石ころ

心に在るキリスト像(Ⅰ) マルコ9章




 ペテロの告白の真実を見せようとイエスさまは、彼らを山に伴われ神のキリストの御姿を見せてくださった。
ペテロと、ヨハネ(彼には将来、天の御国を見るための備え)と、ヤコブを伴われたのは証人としてである。一人で非現実的なものを見ても、夢まぼろし・・と理解できないことを脳は消去しようとする可能性があるからである。まだ聖霊の助けがないペテロにとって証人が必要なのだ。
また、モーセ、エリヤを見せられたのは、旧約からの約束のキリストの証明である。

ペテロが主人公だったが、彼にはまだ何も分かっていなかった。
聖書を読み始めて的外れな理解をすることもあるが、主を知ることを求め続けるならたとえどんなに無学な者にも導いてくださる。今私たちに居てくださる聖霊は、主を知ることの助け主だから。

 さて、山を降りながら、イエスは彼らに、人の子が死人の中からよみがえるときまでは、いま見たことをだれにも話してはならない、と特に命じられた。
そこで彼らは、そのおことばを心に堅く留め、死人の中からよみがえると言われたことはどういう意味かを論じ合った。


主は、知る必要のある者の必要を満たされる。だから、重要なことであればなおさらに、時の必要によって語るようにされ、必要の無い所で語ることは禁じられる。それは議論のネタではないのだ。
彼らは「論じ合った」とある。まだ誰も知ることのないことを人と論じ合っても無益である。

彼らは、イエスさまと論じ合うことによって成長できるのだ。私たちが論じ合うのも主である。そこではすべてを祝福としてくださる。主を知ることは永遠の祝福である。
「さあ、来たれ。論じ合おう。」と主は仰せられる。(イザヤ1:18)

 山を下りて帰ってこられたイエスさまを待っていたのは、律法学者たちと論じ合っている弟子たちであり、おしの霊に憑かれた子を取り囲む群衆であった。

お弟子たちに、霊を追い出してくださるようにお願いしたのですが、お弟子たちにはできませんでした。」
イエスは答えて言われた。「ああ、不信仰な世だ。いつまであなたがたといっしょにいなければならないのでしょう。いつまであなたがたにがまんしていなければならないのでしょう。その子をわたしのところに連れて来なさい。」


イエスさまを嘆かせた「不信仰」とは、弟子が癒せなかったことに対してではない。癒せなかったことを論じ合って誤魔化そうとしていた弟子の態度である。
「この種のものは、祈りによらなければ、何によっても追い出せるものではありません。」とイエスさまは言われた。それは子の父がイエスさまに叫ぶ祈りの必要である。

イエスはその子の父親に尋ねられた。「この子がこんなになってから、どのくらいになりますか。」父親は言った。
「幼い時からです。この霊は、彼を滅ぼそうとして、何度も火の中や水の中に投げ込みました。ただ、もし、おできになるものなら、私たちをあわれんで、お助けください。」


「もし、おできになるものなら」という言葉に「なんと不信仰な・・」と思うが、私たちが問題を前にした時に心の中で言っている言葉でもある。

するとイエスは言われた。「できるものなら、と言うのか。信じる者には、どんなことでもできるのです。」
するとすぐに、その子の父は叫んで言った。「信じます。不信仰な私をお助けください。」

人の本性に信仰は無い。「信じます。不信仰な私をお助けください。」と叫びつつ信じることを選びとるのである。

その霊は、叫び声をあげ、その子を激しくひきつけさせて、出て行った。するとその子が死人のようになったので、多くの人々は、「この子は死んでしまった。」と言った。
しかし、イエスは、彼の手を取って起こされた。するとその子は立ち上がった。


不信仰の中で育ち、幼い頃から悪霊に支配されていた子に対する問題の解決は単なる癒しではなく、弟子にはできないことであった。
信仰によって親子は生まれ変わった。彼らに必要なのはキリストとの出会いであった。
だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。(Ⅱコリント5:17)

出来ないことを認め、自分を空っぽにして主を待つことは主を喜ばせる信仰である。議論に持ち込んで誤魔化してしまっては、そこに祈りもなく必要を求める叫びも生まれない。その時主は、「ああ、不信仰な世だ。いつまであなたがたと一緒にいなければならないのか」と嘆かれるのである。
つまりそこには、いつまで一緒にいても何の成長もないからである。

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