総選挙での思いもよらぬ圧勝に気をよくした安倍首相が、政権にすり寄る野党の同調も得て、次々に財界中心・アメリカいいなりの政治を驀進中です。
自国の食の自給・自立をめざすという世界の流れに逆行する我が国のTPPへの参加表明は、単に農業の問題にとどまりません。世界的に進行する人口増や異常気象などによる食糧不足が懸念されている現代に、その食料を外国に依存するという無謀な方向に進もうとしている、と言えます。まさにアメリカいいなり、財界迎合の極致、最悪の選択だと思います。
戦争放棄をうたった世界に範たる平和憲法を、軍事行動ができる、戦争ができる憲法に変えるため、まず憲法96条を変えようとしています。改正に必要なハードル=国会議員の2/3以上の賛成で発議し国民投票にかけることができる、という部分を、1/2以上の賛成があれば発議できるようにする、というようにハードルを低く下げようとしているのです。憲法は、時の政権の考え方で容易に変えられないようにハードルを高くしてあるのであり、これを崩そうとする発想は、土俵の徳俵部分を自分の都合のいいように勝手に広げるのと同じで、おそろしく安直で危険な考えだと思います。
戦後60年余りの間のほとんどが自民党を柱とした政権運営がされて来ました。大物と言われた多くの政治家が連綿と保守の潮流の政治を続けてきました。しかしそんな中でも、憲法はおおむね遵守され、改憲の動きはありましたが、96条を変えるという、いわば禁じ手に手を付けてまで変えようとした政権はありません。
しかし安倍首相はそれをやろうとしています。維新の会やみんなの党など、自民党の補完勢力となっている政党も同調しています。このような非常に危険な情勢に、かつての自民党の大物から危惧の声が上がってきているのは当然でしょう。
一昨日、野中広務元幹事長が長崎市で講演をされています。野中氏は「いまの日本のありかたが私には本当に恐ろしい。マスコミもこの動きに追従しているのではないか。その裏にはアメリカの大きな力が働いているのではないか。日本は、またアメリカの占領地になってしまったのかと錯覚するようなことが現に起きている。戦争はやりません、憲法は変えません。その思いを新たにするきょうであってほしい」と述べられたそうです。
また、自民党総裁を経験されたこともある河野洋平氏は「今の憲法によって不自由な生活を強いられている人はいません」と、憲法改正への疑問を投げかけておられます。
保守であれ右翼であれ左翼であっても、日本の平和と国民の暮らしを守るという点では、私は一致できると思っています。保守や右翼陣営が財界擁護、アメリカ追従である必要はないからです。また、現憲法で不都合はないと思います。問題は、日本の平和と繁栄よりもアメリカの戦略を優先する立場、そしてつつましい庶民の暮らしよりも財界の要求を優先する立場 、に立つ、棄民亡国の政権そのものにある、と思います。
きょうの1曲。新しい時代は戦争で切り開くものではなく、平和・共存で切り開くものです。 新しい時代~「モダン・エイジ」。ザ・ストロークスの快演です。
The Strokes - The Modern Age