むかし,むかし,あるところに,鳥が大好きなジジとそのジジを大好きなバァバが,ふたり,仲良く暮らしていました。
ある日,ジジが,ある沼に行ったところ,水鳥たち親子の仲睦まじい光景に出会いました。
その光景は,見る人の心を,ほっこりと温め,幸せにしてくれるものでした。
そこで,ジジは,この光景を,バァバにも,ぜひ見てもらって,幸せな気持ちになってもらおうと考えました。
さっそく,翌朝,バァバを連れて,沼へ。
ジジとバァバ,ふたり並んで,しばらく歩いて行くと,いた,いた。
鏡のような水面に,朝日を浴び,3羽の子を連れた水鳥母さんが,いました。
3羽のうち1羽は,母さんにおんぶされています。
甘ったれている感じが,良きかな,でした。
こどもたちは,すっごく,めんこです。
父さんも,近くにいて,潜っては,小さな魚を捕って,こどもたちに与えています。
父さんが,こどもに魚を与える光景が,親子の絆を感じさせてくれます。
そう,そう,ジジは,こんな光景を,バァバに見せたかったのです。
おかげさまで,バァバもご機嫌です。
この沼では,他の何組かの親子も見ることができるので,先に進みます。
ここまでは,誰もいなかったのですが,先には,大きな望遠レンズ付きの写真機を持った人がいました。
ず〜っと前であれば,鳥好きの仲間と思って声をかけたところですが,「鳥」ではなく,「撮り」に特化した人が増えてしまったので,ジジは,近年,できる限り,近寄らないようにしています。
それを知らなかったバァバは,ハスの上を飛ぶヨシゴイを眺めながら,「へぇ〜,ここにもヨシゴイいるんだぁ。」 などと,無邪気に語りながら,歩いて行くと,何やら話しかけられました。
その後,急に,機嫌が悪くなります。
どうも,「動くと鳥が飛ぶから,動くな。」 みたいなことを言われたようです。
はて
バァバに話しかけてきた相手は,人の形をした妖怪,ヨシゴイジジイでした。
この妖怪による 鳥(撮り)ハラスメント 炸裂 で,楽しい気分が霧散です。
言った方は,すぐに忘れるレベルと想像しますが,言われた方のダメージは別です。
バァバ曰く。
「初対面だよ。全く知らない人に,いきなり,そんなこと言う? 失礼でしょ。信じられない。」
はい,信じられないことをするのは,妖怪だからです。
この妖怪は,言っている相手が,見かけによらない高名な鳥類学者かもしれない,とか,孫がお世話になっている学校の校長かもしれない,とか,そんなことを想像できる能力が欠如しています。
事実,そんなことを言う妖怪より,バァバの方が,実はず~っと経験豊かかもしれません。
大学の野鳥サークルに入って,鳥を始めたのは,45年も前ですから。
「私を女だと思ってバカにしている。他にも人がいるのに,なんで私にだけ言う?」
バァバのおっしゃるとおり。
完全にあなどられていたようです。
こういう妖怪は,ずるいので,相手を値踏みして,物を言います。
相手が自分より上と思えば,礼儀正しくなるどころか,ヘイコラするに違いありません。
魚釣りの人も多く訪れる沼なのですが,その人たちにも同じことを言っているとは思えません。
この妖怪を,ク○ジジイ,もとい,うん○お爺さま,と,言いたくなる気持ちは,誰とでも,共有できるかも知れません。
「鳥は飛ぶでしょ。飛ぶのは当たり前でしょ。」
これも,そのとおり,バァバのおっしゃるとおりです。
鳥は飛ぶものです。
たぶん,飛ばすように,警戒心をぎりぎりまで高め,追い詰めたのは,あなた,妖怪自身です。
鳥に大砲を向け,プレッシャーをかけている妖怪が,飛ばすな,みたいなことを言うのは筋違いです。
姿を,しかも,立ち姿を晒して撮影する行為自体,鳥に圧をかけていることを,この妖怪は自覚することができません。
申し訳なくも,撮らせていただいている,という謙虚な気持ちがわずかでもあれば,見ず知らずの他人を,自分の言うことに従わせようとするような,傲慢な物言いは,できるはずもありません。
自分勝手なルールを作って,他人を従わせようとする自己中妖怪は,昔っからいましたが,ジジの経験では,関東圏限定でした。
撮り屋が増殖する前までは,東北には,そんな妖怪は棲息しておらず,皆,仲間として,仲良く鳥見し,助け合ってもいました。
それがジジの東北人としての誇りでした。
ジジは残念でたまりません。
愛する地元に,こんな妖怪がいたなんて・・・。
ヨシゴイ本人も,顔を赤くしていました。
一方,バァバの怒りは収まらず,気持ちの持っていき場がない様子です。
バァバを喜ばせようと連れてきたジジも,バァバに申し訳なく,しょんぼりです。
楽しい休日になるはずの1日の始まりに,自己中の妖怪に,ハラスメントさせてしまい,ジジの大切なバァバを傷つけてしまいました。
繰り返すけれど,言われた方の気持ちは,言われた方しかわかりません。
なんてこと無いのに,なんでそんなに反応するの,なんては,思わないでほしいです。
なんてこと無いのに,なんでそんなに反応するの,なんては,思わないでほしいです。
その後,めげずに,別の種類の水鳥親子を観察して,癒されて,少しは回復。
水面近くを飛んでいたツバメたちも,尾羽が短い巣立ち雛たちでした。
この沼は,残念ながら,妖怪が取り憑いてしまったようですが,沼自体は,多くの種類の鳥たちが子作り・子育てをする,豊かで,とっても良い環境のようでした。
いっそ,鳥の撮影を禁止にすれば,もっと平和になるかもしれません。
沼を後にしてからは,海辺の町に行き,晩酌のあてに,バァバの大好物のウニを大量に購入し,バァバの趣味である道の駅スタンプラリーも,御朱印集めもしました。
お昼も,こんなに豪華にしました。
おかげで,バァバのご機嫌は,一見,直ったようにも見えましたが,あったことを消すことはできませんし,傷ついた心は治りません。
嫌な思い出が染み付いてしまったので,この日以降,ジジがなんぼ誘っても,バァバは,この沼に近寄ろうとしなくなりました。
...,とさ。
お終い。
今回の記事はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。
その気持ちが何よりだったかと想います。
私も時にここはみんなが憩える場所ですよ~
そう言いたくなるお方に遭遇します。
三脚を立てて、長い時間そこから動かないお方
その場所、少し代わってもらって良いですか~(*´▽`*)
私は満面の笑顔でお願いします。
怪訝そうに見られますが・・・素敵な場所はひとり占め、いけませんよね。
鳥のそばでは会話禁止何て言う決まりもないし、ジジの優しい気持ちの方がずっと大切。
ウニ~♪ 私も大好物です。
気持ちの半分ぐらいは回復できたでしょうか~
言葉は使い方でいくらでも伝えられるのに、暴言を吐くお方にはカワイイ親子の鳥の写真は撮れません。
今日の親子鳥 ほんとうに可愛くて、きっとジジさんとバァバさんが育んできた水辺のようですね~(*´▽`*)
今回も,優しいコメントをいただき,ありがとうございます。
バァバは全然大丈夫です。
なんせ,フィクションですから。(笑)
このブログ記事を読んで,「名作だ!」と言っていました。すっきりしたようです。
フィクションなんですけど...。(^^)