この妖怪は,言っている相手が,見かけによらない高名な鳥類学者かもしれない,とか,孫がお世話になっている学校の校長かもしれない,とか,そんなことを想像できる能力が欠如しています。
撮り屋が増殖する前までは,東北には,そんな妖怪は棲息しておらず,皆,仲間として,仲良く鳥見し,助け合ってもいました。
それがジジの東北人としての誇りでした。
なんてこと無いのに,なんでそんなに反応するの,なんては,思わないでほしいです。
鳥見をしていると,鳥が他の生き物を捕食している場面と,たびたび出会う。
昨日の記事に,アカエリカイツブリの換羽が進んでいない,と書いたが,ほかのカイツブリ類は,夏羽に移行してきている個体も見られるようになってきている。
誰もこんなとこに注目しないだろうし,ましてや,撮影しようなんて人はいないだろうなぁ,とは思う。
今年の節分は2月3日。
今は大寒の真っただ中。
それでもフィールドに出ると,鳥たちが春を教えてくれる。
すっかり婚姻色になったカワウ。頭が白くなり,翼の付け根に白い斑ができた。
うれしくなって,ついレンズを向けてしまう。
ハクセキレイも。
冬の装いだった背中のグレーが,夏の装いの黒に変わりつつある。
まだ,まだら模様なのがかわいい。
下は,セグロセキレイとバトル中。
この子も,やっぱり,まだら模様だった。
ハクセキレイはどこにでもいるので,通勤時など,こういう背中を街なかで見かけると,ほっこりとした気持ちになる。
フィールドでは鳥たちのさえずり練習も始まっていた。
聞こえてきたのは,シジュウカラ,ホオジロ,ヒバリ,…。
サギたちも飾り羽が出てきた。
そういえば,アオサギのくちばしは今どんな?
近いうちに見てこなくっちゃ。
(2024/01/26 カワウ,2024/01/28 ハクセキレイ)
基本,鳥見人は迷惑人と思う。
鳥を見に行くこと自体,鳥にプレッシャーを与える行為だと思っているし,写真を撮ろうと鳥に近づくと,さらにプレッシャーを与えることになる。
個人的には,◯◯ツアーなど,集団で鳥を見に行く行為もどうかと思っている。
営巣や子育ての光景を撮影しようとするなど,繁殖に影響を及ぼすような行為は「迷惑」の範疇を超えている。ネットなどで,親鳥が子どもたちに餌を与えている画像を見ることがあるが,あまり愉快ではない。カメラマンが集団で巣の前に陣取ったことにより,巣を放棄させ,その年の繁殖を失敗させた,という話も聞く。
そこまでして子育て写真を撮りたいのか。撮った写真をどうするつもり?
ネットに上げてそういう行為の連鎖作り?
北海道で息子と鳥見をしていたときのこと。クマゲラの子育て写真狙いだったのだろう,大勢のカメラマンが,三脚に乗せた大砲を一方向に向けている光景に出会ったことがある。あさましい。論外。
また,フィールドが農地の場合,農作業の妨げになることもあるし,田んぼに車を落としたら最悪。港の場合も,時間帯などによっては漁業者の作業の迷惑になる。
誰もが公平に利用できるはずの公園に,三脚を持ち込んで,集団で長時間場所を占有するのもどうかと思う。人家の近くで双眼鏡やカメラを使ったりすると大迷惑だ。
そう考えると,残念ながら,鳥見行為(特に撮影行為)は,地元の方々の寛容さ,或いは,「我慢」の上に成り立っている部分もあるかもしれない。
私=鳥見人
鳥見人=迷惑人
∴ 私=迷惑人
そう自覚し,しっかりそれを意識して行動しなければダメだと思う。
鳥に対しても,人に対しても。
「ご迷惑をおかけして申し訳ないが,ありがたくも見させていただいている」という感謝の気持ち。
忘れないようにしなくては。
ホント,鳥見人は迷惑人なので。
なんで急にこんなことを書いているのか,というと,あるフィールドで,複数のカメラマンの車が農作業の妨げとなり,通報されて,複数のパトカーが出動する事態となったから。
現場で,パトカーが来て,カメラマンたちに何か話していたのは見ていたが,その中身を知ったのは,後日,X(旧Twitter)の記事を見て。その時点では何か別の理由と思っていたので,ショックだった。
人が集まったのは,珍しい鳥が出ていたからだが,それは一般社会では正当な理由にならない。何台も連なって長時間農道に駐車していたのは,まずかったと思う。
「過ぎたるは及ばざる」ではなく「過ぎたるは大迷惑」だった。
(水路を挟んだ土手の上から撮影&観察したもの ↑)
他人事ならず,広い田畑を探鳥するときは,私も車を使うことが常となっているし,鳥に姿をさらしたくないので,車をブラインド代りに鳥を撮影することも,いつもやっている。
今回はたまたま直接注意されなかっただけ。
これまでも散々迷惑をかけてきたと思うが,今回のことを教訓に,改めて,鳥見のマナーに注意しなければならない。
そうしないと,鳥見自体続けられなくなる。
少なくとも,このフィールドは,もう車での探鳥がダメになってしまった。
というか,私は,現状,恥ずかしく,また,罪悪感でいっぱい。
ここは,もう気持ち的にだめ。しばらくは,ここで,車での鳥見はムリ。
思えば,20年ほど前,ウズラを見つけたのも,車での探鳥で,ここだった。いるところににいるようだが,私がウズラを見たのは後にも先にもこの1回こっきり。もう一生会えないかもしれない希少な出会い。思い出。
当時,ここでは,鳥見人や猟銃を担いだ人と出会っても,カメラマンとは出会うことはなかった。
(旧ブログからの転載)
カメラマン人口が急増した今,そういう時代と同じ感覚ではダメだな。
いつまでも無邪気じゃいられない。
1月8日に巡回した時点では,七北田川河口北側の蒲生海岸でゼロ。
松川浦漁港,相馬港,釣師浜漁港でも各2〜3羽。
かつて,カモメ類が多数集まり,オオセグロカモメなどのほか,カモメやユリカモメ,シロカモメ,ワシカモメ,ときにはミツユビカモメなども加わって賑わった釣師浜海水浴場の北側もゼロ。昔,海の見えるレストランがあった裏の海岸だ。
ここは震災で壊滅した地域で,人の営みが消えたので,カモメもいなくなった。
回復は難しいかも。
松川浦漁港に1羽だけ佇んでいたオオセグロカモメが超貴重。
ポーズを取ってくれたので,ありがたく撮影させていただいた。
ひと月ほど前,秋田県南部の平沢漁港や象潟漁港を巡回した際も全然だめで,激減しているのは身に沁みていたが,こちらも全然だめ。(秋田はハタハタの接岸が大きく減少したせいもある。)
現実をつきつけられた感じ。
ずっとこのままなのだろうか。
いないのは食べる物が乏しいからと思うのだが,良い方向に向かう可能性はあるのだろうか。
環境保護などの対策が進められ,最近は社会全体として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の意識が進められ,以前は結構ずぼらなところもあった漁業関係がきちんとしてしまったのも影響しているかもしれない。
・海産物加工場などから魚の内臓などの廃棄物がその辺に捨てられなくなった。
・漁船から未利用魚など雑魚を捨てなくなった。
もちろん良いことなのだが,カモメたちが容易に取れる食べ物が少なくなってしまった。
人手不足などによりそもそも漁業がうまくいっていない,という問題もあるかもしれない。
そういえば,カモメ類のメッカである銚子漁港の方も,激減しているようだ。
あぁ禁断症状が出そう。
どこかカモメが山ほどいる場所はないかな。
そういえば気仙沼にはなんぼかいたような気がするけど,それほど多くなかったような…。