オリンピックに阻まれて、完全に影が薄い高校野球。でも例年と違わず、爽やかな汗、泥、涙の青春だ。
「ひゃくはち」は甲子園常連の強豪校が舞台の映画。
だが主人公は補欠。爽やかな青春の甲子園の裏舞台では、煩悩が渦巻いている。
どんなに努力しても頑張っても、才能溢れる特待生達に叶うはずなく、監督からの扱いも最初から違う。情熱や信念だけでは望みは叶わないという厳しさ。少しでも可能性があるなら友情さえ犠牲にしてもかまわないというすがるような思いが、ものすごくリアルで胸が詰まった。
ただ主人公は自分の役割を全うし、最後まで笑わせてくれた。そこがまた切なくて、思わず泣き笑いしてしまった。
誰しも日常を振り返ると重なる物があるのではないだろうか。望んでも決して叶わない、けれど自分なりに全うしたこと。
このときの願いは直接は叶わなかったけれど、その必死な思いや仲間との絆は、将来きっとどこかで必ず生きてくる。そう思わせてくれるラストだった。
この「ひゃくはち」、ポニョとか花男とかポケモンとかのすごい人だかりに比べて地味だったが、私の中では今年一番の映画。
ちなみに去年の一番は「キサラギ」。明日地上波で放映されますね。