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拉致の解決を願って
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モンゴルから中国・北朝鮮を見る

2007-10-17 | やまつみの声さん投稿集
モンゴルから中国・北朝鮮を見る

蒼き星々メインボードへの投稿より


投稿者:やまつみの声 投稿日:2007年 9月15日(土)21時26分18秒

昨年の秋頃から、中国~モンゴル経由の脱北者が増えている。疲れきりやせ細った朝鮮人たちが、内モンゴル自治区との国境検問までたどり着き、そこからウランバートルの韓国大使館に助けを求め、韓国政府はビザを発給しいったんモンゴルへ入国させてから韓国へ移送している。

モンゴルは北朝鮮・韓国双方と国交をもち、北・南対等のスタンスから今回の六カ国協議の作業部会開催地となったわけだが、もともと朝鮮半島に対しては「同じ民族なのに韓国と北朝鮮の生活に差がありすぎる、一緒になるべき」という心情があり、「金正日は替えるべき」とも考えている。

モンゴルは、かつて中ソの陰謀によって彼ら自身が今なお民族分断されている「内モンゴル自治区」という緩衝帯を利用して、国境検問を経由する安全な方法で「脱北者支援」を行っている。政治的言動は表に出さずに実効的な「具体的対応」をしっかりとやっているのである。陸続きの国境で「敵」と接する緊張状態の中にあれば平和ボケは育たず、当たり前の国際感覚が生まれながらに染み付いているのだろう。

モンゴルは「ロシアと中国にサンドイッチ状態の内陸国」という、最悪とも言える地理的事情から、否応無くロシア・中国の影響を受けざるを得ないが、二世紀にわたる清朝支配から中国への反感が根強い。もっとも、いまの反中感情のベースは旧ソ連時代に中ソ対立構造下のプロパガンダの中で観念的に培われたものだったが、今経済開放で中国と実際に付き合う中で、中国・中国人への反感はさらに固定しつつある。

共産革命後のモンゴルはしばらくロシア寄り・ソ連邦の一共和国としての政治スタンスをとったが、ロシアが好きだったわけではない。モンゴル文字を奪いキリル文字を強制し宗教(モンゴルはチベット仏教)を弾圧・破壊したスターリン時代のソ連への反感が残り、ある政府関係者は「ソ連が我々に与えたものはウォッカの飲み方だけだ」と吐き棄てるように言った。しかし、モンゴルの親ソ路線のきっかけを作ったのは関東軍が仕掛けたノモンハン事件(モンゴルではハルハ河「戦争」)であるから日本も無関係ではない。

ところで今の彼らは(なぜか)おしなべてとても親日的である。朝青龍がいなくても、いま日本の大相撲には34人ものモンゴル力士がいて(各地方から選りすぐりの少年たちを日本へ送り込んでいる)、場所中はモンゴル国内の4局のTVで生中継され、いまやモンゴル相撲より日本の大相撲のほうが人気が高く、日本人力士のことについても詳しい。ゲルの連中も馬の乳搾りさぼって太陽電池のTVで相撲中継に見入っている。蒙古斑を持ち言語もメンタリティーも宗教観(チベット仏教+アニミズム)も日本人に近く、かつ親日感情の強いモンゴルは、日本の重要なパートナーとなりうる。

ちなみに彼らは「日本人拉致事件」のことも知っているが、彼らはこれを(普遍的な)人権問題ではなく『日本と北朝鮮の二国間問題』として捉える傾向がある。

【新たなる民族浄化】

現在、若者を中心とする2万人のモンゴル人の男が韓国へ労働者として出稼ぎに出ている。そして、まるでそれを補填するかのように、中国の男たち2万人がモンゴル・ウランバートルの工事現場へ送り込まれている。このため結婚相手の不足する年頃のモンゴル女性と中国人出稼ぎ労働者との婚姻が急増、結婚した中国人男は(なぜか格下の)モンゴル国籍を取得する。夫が出稼ぎで不在のモンゴル人妻にも手を出し子供を産ませる。

日本の4倍の国土面積をもち、中国からそのまま続く広大で豊かな牧草地を持つモンゴルは、人口の膨らみすぎた中国にとって魅力的な「人口の捌け口」である。チベットの民族浄化では人民軍兵士による「強姦による種付け」が行われてきたが、国際世論の反発を避けたい中国はこのモンゴル方式を考え出した、そしてそれを可能にするモンゴル、韓国、中国間の密約がある・・・という話を、さるスジから聞いた。

【汚れちまった悲しみに】

美しく変えるには日本の国は汚れすぎていたのだろう。辞意表明をする安倍総理の憔悴した表情を見て、中原中也の詩を思った。(中也は安倍氏の父と祖父が通った旧制山口中学の同窓でもある。)

拉致の事実が露呈したとき、我々はそのあまりの理不尽さに率直に驚き、怒った。しかしあの日から5年経っても本質的には何も解決していないという現実は、この問題が「拉致という行為」だけではなく、その事実を前に何も動けないこの国の構造が芯まで腐っていることを示している。

日本人よ、政治家も“市民”も“国民”も、右も左も中道も、資本家も労働者も、金持ちも貧乏人も、いったいどれほどの日本人が、本気で「世界の中の日本のありかた」を考えているのか。目先の「政敵」の誤謬を懸命にほじくり出しては得意満面「鬼の首を取ったように」喜び勇んで足を引っ張る、政策議論よりもアラ捜しの人格否定に専心する政治家、マスコミ、そしてそれに踊る国民。ドロ舟は自民党だけではない、この国まとめてドロ舟じゃないのか。

首相になる前、安倍氏の拉致事件での仕事ぶりは頼もしかった。冴えていた。しかし、私は安倍氏を嫌いではないが特に好きでもなく、情を感じる縁もない。首相としては経験・力量不足、地盤・ブレーン集団の欠如も致命的であり、今の「安倍内閣」を私は支持しない、今の彼にはまだ、このドロ舟全体を管理統率する能力は無い。しかし彼の信念に穢れは無いように思う(むしろ愚直に過ぎる)。意地汚い利権・エゴイズム・嫉妬に満ちたドロ舟の雑務なんざ、他の老練タヌキ総理にまかせてといて、安倍氏が再び拉致事件に専念し本領を発揮してくれることを、私は願っている。

【中国は取り囲まれている】

この一年余り、中国をベースにその隣国をほぼぐるり一周、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ラオス、タイ、モンゴルと巡ってきた。その結果、中国を除くほぼ全てのこれらの国が基本的に親日・尊日・好日的な感情を持ち、ラオスを除くほぼ全ての国に中国への反感が根強く染み込んでいることを、私は肌で感じた。ただしどの国も反中国感情を政治的には表に出さず、どうやって中国の政治・経済侵略を食い止め、環境破壊や中国人犯罪を排除するか、その具体的方策の立案・対応に腐心している。表向きは机上で握手しつつ机下で蹴たぐりあうのがオトナの外交だ。

昨夜、TBSのニュース23だったか、「日中国交正常化35周年記念」なる楊貴妃の舞台劇紹介で、森山良子の歌う「中国賛美歌」を「小泉靖国参拝vs中国の反日デモ」のシーンをダブらせて流していた。・・・こういう、現実を見据えぬ、あるいは見る勇気が無い、あるいは単なる無知ゆえの思い込みで感傷的・能天気に自己陶酔し、「歌に国境はありませんから・・・」などと臭いセリフを平気でのたまう、いい歳こいたオトナの愚鈍な姿を見せられると、私は反吐(ヘド)が出そうになる。然るに、「チョン」だの「チャンコロ」だの「シナ人」だのと観念で遊んでいる幼稚な手合いも同様、チョン・チャンコロ以下の下衆に過ぎぬ。観念の世界に自己満足しているだけでは事態は動かない。

最近、韓国企業と付き合う機会が増えた。世界展開する韓国メーカーの40歳前後の中堅・若手社員たち、精神的にも技術的にもしっかりしていて、なかなか手ごわい。初めて大韓航空にも乗ったが客室乗務員の「見た目」はJALより上。対北戦時体制の緊張感と徴兵制が若者たちの精神と肉体を鍛えているのだろうか。彼らから学ぶものも多そうだ。いずれ韓国の視点からも北朝鮮を見てみたいと思っている。


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