「往復書簡」
湊かなえ著、幻冬舎文庫、2012年8月
過去の事件の真相が手紙のやりとりで明かされる3編の中編小説。
100ページほどの中編3作品に、文庫では10ページの短編を追加。
湊かなえの作品でよく見られる、一つの出来事を複数の関係者の視点で描く手法が本作でも使われています。
「十年後の卒業文集」
高校を卒業して10年経った女性たちが、高校時代の出来事について手紙をやりとりする話。
トゲのある会話が並びます。
「二十年後の宿題」
不幸な事故に巻き込まれた小学校4、5年生の担任と児童たちの20年後の手紙を通じた近況報告。
全員が全員幸せではないですが、感動的なストーリー。
「北のカナリアたち」のタイトルで、吉永小百合主演で映画化されました。
「十五年後の補習」
中学2年の時に2人の同級生が亡くなった事件の真相を、男女のカップルが文通を通じて明らかにする話。
各話の登場人物が重なることはありませんが、中心人物が手紙をやりとりする年齢は28~30歳。
今の時代それくらいの年齢で手紙を書くことってあまりないですよね。
その設定が逆に新鮮に感じました。