ディック・ヘクストール=スミス Richard Malden "Dick" Heckstall-Smith
【パート】
テナー・サックス、ソプラノ・サックス、バリトン・サックス、クラリネット、ピアノ
【生没年月日】
1934年9月26日~2004年12月17日(70歳没)
【出生地】
イングランド シュロップシャー州ラドロー
【経 歴】
アレクシス・コーナーズ・ブルース・インコーポレイテッド/Alexis Korner's Blues Incorporated(1962~1963)
グラハム・ボンド・オーガニゼイション/Graham Bond Organisation(1963~1967)
ピート・ブラウン & ヒズ・バタード・オーナメンツ/Pete Brown & His Battered Ornaments(1960年代中頃)※サポート・メンバー
ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ/John Mayall & The Bluesbreakers(1967~1968)
ワインダー・K. フロッグ/Wynder K. Frog(1968)
コロシアム/Colosseum(1968~1971、1994~2004)
ニュー・ジャズ・オーケストラ/The New Jazz Orchestra(1969~1970)
スウィート・ペイン/Sweet Pain(1969)
マンチャイルド/Manchild(1972)
フェイマス・ブルース・ブラスターズ/The Famous Bluesblasyers(1979~1981)
メインスクイーズ/Mainsqueeze(1981~1984)
3スペース/3 Space(1983~1986)
デラックス・ブルース・バンド(1980年代)
ハンブルグ・ブルース・バンド/Hamburg Blues Band(1982~2004)
ブロドウィン・ピッグ/Blodwyn Pig(1988~1989)
リンクス/Links
イングランドのサックス奏者。
ロック黎明期の1960年代から1970年代にかけて、当時のイギリスにおける主要なブルース、あるいはジャズ系のグループで活躍した。
コロシアムの創設メンバーのひとりである。
1934年、イングランドのシュロップシャー州ラドローで生まれ、ラドナーシャー州ナイトンで育つ。
幼い頃からクラリネット、ピアノを習っていたが、15歳の時にシドニー・ベシェを聴いてソプラノ・サックスを吹き始める。その後はレスター・ヤング(tenor-sax)やワーデル・グレイ(tenor-sax)から大きな影響を受けた。
スコットランド北部の名門寄宿学校であるゴードンストウン・スクール、次いでダーティントン・ホール・スクールを経てシドニー・サセックス大学に入学。大学ではジャズ・バンドの共同リーダーのひとりとして活動する。
大学を卒業すると拠点をロンドンに移し、本格的な音楽活動を始める。当時のロンドンのジャズ・シーンに積極的に関わり、1957年には「Dick Heckstall-Smis Quartet」名義でEPをリリースしている。
1962年、アレクシス・コーナーのブルース・インコーポレイテッドに参加。これを契機にブルースやロックに急速に接近するようになる。
1963年10月、ジャック・ブルース(bass)やジンジャー・ベイカー(drums)が在籍しているグラハム・ボンド・カルテットに加入。(ヘクストール=スミス加入直後にバンドは「グラハム・ボンド・オーガニゼイション」と改名)
1966年5月、グラハム・ボンド・オーガニゼイションにジョン・ハイズマン(drums)が加入。ハイズマンとはのち長い年月にわたって行動を共にすることになる。ハイズマンとヘクストール=スミスの共演は、アルバム「Solid Bond」で聴くことができる。
1967年7月、ジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズに加入。当時のブルース・ブレイカーズはジャズへの傾倒を深めている時でもあり、ヘクストール=スミスの加入はバンドに大きな影響を与えた。
1968年4月、ブルース・ブレイカーズにハイズマンとトニー・リーヴス(bass)が加入。ヘクストール=スミス、ハイズマン、リーヴスの演奏は、1968年6月に発表された「ベア・ワイアーズ」で聴くことができる。
1968年8月、ハイズマン、リーヴスとともにブルース・ブレイカーズを脱退し、コロシアムの創設に参加する。
同時に、ハイズマンやリーヴスとともに「ニュー・ジャズ・オーケストラ」の一員としても活動を続ける。
1969年には半ば伝説と化しているブルース・セッション・プロジェクト「スウィート・ペイン」(Sweet Pain)に参加している。
コロシアムでは演奏はもちろん作曲でも能力を発揮、また同時に2本のサックスを吹くというパフォーマンスでも知られた。
コロシアムは、ブリティッシュ・ロック界においては重要なジャズ・ロック・グループとして見なされており、ヘクストール=スミスも主要メンバーとして活躍したが、ライヴ・アルバムを含めた4枚のアルバムを残して1971年10月に解散した。
ヘクストール=スミスは、コロシアム解散後の1972年3月から4月にかけてソロ・アルバム「ア・ストーリー・エンデッド」を制作。1972年7月にリリースされたこのアルバムには、ジョン・ハイズマンをはじめ、クリス・ファーロウ、デイヴ・グリーンスレイド、マーク・クラークらコロシアム時代のバンド・メイトのほか、グラハム・ボンド(keyboard, vocal)、クリス・スペディング(guitar)、ゴードン・ベック(piano)、ポール・ウィリアムス(vocal)ら錚々たるメンバーが参加している。
ソロ・アルバム発表後には、ジェームス・リザーランド(guitar, vocal 元コロシアム)、デイヴ・ローズ(keyboard)、ビリー・スミス(bass)、セオドア・サンダー(drums)とともに「マンチャイルド」を結成している。
1973年、社会科学を学ぶためにロンドンのサウスバンク大学に入学、1970年代後半まで音楽活動を休止する。
1979年、ザ・フェイマス・ブルース・ブラスターズ(The Famous Bluesblasters)に参加して音楽界に復帰。このバンドはブルースブレイカーズやスウィート・ペインでのバンド・メイトであるベーシストのキース・ティルマン(Keith Tilman)らと結成したもので、1981年には「メインスクイーズ」に発展する。
そのほか「マンチャイルド」「ビッグ・チーフ」など、さまざまなジャズあるいはフュージョン・ユニットでフロント・マンを務めた。
1982年にはドイツの「ハンブルグ・ブルース・バンド」に参加。
1983年にはジョン・ジェームス(guitar)、デイヴ・ムーア(keyboard)と「3スペース」を結成、1986年まで活動した。
1988年12月、ミック・エイブラハムズ(guitar, vocal 元ジェスロ・タル)が1988年12月に再結成した「ブロドウィン・ピッグ」に加入。
1994年、再始動したコロシアムに参加。
2001年、オールスター・プロジェクト『Blues and Beyond』の録音に参加し、ジョン・メイオール、ジャック・ブルース、ミック・テイラー、ピーター・グリーン(guitar 元John Mayall & The Blues Breakers, Fleetwood Mac)らと久しぶりに共演した。
アルバム「Tomorrow's Blues」のレコーディング中に体調を崩し、療養生活に入る。
その後はガンのため入退院を繰り返し、2004年12月17日に急性肝不全に伴う合併症のため死去した。
2005年に追悼ライヴが行われ、コロシアムをはじめ、ジャック・ブルース、ゲイリー・ムーアらが参加した。
【ディスコグラフィ】(☆=ライヴ・アルバム ★=コンピレーション・アルバム)
<ソロ・アルバム>
1972年 ア・ストーリー・エンデッド/A Story Ended
1991年 Woza Nasu
☆1991年 Live 1990(with ジョン・エサリッジ、レイナー・グラス、ジョー・ネイ)
1991年 Where One Is
1995年 Celtic Steppes
1995年 This That(with ジャック・ブルース、ジョン・スティーヴンス)
1995年 Bird in Widnes(with ジョン・スティーヴンス)
1998年 On the Corner/Mingus in Newcastle(ヘクストール=スミス & リチャード・フット)
1998年 Obsession Fees(with ジェン・エサリッジ・グループ)
2001年 Blues and Beyond
2002年 Woza Nasu
2007年 From Clarksdale to Heaven -Remembering John Lee Hooker(with Tony McPhee, Dave Clempson/2曲)
<アレクシス・コーナーズ・ブルース・インコーポレイテッド>
1962年 R & B From Marquee
1964年 Red Hot From Alex
1965年 Alxis Korner's Blues Incorporated
<アレクシス・コーナー>
1969年 This is Alexis Korner
1972年 Bootlrg Him!
<グラハム・ボンド・オーガニゼイション>
1965年 ザ・サウンド・オブ ’65/The Sound of '65
1965年 ゼアズ・ア・ボンド・ビトゥイーン・アス/There's A Bond Between Us
☆1978年 At the Beginning(1964年10月のライヴ)
<ジョン・メイオール & ザ・ブルースブレイカーズ>
1968年 The Diary of A Band Volume 1
1968年 The Diary of A Band Volume 2
1968年 ベア・ワイアーズ/Bare Wires
<コロシアム>
1969年 コロシアム・ファースト/Those Who Are About to Die Salute You(UK15位)
1969年 ヴァレンタイン組曲/Valentyne Suite(UK15位)
1970年 ドーター・オブ・タイム/Daughter of Time(UK23位 ドイツ36位)
☆1971年 コロシアム・ライヴ/Colosseum Live(UK17位 オーストラリア48位)
☆1995年 LiveS The Reunion Concerts 1994
1997年 Bread & Circuses
2003年 Tomorrow's Blues
☆2003年 コロン1994-リユニオン・コンサート/Live Cologne 1994
☆2003年 The Complete Reunion Concert
<The New Jazz Orchestra>
1969年 Le Déjeuner Sur L'Herbe
☆2008年 Camden '70
<スウィート・ペイン>
1969年 Sweet Pain
<グラハム・ボンド>
1970年 ソリッド・ボンド/Solid Bond
<Main Squeeze>
1983年 The International Blues Rock Revue
1986年 Hey...Bo Diddley In Concert(with Bo Diddley)
<Mike Reinhardt Sextett with Dick Heckstall-Smith>
1987年 Back In Town
<Links>
1992年 Links
1995年 New Reasons to Use Old Words
2002年 May Days
<Hamburg Blues Band>
☆1989年 Live
1996年 Real Stuff
1999年 Rollin'
2001年 Touch(Mike Harrison meets The Hamburg Blues Band)
2013年 Friends for A Livetime
<レコーディング・セッション>
・ジャック・ブルース
1969年 ソングス・フォー・ア・テイラー/Songs for A Tailor(UK6位, US55位)
1970年 シングス・ウィ・ライク/Things We Like
★1972年 アット・ヒズ・ベスト/At His Best
1994年 Cities of the Heart
1997年 The Slab Boys Original Soundtrack
・チキン・シャック
1968年 Forty Blue Fingers Freshly Packed and Ready to Serve
・ワインダー・K. フロッグ
1968年 Out of the Frying Pan
・デイヴィー・グラハム
1968年 Large As Life and Twice As Natural
・ロコモーティヴ
1970年 We Are Everything You See
・Guido Toffoletti's Blues Society
1985年 No Compromise
・アレクシス・コーナー & フレンズ
1979年 The Party Album
・Brian Knight
1981年 A Dark Horse
・Big Chief
1997年 It Don't Make Sense
・Mike Willox
2002年 The Big Picture
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