タイトルからわかる通り忠臣蔵ものの映画で公開は1978年。深作欣二監督作品ですが、大石内蔵助が萬屋錦之介なので、一般的な忠臣蔵のイメージを大きく変えるものではありません。
当時劇場では見ておりませんが、テレビのCMで萬屋さんが「理不尽な! このまま黙ってはすまされません!」と怒ってたのをよく見ました。その映画宣伝のおかげで、当時中学生だった私も「理不尽」という言葉を知りました。
映画としては、不破数右衛門を演じた千葉真一が妙に出番が多くてかっこいいことと、脱落してしまった家臣の事も取り上げたりして話を膨らませてますが、なにしろ160分の大作なので当時映画館で見た人は大変だったでしょう。
色々名場面がありますが、剣道二段(?)の元千葉県知事森田健作が演じる間十次郎が、討ち入りの際に「早く支度をしろ!」と言われて「もうできてます!」と着物を脱ぐと下が討ち入りの衣装で「どんなコスプレやねん?」と思ったりしました。
忠臣蔵は小学生から中学生くらいの頃は結構面白がって本を読んだりしましたが、大人になってみるとなかなかはまりにくい話ではあります。というのも、赤穂藩忠臣の行いとしてみればいいのですが、吉良家の家臣の立場になって考えると主君同士の争いごとのおかげで、大勢に寝込みをいきなり襲われて大変だっただろうと。赤穂浪士全員が切腹というのも、残された家族の事を考えるとえらいこっちゃと。
おまけに物語としても、討ち入りの際に赤穂浪士側には一人の死者も出てないので、あまりと言えばあまりの圧勝。うちの父などはそこは気に入らなかったらしく、「これが赤穂浪士がほとんど返り討ちにされて、最後に残った大石内蔵助と吉良上野介が一騎打ちする話なら盛り上がるやろ!」と勝手に空想して喜んでました。
そういう意味で忠臣蔵は色んなところでネタにされています。「元気が出るテレビ」でもドラマにしてましたが、大石役の松方弘樹が真面目にやろうとしてるのに吉良役の泉谷しげるが最後には「おれはマルコスだ~!」とか大暴れして、まともな話にはならなかった記憶があります。
また、セイヤングの「天才秀才バカ」でもネタがありました。討ち入りを終えて帰ろうとした大石内蔵助が「おや、息子の主税がいないぞ?」と思ったら、その頃主税は吉良の妾を押し倒しながら「童貞のまま死んでたまるか!」と言ってたとか。
鶴光師匠は落語でこれをやってましたが、討ち入りを果たした大石が疲れからガクッと倒れると家臣が「大丈夫ですか?」と聞くと、大石が「わしゃ前からカロウじゃった」というのがオチでした。そこはあんまり面白くないですけど。
ちなみにこの映画での吉良役は山守組長こと金子信雄だったので、どうせならもっと悪役色を出して欲しかったですね。赤穂浪士に狙われてる事がわかった段階で、「善良な市民を守るのが警察の役目じゃろうが!」と逆切れするとか、討ち入りに来た浪士に「頼もしいのお、頼もしいのお。うちの若いのにあんたらのチ〇ボの垢でも煎じて飲ませてやりたいわ。」と言って懐柔するとかそういうシーンがあれば大ヒットしたことでしょう。
なお、「忠臣蔵」というと歌舞伎とかそっち方面の演目の話であって、実際にこの件を取り上げる史実としては「赤穂事件」と呼ばれるそうです。ふ~む、どこまで史実としてわかってるのかが気になりますが、調べてもあまり面白くなさそうなのが残念。