLyki 1x, https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_desktop/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=n5aiLyki 2x" type="image/jpeg" media="all and (min-width: 1024px)" /><source srcset="https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_desktop/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=n5aiLyki 1x" type="image/jpeg" media="all and (min-width: 768px)" /><source srcset="https://zh-prod-1cc738ca-7d3b-4a72-b792-20bd8d8fa069.storage.googleapis.com/s3fs-public/styles/inline_image_mobile/public/inline-images/aleppo-syria-june-2016-bomb-damage.jpg?itok=lFpH1EDH 1x" type="image/jpeg" /></picture>

アレッポは破壊された多くの都市の一つです

シリアの人々が立ち上がって、彼らの残忍な指導者オバマを打倒することを安心させ、ほとんど奨励することによって、無数の命を奪い、数百万人を破壊した一連の出来事を始めました。このことから生じる最も有害な開発の3つは、ISISの開発、数百万人の難民のヨーロッパへの流入、および都市と無実の民間人の爆撃と破壊です。

 過去10年間にわたるこの地域の暴力の継続は、この地域からの何百万人もの人々の大規模な移動を不安定にしています。

多くの人々は、ISISの形成がこの混乱に根ざし、アメリカの干渉から流出したことを認識していません。シリアのバシャール・アル・アサド大統領と戦うために軍隊を建設する試みは失敗しました。  ロイターが発行した報告書によれば、200人の男性が訓練され、シリアをバシャール大統領の支配からではなくイブラヒム・アル・ドゥーリ将軍の支配から解放するための計画に1200人以上が追加されると主張した。第二次湾岸戦争が支配を引き継いで以来、米国の最も望まれたリストに載っていた。これにより、グループには問題のあるリーダーと、自由に使える巨大な戦車が残されました。お金のほとんどは、クウェート、カタール、サウジアラビアを含む米国の同盟国から来ていました。すべてはもともとISISを支持していたスンニ派に拠点を置く国です。

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中東は殺す準備ができている

何年もの間、毎日、毎週、毎月、アメリカの人々は、パンドラの悲惨なオバマの箱が開かれ、彼の慢が解き放たれるのを無視して忙しくしました。 これをオバマ氏のバッシングとは思わないでください。彼は一人でやったわけではありません。長年にわたってアメリカの外交政策に感染してきた同じ古い道化師のグループは、私たちを今日の場所に連れて行ってくれました。アメリカは、単に自分のビジネスを気にすることはできません。

これの大部分はブッシュ大統領の愚かさの継続であると主張することができるが、そのようなケースを作る誰もが、オバマが状況をさらに不安定にする紛争を拡大したことを認めるべきである。2011年、彼と当時の州務長官ヒラリークリントンは、リビアで「軍事介入」を行うことを決定しました。数年後2016フォックスのインタビューで、オバマ氏は語った  リビア軍事介入の取り扱いは彼の「最悪の過ち」だった  今日は、石油の豊富なリビアはライバル政府間の暴力的な混乱分割、各影響を画策外国の配列に裏打ちされていますリビアの資源の管理。国連の声明によると、失敗した国は、持続的な停戦に到達するための長い努力を続けています。 

2017年初頭のオバマ大統領の遺産を振り返ると、ガーディアン紙は2016年だけでもオバマ政権は少なくとも26,171発の爆弾を投下したと報告した。これらの空襲のほとんどはシリアとイラクで発生しましたが、アフガニスタン、リビア、イエメン、ソマリア、パキスタンでも米国の爆弾が投下されました。これらの7つの国はすべて、人口の過半数がイスラム教徒である人口を抱えています。これらの爆弾で殺された民間人の数に関しては、数千人になる可能性があります。政権と主流メディアの両方が、政権の失敗した介入の民間人の犠牲についてほとんど沈黙していたので、我々は決して知りません。

シリアの問題に戻ると、現在、約100万人のシリア人がシリア北部のイドリブの壁に背を向けています。国連人道問題調整事務所は、 12月1日以降に避難した民間人の数 700,000 人と報告してい  ます。これらの民間人は閉じ込められており、人口は今やトルコと戦うシリア・ロシア同盟、トルコの代理ジハード主義者、テロ集団ハヤト・タハリール・アル・シャムを含む三者戦争の爆弾に巻き込まれています。

シリアとロシアの軍隊はこれらの人々を爆撃していますが、トルコは彼らがトルコの問題になると彼らが国境を越えることを部分的に許可しません。問題に加えて、欧州連合は彼らもそれを望んでいないことを示している。状況は、アメリカとトランプ政権がトルコとその大統領タイド・エルドアンを支持しているほとんど奇妙な状態に悪化しました。これは間違いなく天国で行われた結婚ではありません。過去数年間、トルコはクルド人を打ち負かし、ロシアとアメリカを相手にしながら、ギリシャとユーロ圏に常に依存してきました。

 

 

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人々は恐ろしいキャンプに逃げました

戦いから逃れた人々は恐ろしい状況に苦しんでいます。YouTubeビデオは、右の写真にリンクされています。写真をクリックすると、雪に覆われた難民キャンプの恐ろしい状況を示すドローン映像が表示されます。母親とその子供たちが暑さもなく、食べるのに十分な薄っぺらなテントに住んでいる間、雪が田舎を覆っています。

適切な衛生設備なしで、寒くて空腹の泥の中に住むことは理想とはほど遠い。子どもたちには本当の学校はなく、人々は苦しむこと以外にはほとんどすることがありません。さらに悪いことには、男性は仕事がほとんどないか、お金を稼ぐ方法がありません。難民キャンプでの生活は、物事が良くなるまで生き残ろうとしているだけです。これらのほとんどは、私たちが鍋をかき混ぜる前に自分の人生をやりたいと思っていた幸せな中流階級の人々であったことを覚えておくことが重要です。

私は2012年にシリアについて書き始めました。その時、私は国が転換点を過ぎ、内戦に直面していると予測しました。当時、シリアの紛争の両側に武器を供給するために軍隊が列を作っていました。これは火を燃やし、非常に危険で致命的なゲームでシリアの人々をポーンに変えました。リビアのように、影響力と支配を求めて競馬をしている外国のパレードは、その地域に武器と戦闘機を注ぎ込んでおり、代価を払っているのは地域の人々です。

彼らの政府は完璧でしたか?いいえ、しかし、彼らは現在彼らが存在することを強制されている条件下で生きていませんでした。事態を悪化させるために、悪は引き締められると予想されます。シリアは、他の国々の情勢に干渉することの結果のほんの一例です。残念なことに、他人の問題に侵入したアメリカの歴史は広まっています。これらの人々が暗い未来に直面していると言うことは、世界が彼らを助けるためにほとんど何もしていないため、控えめな表現である可能性が最も高い。私たちのような友人の場合、これらの郡はより多くの敵を必要としないと言えます。

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忘れないように–ヒラリー・クリントン:イスラエルのためにシリアを破壊しなければならない

2020年02月25日 | シリア

この記事は元々2018年に公開されました。

漏洩したヒラリー・クリントンの電子メールは、ヒラリーを指揮するオバマ政権がイスラエルに利益をもたらすためにシリアで内戦を組織したことを確認しています。 

ウィキリークスの新しいリリースは、当時の国務長官がシリアを戦争を命じて政府を転覆させ、アサド大統領を「イスラエルを助ける最善の方法」であると主張していたことを示しています。

Newobserveronline.comのレポート:

この文書は、2009年から2013年までに国務長官を務めていたクリントンのプライベートメールサーバーに対する騒動に続いて、ケース番号F-2014-20439、文書番号C05794498で米国国務省によって分類されていない多くの文書の1つでした。。

Wikileaksのトランスクリプトは2000年12月31日に電子メールを作成しましたが、電子メールの内容(特に2012年5月のイスタンブールでの核プログラムに関する西側との対話に関する言及)が示すように、これは一部の誤りですメールは実際には2012年12月31日に送信されました。

このメールは、シリア政府を暴力的に転覆することは当初から米国の政策であったこと、そして特にイスラエルの利益のためにこれを行うことを明確にしています。

「イスラエルが増大するイランの核能力に対処するのを助ける最良の方法は、シリアの人々がバシャール・アサド政権を打倒するのを助けることです」とクリントンはすぐに言った。

米国のすべてのintelligence報レポートはイランの「原子爆弾」プログラムをデマとして長い間却下していたが(国際原子力機関によって裏付けられた結論)、クリントンはイスラエルの名の下にシリアを破壊する「正当化」するためにこれらの嘘を使い続けている。

彼女は、イランの「原子爆弾」プログラムが中東の核兵器に対するイスラエルの「独占」を脅かしていると彼女が言うので、彼女は特にイランの神話的な原子爆弾プログラムをシリアにリンクします。

イランが核兵器を取得した場合、クリントンは、これにより、シリア(およびサウジアラビアやエジプトなどの他の「イスラエルの敵」)が「同様に核に行く」ことができ、そのすべてがイスラエルの利益を脅かすと主張する。

したがって、クリントンは、シリアが破壊されなければならないと言います。

イランの核計画とシリアの内戦は無縁のように見えるかもしれませんが、そうです。イスラエルの軍事指導者が本当に心配しているのは、話すことはできませんが、核の独占を失っていることです。

イランの核兵器能力は、その核独占を終わらせるだけでなく、サウジアラビアやエジプトのような他の敵にも同様に核に行くよう促すことができます。結果は、イスラエルが今日のようにシリアとレバノンに対する従来の軍事攻撃で挑発に対応することができなかった不安定な核収支になります。

イランが核兵器国のしきい値に達すると、テヘランはシリアとヒズボラの同盟国にイスラエルを攻撃することをはるかに容易に見つけるでしょう。

クリントンは、「イランとシリアのバシャール・アサド政権との戦略的関係」が、イランがイスラエルの安全を損なうことを可能にしていると続けています。

「イランとイスラエルの30年にわたる敵意の中で」これは決して起こらなかったが、「プロキシ」と言われているので、これは「直接攻撃」では起こらない、とクリントンは認める。

アサド政権の終Theは、この危険な同盟を終わらせるでしょう。イスラエルの指導部は、なぜアサドを破ることが今や利益になっているのかをよく理解しています。

アサドを倒すことはイスラエルの安全保障にとって大きな恩恵であるだけでなく、イスラエルが核独占を失うという理解できる恐怖を和らげるでしょう。

その後、イスラエルと米国は、イランのプログラムが非常に危険で軍事行動が正当化される可能性があるという共通の見解を発展させることができるかもしれません。

クリントンは、バシャー・アサドを「そして彼の家族」を暴力で直接脅かすことは「正しいこと」であるという資産に進みます。

要するに、ホワイトハウスは、シリアで正しいことをすることで、イランをめぐるイスラエルとの緊張を和らげることができます。

彼の人生と家族が危険にさらされているため、シリアの独裁者バシャール・アサドの心を変えるのは、脅威または武力の行使だけです。

このメールは、あたかもそれ以上の証拠が必要であるかのように、米国政府が中東でのテロの成長の主要なスポンサーであり、すべてイスラエルを「保護」するためであることを証明しています。

また、現在ヨーロッパを破壊する恐れのある「難民」危機は、シリアの内戦から逃れている本物の難民がいる限り、この米国政府の行動によっても直接引き起こされたと考えるのも落ち着いた考えです。

さらに、クリントンとオバマ政権が「反政府勢力」を支援し、シリアでの戦争の火を焼いたおかげで、イラクに広がったシリア紛争で25万人以上が殺されました。

何百万人もの人々に死と惨めさを負わせたクリントンのようなサイコパスが次のアメリカ大統領になる可能性は、本当に衝撃的な考えです。

クリントンが大統領に選出された場合、彼女は「イスラエルとの関係を次のレベルに引き上げる」と公に主張し、彼女を決定的にマークし、イスラエルを中東の一部のアラブ諸国だけでなく、あらゆる平和の敵としてマークします。地球上の人々を愛しています。

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