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ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

「空飛ぶタイヤ」 読み応えあり、読後感も良し、リアルな企業小説

2009-07-23 18:05:41 | 小説

トラックのタイヤ脱輪事故で、幼い子供を残して母親が死亡。トラックの運転をしていた赤松運輸は、車両整備不良ということで社会的に責めを負う。主要取引先が去り、銀行から融資を引き上げられ、社員も転職していく苦しい状況の中、整備に不備がないと信じる赤松は、大企業ホープ自動車の欠陥隠しに立ち向かっていくのだった……

下敷きは三菱ふそうのリコール隠し。ここまであからさまに事情を語ってしまっていいの というくらい大自動車会社の腐敗に迫っている  一応フィクションではあるのだが。

悪役はもちろん大自動車会社。けれど、その中でも品質管理部という事故の調査をする部に所属する社員や、クレーム対応に当たる社員のそれぞれの事情、気概。事故を起こしてしまった悲劇に立ち向かう一中小運送会社社長の苦悩。更に自動車会社とグループ企業であるがゆえに持ちつ持たれつの銀行の中でも、それに違和感を感じる銀行員のプライド

こんな様々な視点から、とてもわかりやすい文章で、大がかりで悪質なリコール隠しがだんだんと暴かれていく様子が描かれる。それはもう骨太でスリリングで切なくてリアル

作者は元銀行員という経歴の池井戸潤さん。企業を見る目がとても客観的な感じがするのも、銀行の事情に詳しかったりするのもうなずける。そしてときどき差し挟まれる例えが、とても効果的で洒落ている

かなりボリュームがある本ではあるが、読み出したら止まらない それほどに先に進みたくなる。考えさせられる。何もかもを放り出して没頭したくなる面白さ ラストも期待通りの読後感の良さがある

ちなみに最近wowowでドラマ化されたとか。
これは見たい
主役の赤松運送社長は仲村トオル。大自動車会社のクレーム窓口で、腐った企業倫理に振り回される社員に田辺誠一。グループのもたれ合いに疑問を投げかける銀行員に萩原聖。リコール隠しの黒幕に國村隼
このキャスティングを見ただけでワクワクする  DVDになったら即見ですね