今日のひとネタ

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スペクトラムを語ろう

2006年08月25日 | スペクトラム(ブラスロックバンド)

 1stアルバムが「これは問題作だ」と紹介されたのも今は昔。今日は日本が生んだ世界に誇るスーパーブラスロックグループ「スペクトラム」のデビュー記念日です。1979年8月25日ですが、そのアルバムについて当時私の愛読書だった「ヤングギター」の新譜紹介コーナーに書かれていたのが冒頭の言葉。

 この紹介文だけは何回、何十回と繰り返し読んだので今でも覚えてます。主な内容は、
1)「キャンディーズのバックで名を売ったMMPとウルトラタンギングホーンセクションのホーンスペクトラムが合体した」
2)「歌心などクソくらえと言わんばかりのメロディーライン」
3)「異様に低いボーカルミックスにやたらと出しゃばるホーンセクション」
4)「悪趣味の極致といえるステージ衣装」
などで、最後に「いろんな意味でこれは問題作だ」と結んでました。

 田舎の高校一年生だった私は「天下のヤングギターに書いてあるんだから、そうなんだろうな」と思ったものです。が、これを書いた人は本気だったのか、あるいはどこかの誰かの受け売りだったのか、と今では思っています。ということで、上記の記載について検証してみましょう。

 まず1)ですが、スペクトラムのメンバーはMMP(解散当時)からはギターの西慎嗣氏、ベースの渡辺直樹氏の2名のみ参加。一方当時のホーンスペクトラムは、新田“ヨロシク”一郎、兼崎“ドンペイ”順一、中村“ストロボ”哲、の3名でしたが、スペクトラムには中村氏は参加しておりません。

 また、新田氏、兼崎氏はMMPの主要メンバーであった時期もあり、スペクトラムのトロンボーン奏者の吉田俊之氏も一度MMPに参加したこともあったので、単純に「合体」というのは却下します。雑誌のインタビューで新田氏が「MMPの卒業生が中心になって作ったという感じです」と言ってたのですが、その言い方が一番しっくり来るでしょう。

 2)についてですが、多分「アクトショー」とか「メモリー」の後半を指しているのでしょうが、これはアルバム中のほんの一部。「ロリータ」とか「パッシングドリーム」とか「トマトイッパツ」はまったく当てはまらない上に、このアルバムにはインストも3曲あるんですが。まったく、耳はあるのか?

 3)はどうなんでしょう? ボーカルが前面ではない曲もありますが、「異様に低い」とは思いませんし、1stアルバムはホーンセクションも割りとサラっとしているように思います。それでも当時の音楽シーンの中では「異様に出しゃばる」という事になったのかも。まぁこれはそんなにうるさく言わないでおきましょう。

 4)については悪趣味といえるでしょうか? 「おしゃれ」とはいえないでしょうが、これ以前でKISSのジーンシモンズとかも相当変わったかっこしてました。「人間狩り」歌ってたときのピーターとか、一時期の山本リンダとか「悪趣味の極地」と言えばそっちでしょうに。

 私なんぞはこの記事を見た時点では彼らの姿を見たことはなく、「どうだろう。どんなに悪趣味なんだろう。」という期待で胸が暴発しそうでした。なので友人が「鎧兜着てるんだってよ」と言ったときに、日本の戦国武将の鎧兜の事だと思ってしまって「それを着てこの音楽を演奏するんだと悪趣味だわ。」と勝手に思い込んでました。

 ただ、考えてみればほぼ鎧兜ってのは一部だけで、実際はアラブの王族風あり、アメフトのプロテクター風あり、頭に被ってるのも兜と言うよりはヘルメットでしたから、私の友人にもイエローカードを出しておきましょう。

 そんなこんなで「問題作」にしたてられたファーストアルバムでしたが、この新譜紹介ではアルバムタイトルとして「宣戦布告」と記載されていました。今見てみると、アルバムのどこにもそんな言葉はなく、1stアルバムのタイトルは「スペクトラム」としか見えないのですが。

 なお、問題作かどうかは別にして、彼らのアルバムは現在すべてCD化されており、ライブのDVDも2枚発売されています。9月には腕利きミュージシャン達によるトリビュートライブが東京と大阪の二箇所で予定されており、アマチュアのコピーバンドが2つ集まってのライブも計画されています。

 デビューから27年、解散から25年経ちましたが今なお熱いスペクトラムショック。これに乗り遅れてはいられません。どーですか、お客さん。